「100文字レシピ」 著者:川津幸子 / 出版社:オレンジページ
2001年07月16日(月)

いま思っても、20年くらい前までの料理本は、
写真が、ぜんぜんおいしそうじゃなかった。
つくろうという気力をそがれる以前に
食欲を減退させるような本が多かった。
そういう意味では、最近の料理本業界の進歩は
すばらしい。
料理写真の伝える味とにおいは、
大きな購買動機になる。
そして、簡単にできそうなレシピ満載とくれば、
鬼に金棒なのである。

料理の得意な人や日常料理をせざるを得ない人には
言い訳にしか聞こえないだろうが、
じぶんは決して料理が不得手なのではなくて、
親から受け継いだ技術とか、毎日料理する義務がない
=経験値が少ないだけだと思っている人は、
男女問わず、けっこういると思う。
食べることに執着が少ないから、積極的には
なれなくても、味覚はうるさい困った人。
ここにも一人いる。

だから、「もう少し上手になりたい」という
ささやかな野心は、決して、本格的に料理を学ぼうという
熱意にはならない。
でも、それでも、
簡単に、手際よく、センスよく、おいしいものを
魔法のようにつくってみたいという願いは
ずうっと持っているのである。

この本のレシピは、ほんとうに100文字。
どれもが、つくってみたいな、つくれるかも、と
じぶんの台所、じぶんの包丁さえ持たない私の野心をくすぐる。
一部、あえてはみ出した「100文字ちょっとレシピ」もあって、
それをまた100文字にちぢめて遊んでみたり。

さて、ほんとうに100文字でおいしいものが
未熟者にも理解できただろうか?

最初につくったのは、鮭の南蛮漬け。
もちろん、今までのレパートリー外。

不思議なことに、思った以上においしかった。
仕上がりもキレイだったのは感動。

川津さんのいうように、料理は愛情だけで
なりたつものじゃない。
基本の技術があってこそ。
料理するには、やっぱり自分の包丁が欲しい。
次の100文字レシピまでに、小ぶりの包丁を探そう。(M)


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