「ザ・マミー」(上・下) 著者:アン・ライス / 出版社:徳間文庫
2001年01月22日(月)
(2)

荒唐無稽な骨組みに、
リアリティの肉を着せ、
ロマンスのドレスで飾る。
これこそストーリィテリング。
そして、よみがえった「マミー」こと「ミイラ」も
不死の肉体をよみがえらせ、ロマンスを体験する。
誰のミイラ?
そう、3千年前のエジプト王、ラムセスニ世だ。

舞台は20世紀初頭のエジプトと英国。
ヒロイン、ジュリーは英国人富豪の一人娘。
彼女を取り巻く人間関係には、庇護する者、
善良な婚約者、ろくでなしのいとこ、
忠実な召使い…
ヒロインは美人で機知に飛んでいて、世間知らず。
対するお相手は国王にもなれるくらいの男ぶりで、
(実際国王だったのだから当然か)
強さと弱さの両面を見せる。もちろんお金持ち。
そう。このあたりの設定は、あの英国ロマンス小説界の
輝ける星、バーバラ・カートランドを踏襲している。
アン・ライスはきっと少女時代にカートランドを
読んで育ったのにちがいない。

もし私が俳優で、映画化の際に演じさせてあげると
いわれたら、ヒロインの父親の親友、エリオットを選ぶ。
どうやら彼もこれから(続きがあるはずの終わり方なのだが)
まだまだ活躍しそうだ。

さて、恋愛の成就が目的のカートランド的展開は、
ほぼ上巻で終わり、後半は「愛するふたり」を脇に置いて、
別のヒロインが大活躍する。
それはだれ?

…クレオパトラ。
どう。読みたくなってきたでしょう?(M)  → 「ザ・マミー」(1)


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