■■■■□■■■■□■■■■□■■■■□■■■■□■■■■□■■■■□ 不定期刊行物【賞なしコネなしやる気なしで作家を気取る100の実験】 第90号 2004/3/20発行 ■■■■□■■■■□■■■■□■■■■□■■■■□■■■■□■■■■□ 1エブリネス――ディナーショーの挑発 かつて東京ポエトリーシーンといえば、 南青山オージャスラウンジ(Ojas Lounge)と 高田馬場ベンズカフェ(Ben‘s Cafe)であった。 その、オージャスラウンジのエブリネス(Everyness)が 南青山から渋谷スプーマ(Spuma)へ場所を移して 帰ってきたぜ。というイベントです。 早速、新生エブリネス第一回に3/19行ってきました。 主催のAGEHA(アゲハ)さんは、オージャスでは MIMI(ミミ)さんと名乗られていて、 即興ポエトリーではみひろさんの先輩にあたるそうです。 AGEHAさん曰く、AGEHAはMIMIのソロユニット。 名前はどっちでも良い。 だそうで、今どちらかと言うとAGEHA名義で通されているようです。 オージャスの噂は色々聞いていて、豪華だとか高級感があるとかで、 今回のスプーマもその意味では、豪華な高級感のある場所で、 ブティックや高級レストラン系のオシャレな内装で 「Spuma Party Information」 みたいなスプーマのちらしを見ると 「御予算20万円から承ります。」 とあり、 「例)4千円コース×50名様=20万円。 お一人様4千円、5千円、6千円のコースを御用意しております。」 これだけでも、豪華さというのは伝わってくる。 例えば今回のエブリネスは、入場料が1500円で、 ドリンクとフードは別オーダー。 メニューをみると、だいたい、フードもドリンクも700円〜。 厳密に言うと、480円のデザートや680円のコーヒーもあるけど 1500円台のメニューもあるし、色々だけど、 印象として700円以上。 席に着いたとき、ドリンクオーダーするのは当然だけど 「フードは何になさいますか?」と言われて、 強制じゃないけど基本的にはフードも取れよという 空間なんだなと思う。 するとまあ、ドリンク700円にフード700円としても、 1400円。 客単価最低一人3000円とみてるイベントなんだと思う。 実際、スプーマのチラシに載ってる貸し切りパーティーの 予算が一人最低四千円からですから、 まあ、だいたいそんな物だろうと。 客単価これだけ取ってるだけあって、天井も高いし内装も豪華。 VjブースにはVj専門の店員いて、DjブースにDjいて 卓にはミキサーさんいて、ちゃんとレストランとしての 厨房があり、シェフがいて、注文を取ったり、 メニューを運んだりするそれ専門の店員がいる。 そういう感じの店だ。 いや、厳密にいうと、 誰が店員で誰がアゲハさんの用意したイベントスタッフか 俺には分からないし、シェフがいると思ったら、 電子レンジしかなくて、調理師免許のない人が 法の範囲で温めてるだけかもしれないけど、 あくまで、印象としては金掛かっているなという印象ですね。 タイムスケージュール的には 19:00〜26:00という、 最後までいたら終電には乗れないし始発にも乗れない スケージュール。 19:00開場で、ライブが始まったのが20:00。 45分ライブして、15分片付けとセッティングして また45分という流れ。 19:00開場 20:00〜20:45 ViceVersaライブ http://www5d.biglobe.ne.jp/~v-versa/ 21:00〜21:45 スラム        村田活彦        ウエノナオミ        泉俊行        服部剛        AGEHA 22:00〜22:45 ワークショップ (クララオーディオアーツ/KURARA audio arts http://www.web-across.com/todays/d6eo3n0000004706.html ザ・ピッチ・シフターズ http://www.ontonson.com/label/ps/release/ps03.html) 23:00〜23:45 宮原永海ライブ http://www.oretachi.jp/contents/nami/promo.htm http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B00007GR9P/250-8330178-6490620 24:00〜26:00 オープンマイク                    (敬称略) タイムスケージュールをみると、アゲハさんの挑発がよく分かると思う。 俺の場合千葉だから、11時ごろになると、 そろそろ店を出ないと終電に間に合わなくなる。 オープンマイクに参加したら、家に帰れなくなるわけだ。 ViceVersaも宮原永海もともに、 ボサノバ、ラテン系のリゾートミュージックで、 まあ、音楽のジャンル自体の高級感があるジャンルだ。 アゲハさん的には、メジャーで活躍しているミュージシャンの間に スラムを持ってくることで、いまのポエトリーどうなの? 音楽と比べてメジャー感あるの? というわけだ。 ワークショップにしても、 バイヤーであるクララオーディオアーツさんを呼んで こういう規制がある、こういう単語を使っちゃダメ、 こうじゃなきゃいけないというメジャーの枠組を提示してもらって どうなの?この君達このメジャーの規制の中でポエトリーできるの? という挑発を意図されているわけだ。 アゲハさんはポエカのBBSでポエトリー批判をされたり、 ベンズのオープンマイクでエブリネスの告知と共に やっぱりポエトリー批判をされたりしたわけだ。 個々の批判を取り上げれば、共感できる部分もあるし いや、それは今のポエトリーシーンを知らないだけでしょ という部分もある。 まあ、そういう細かい話は置いておいて、 おっきな枠でいうと、高級感のある客単価が高い場所で ポエトリーが成立するか?が エブリネス側からの問題提起だと私は解釈した。 アンダーグラウンドで過激なことやっててもしょうがないと 上品な富裕層の人達に届くポエトリーをやってくれと。 その批判に対して、俺は良い提案だなと思った。 アゲハさんがいうほど、その批判はアゲハさんを孤立化させない。 それと同じ方向性でもっとキツイプレッシャーを 別のイベントで感じたこともあるし、 変な話、過激なことや下世話なこと下品なことを禁止した方が やりやすい人も多いと思う。 思いつく限りでいうと、小林大吾さんなんかは SSWSで死根亭さんのパフォーマンスの後、 演芸ノリの空気が残ったステージでやることに やりにくそうな顔をされてたし、 同じく演芸ノリだった鉄腕ポエムでもやりにくそうにされていた。 さいとういんこさんのラブポエ、ルールズ路線も 正直、いんこさんのホームグラウンドでやるより、 エブリネスの方がやりやすいだろう。 幹さんなんかも、幹さん個人はこういう空気嫌いかもしれないけど スーツ着て、「本屋にて」(全て全集が出てくる話)辺りをやれば、 絶対カッコイイと思う。 客単価4千円のレストランで、ディナーショー風のイベントなので 基本的にはデートに使われる場所だと 男女一組のみとは言わんけど、 まあ、3対3とかで来てたりするわけで 笑いを取るとすれば恋愛ネタでしょう? その空間で、花本さんが 「昨日、女に振られた」 沈黙。 「『顔が中の中だね』って言われた」 沈黙。 「『足りない分は才能で補ってね』って言われた」 沈黙。 とか俺の一番好きな花本さんの失恋ネタやったら、 いっくらでも受けると思う。 花本さんのネタの面白いところは、作ったネタなら顔が 「下の下だって言われた」 となるところを、「中の中」 と言っているところがリアルで面白いわけですが 「下の下」なんて下品で過激なことを言わずに 「中の中」とか言ってる笑いもあるからね。 会場 SPUMA http://www.spuma.jp/ イベントHP http://www.everyness.com/