ちょっと(-。-)y-゚゚゚


落 し 物
会社帰りの電車の中での出来事。
ほどよく混んでいて、ほどよく酔っ払いも乗っている夜の電車。
勿論ワタシは座れるはずもなく、
とあるオヤジの前の吊り革を持ってたたずんでいた。

その目の前のオヤジは熟睡状態。
ユーラユーラ前後に揺れていた。
おまけにたーんとお酒を飲んでいるらしく、
白髪の頭皮までまっかっかのユデダコ状態。
まっよくいるタイプだ。

やだな そんなに頭ユラサナイデよ〜
コートにアンタの頭がつくのはイヤだよ〜
頭あっちいけ 密かにおもいっきり念じていた。

その時、(急ブレーキなぞかかってないよ〜)
ゴ ロ ン
     何かがワタシの足元に落ちた。 
「何やろ」 ふと足元をのぞいてみた。
まい右靴の1センチ先には肌色の物が落ちていた.
「ふん???」 じーっと見た。
その正体はまぎれもなく入れ歯だった。
そのオヤジのものであろう入れ歯やった。

思わず隣りに立っていたおねぇさんと顔を見合わせ
        (勿論見ず知らずの人)
笑ってしまった。

するとそれまで寝ていたオヤジの目がパッと開き、
おもむろに入れ歯を拾って、
自分のコートのポッケに詰め込んだ。
そのかん、わずか3秒。
電光石火の早ワザだった。
さすがに、その場で入れ歯をクチに入れるのは
オヤジでも気がひけたのだろう。
カバンに入れるより、コートのポッケを選んだらしい。

その後もカバンは落とすわ
メガネは落とすわ
頭を窓にぶつけるわ
たいそう楽しませてくれた。

それにしても入れ歯が落ちるのを見たのは初体験だった。


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