■■■■□■■■■□■■■■□■■■■□■■■■□■■■■□■■■■□ 不定期刊行物【賞なしコネなしやる気なしで作家を気取る100の実験】 第86号 2003/3/11発行 ■ ■■■□■■■■□■■■■□■■■■□■■■■□■■■■□■■■■□ 1韻 俺、韻に関して細かいことをまったく知らなくて 下記のHPで多少分かったのは、 日本にも昔から韻があったが、主流にはならなかったらしい。 とか、日本語の場合、 通常二音以上同じ音であれば韻とみなされるとか 英語の場合、 アクセントのある母音以降の音がまったく同じものを韻というとか、 言われなきゃ知らないことが実際多い。 「action と nation では脚韻にならない」なんてのは 言われなきゃ分からない。-tionが韻にならないのは 接尾語だから、 同じ単語を並べても韻にならないからだと思っていたら、 じゃなくて、-tionにアクセントがないから、 「アクセントのある母音以後が同じ」 という韻の条件にはならないという理由だったんですね。 ちなみに3音以上一致の韻を意味する完全押韻ですが この三音というのは、母音が3音なのか、子音が3音なのか? 例を見た限りですと(この例がまたフランス語で 英和辞典に載ってなかったりするのですが) 子音で3音以上一致のようです。 ちなみにHommageの意味は、「賛辞・挨拶」だそうです。 〜〜〜〜 木村哲也さんの日本語脚韻研究室より http://gabacho.reto.jp/j-rhyme/ 押韻定型詩の系譜 http://gabacho.reto.jp/j-rhyme/rhyme-history.html HISANO‘S ROOM http://ibuki.ha.shotoku.ac.jp/~hisano/index.html の http://ibuki.ha.shotoku.ac.jp/~hisano/fegj%20qr.html より [詩]韻、脚韻: 完全押韻(3音以上一致。例:image-hommage)/ 平常押韻(2音一致。例:ete-bonte)/ 不完全押韻(1音一致。例:ami-pari)/ 女性韻(無音のeで終わるもの)/ 男性韻(無音のe以外で終わるもの)/ 平韻=連続韻(例:AABB)/ 交韻=交互韻(例:ABAB)/ 抱擁韻(例:ABBA)/ 視覚韻(例:aimer-amer)。 yama-aさんのHPより 頭を使った韻(押韻講座1) http://homepage2.nifty.com/yama-a/essay0111b.htm 2拍 前回のメルマガで、長音とは母音に三つ以上の子音が付いたものだ とかなんとか書いたが、 正直あっているかどうかまったく自信がなかった。 どこかの本でそう読んだような気がするだけだった。 今回ですね。 http://www.tutorgig.com/encyclopedia/getdefn.jsp?keywords=meter_(poetry) というページによると、 「ギリシャおよびラテンの作詩法の基本的なユニットはモーラであり、 それは単一の短い音節と定義されます。 長い音節は2つのモーラと等しい。 長い音節は、2つ以上の子音が続いている長い母音、 二重母音、または短い母音を含んでいます。 時々省略の様々な規則のため、 文法の音節は完全な音節を作ることができない。」 と書いてます。 http://sp.cis.iwate-u.ac.jp/sp/lesson/j/doc/moraj.html によれば、モーラ(morae)とは拍のことです。 ギリシャの詩では長音=2拍・短音=1拍。 で、 母音/母音+子音/母音+半母音(Exゃ)+子音 などは一拍。 母音+促音(っ)/長母音/母音+撥音(ん) などは二拍の長音。と解釈できそうです。 上の一拍も下の二拍も同じ一音節(シラブル)で 拍数だけ違うと。 ということは、「〜〜だにゃん」の「にゃん」が 長音だということに関しては 間違ってないと言って良いだろう。 猫耳付けた女の子が「〜〜だにゃん」とか 「〜〜だぴょん」とか言ってるのは、 短音の後に長音を付けて、リズムを整える ソネット的効果を狙った文学的表現だ と断定して構わないだろう。 3スピード 音楽でBPMというのがある。 一分間に四分音符が何個入るかを示す数字だ(四分の四拍子のとき)。 一般に普通の曲だと100BPMぐらいだろうか。 私の持ってるリズムボックスだと100BPMぐらいが標準になっている。 四分音符が一分間に100ということは四分の四拍子で、 一分間に二十五小節。八分音符が一分間に200個。 三十二分音符が一分間に400個の計算になる。 人間が一分間にしゃべる言葉の数が だいたい四百字詰め原稿用紙一枚分だという。 テレビドラマの脚本の募集等をみると、 一時間ドラマが二百字詰め原稿用紙100〜120枚だというのが分かる。 人間が本を読むスピード、 他人に意味が分かるように音読するときのスピードなどが、 だいたい一分間に四百字詰め原稿用紙一枚になる。 仮に、原稿用紙に書かれた文字が、全部ひらがなで改行なしに 全マス目を埋めていたとすると、一分間に400音。 四分の四拍子で100BPMの場合、 32分音符で人間はしゃべっていることになる。 以前、細野晴臣氏がどこかで語っていたのだが、 64分音符でリズムを刻むと音が途切れずに つながっているように聞こえるという。 リズムを細かく刻む限界がこの辺の数値になるのだろう。 100BPMで64分音符は一分間に800音入る。 音符一個が四十分の三秒だ。ゼロコンマ一秒に満たない。 ゼロコンマゼロ75秒の世界だ。 以前、黒柳徹子が久米宏とザ・ベストテンをしていた頃、 二人で世界最速のしゃべりとも思える擬似夫婦漫才をしていたが そのときのしゃべりが一分間に原稿用紙2枚だったという。 人間の耳が聞き取ることのできる限界の速度がこの辺りなのだろう。 以前、ATOMさんのワークショップで 用意されたバックトラックを聴きながら、 それに詞をつけてラップを作ったとき、 80BPMぐらいの遅いスピードで、作ったのだけれど、 普通の速度でやると、4分音符に対して4音、 早口のパートで八音ぐらいになった(休符も込み)。 80BPMで、普通の速度が32分音符。 四分音符が80個だから、掛ける四で320音。 早口のパートで、640音。 まあ、だいたいこんなものだと言えばこんなものだと思う。 本というのは、どのぐらいのペースで読めるのが 理想なのかと時々思う。 ライトノベルの小説がだいたい一冊で原稿用紙400枚。 400字一枚一分換算で、6時間40分。 これを遅いと思うかもしれないが、 普通に字が詰まっていて、他人に聞かせるように音読すれば そんなものだと思う。 実際にはライトノベルは2時間で読めるように 工夫して作られていると思う。 2時間というのは人間が、 一つの娯楽に集中できる時間の長さを示している。 映画・演劇・コンサート・サーカスといった舞台芸術の出し物が だいたい2時間。 会社や同窓会など集団で飲みに行くとき、 飲み屋の予約を入れるのに店側から指定されるのが、 「何時〜何時まで2時間」という枠になる。 デートのスケージュール、仕事の会議のスケージュール、 だいたい二時間単位で決める。 二時間というのは同じ席に座っていて、 お尻が痛くなってじっと座るのが苦痛になるまでの時間を示している。 ライトノベルは一気に最後まで読めてしまったというのが売りになる。 東京―大阪間の新幹線に乗る前にキヨスクで買ったライトノベルは 新幹線をおりるころ、ちょうど読み終わるようにできているはずだ。 一冊6時間40分も読むのに掛かるライトノベルはキヨスクで売れない。 2時間で原稿用紙400枚、ページにして350ページほどを 読もうとすれば、1時間で200枚。 1分間で3枚と3分の1を読まなければならない。 ページにして350ページだと、1分間に約2コンマ9ページ。 黒柳徹子のしゃべりより速い。1分間で1320文字、 一秒間に22文字読んでいる計算だ。 そのペースで読めるような改行と内容がキヨスクで売れるライトノベルの 必要条件だ。つまり、ライトノベルというのは、 普段しゃべっているスピードの3倍のスピードで言葉が入ってくる、 そのスピード感を売っているのだ。 シドニーシェルダンとかみてると、800ページの弁当箱サイズ、 上下巻で計1600ページがわずか2時間で読めるってのが 売りになっていたりして、実際、読んでみると、 これは2時間で一気に1600ページ読めるかもな、 1分間に10ページ読めるかもしれないというノリがあったりする。 これはこれですごいと思う。 (実際にはそこまで速く読めないが) 2時間で一気に読めるというのが売りになっていない娯楽小説も いっぱいあって、本格派の推理小説もそういう類だと思う。 2時間で読めるのが売りじゃない小説は、一冊が分厚く、 1ページに文字がぎっしり詰まる傾向がある。 一冊で原稿用紙800枚〜1000枚ぐらいが標準で、 1000枚のものに一枚一分計算をすると、16時間40分掛かる。 まとめて手に入れるには、困難なほどの時間だ。 学校や会社があれば、 16時間も自由に使えるまとまった時間は取れないし 休日だとしても、食事やトイレや睡眠もあるし、 第一、丸一日それに費やして後悔しないのかという問題もある。 一日で一気に読まないとすれば、何日かに分けて読むことになる。 こういうことを趣味でする人は、毎日少しづつ本を読む習慣のある人だ。 通勤電車に片道30分ほど電車に乗っているとして、 乗り換えやなんやでそのすべての時間を読書に使えないとしても 15分ほどは読書に使えるとして、通勤の往復で30分。 2日で1時間。分厚い本が一冊あれば一ヶ月は通勤できる計算になる。 本日も皆様に幸がありますように。 ■■■■□■■■■□■■■■□■■■■□■■■■□■■■■□■■■■□ 【賞なしコネなしやる気なしで作家を気取る100の実験メルマガ】 登録ページ http://www.pat.hi-ho.ne.jp/kidana/mmg.htm 登録と解除は上のページで。 関連HP:掲示板に感想・御批判入れて下さい。 http://www.tcup3.com/356/kidana.html 発行者 木棚 環樹:kidana@pat.hi-ho.ne.jp ■■■■□■■■■□■■■■□■■■■□■■■■□■■■■□■■■■□