■■■■□■■■■□■■■■□■■■■□■■■■□■■■■□■■■■□ 不定期刊行物【賞なしコネなしやる気なしで作家を気取る100の実験】 第7号 2000/1/7発行 現在の購読者数238人 会社員時代にもらった金で、100冊も同人誌を作ってしまった私が、 書籍コードの無い本を抱え、この本を扱ってもらえる書店をめぐる日々の日誌。 このメルマガは私の抱える同人誌の在庫がなくなるまで続きます。 現在の在庫状況 文体演練法74-6冊 寓話集56冊 最悪な気分68冊 ■■■■□■■■■□■■■■□■■■■□■■■■□■■■■□■■■■□ 今回は模索舎で見つけたミニコミ特集! 1)KICK OUT vol22 2)嫁入新聞1999・10月号 3)のらのら 第17号 4)季刊 銀歯 5)I:CORE 6)とほ 7)模索舎月報 まず、いきなり「KICK OUT vol22」から。 http://www02.so-net.ne.jp/~kickout/ ゲイについての言論の場。という キャッチコピー通り、かなり濃いです。 編集者の方が大学関係者だけにかなりアカデミックです。 日本はホモソーシャルな社会で レストランに行くのもトイレに行くのも 男同士&女同士。 欧米で男同士でレストランに入ったら 一発でホモ扱い! オラーン(Orlan)という女性は 自分が美容整形をしてるところを ビデオに撮って、その映像を流しながら 淡々と哲学的な論文を読む パフォーマンスをしている。 顔の皮をべーっと はがしたりするんだけど ウィーンでは失神した人まで出た。 ってな内容で読み応えあります。 劇団フライングステージという 演劇祭グランプリを受賞した ゲイをテーマにした劇団のレビューもあります。 ちょっと古いんだけど「嫁入新聞1999・10月号」 毎月末日発行で模索舎の入り口の フリーのチラシが置いてある 辺りにあります。A4一枚のシンプルな作りなのですが 中々どうして四コマ漫画に1分小説、極めつけは 作者の実体験だと思われるドキュメンタリーで 「ポリ公と呼ばずにはいられない」 「アルバイトは税金を払わねーから最低だな」 とお巡りさんに言われてブチ切れる作者。 所得税・国民年金・健康保険料をフリーターは 払わなくても良いなんて法律は知らない。 と、きたものだ。 似たような経験私もある。 私の場合、偏差値の高い中央大学の隣りの 帝京大学に行ってたのですが、 夜警中の警官に職務質問されて 「帝京大」と答えると あからさまに馬鹿にされた。 悪かったな、中央じゃなくて! 次は「誰にでも載ることのできるインディーズマガジン」 とキャッチコピーを掲げた「のらのら」。 http://www.alles.or.jp/~namewave/ インディーズマガジンコンテストで優秀賞を 取っただけあって、かなり本格的。 年四回発行の私の手元にあるのが第17号。 この手のコラム誌的なものってのは3・4号ぐらいで 消えるのが定番なのに17も続いてる。 関わってる人間もわりと多く居たりして。 少し厳しいことを書くと 作り手の満足度を最優先させる作りに成っている。 書き手が好きな事を書いたのを集めた感じなので 専門誌ではなく総合誌、誰に向けてと言えば サークル内部に向けて書かれてるという気がする。 たぶん、本気で商業的な方向へ行こうとすれば 商品カタログ的な専門誌や学術誌に成るんだろうけど あくまで社会人サークル的な作り手の満足度で 進んで行こうとしてるんだと思う。 私の参加してる文学研究会のOB会 (643を年一回発行)なんてのも その方向性なんで、そういう投稿誌があるから 社会人になってもマニアックな遊びを 続けて行けるし、私のような反社会的な奴の ガス抜き&会社員化の役割も担えるという。 HP・ML・郵便振替口座を持つなどという 組織の基幹の部分がしっかりしてるのも 勉強になります。 それだけじゃなんなんで、 内容をちょっと紹介すると 「ジェイド名波」さんの「謎の温泉パラダイス」 錦糸町の楽天地という前近代的な もしくはチャイナタウンなサウナのリポートで フロントでもらう「流し券」であかすりを してもらうのだが、ずらりと並んだおばさんを前に 自分がかつて付き合っていた女の子について 自分の女の子の好み、おばさんの好みについて 悩み・考え・迷い、そして戸惑いの中で 決断し行動するさまが赤裸々に語られている。 何故、豊満なぽっちゃりした若い子は好きなのに 丸い体型のぷよぷよしたおばさんは嫌なのか? 若い子の豊満な胸とおばさんの豊満な腹の どこが違い何が同じなのか? ジェイド名波さんの悩みは尽きない。 (御本人が読んでらっしゃったら怒られるだろうな) 次は「季刊 銀歯」 http://www2s.biglobe.ne.jp/~tukijiya/gimba.html こちらもかなりクオリティー高いです。 「MXテレビ批評」東京密着型の東京初のUHFである MXテレビを批評するというもので、 「これ、クイックジャパンでやってたよ」 と思った方も多いはず。 が、この銀歯消されてるけど発行年が95/11/7 とクイックジャパンの特集より早いはず・・。 自信はないけど、たぶんこっちが元ネタ。 いや、95年にMXが開局してもう2年と記事にあるので 記事が書かれたのは97年。クイックジャパンと同時期か? 内容的には、 「東京密着型の24時間放送でオールノンリニア編集」 をうたい物にして生まれたMXの夢と現実の落差って奴が 痛いほど伝わってきます。 筆者はMXを批判されてるのですが、 多チャンネル・デジタル放送ときれいな夢を並べた裏には 低予算、カメラマン一人のみ、という厳しい現実が 感じられるわけで。 そうそう、同じ番組を何度も流すって話でいうと あの天下のNHKがクイズ番組(連想ゲーム)の再放送 という無茶をやってくれてて、かなり笑えましたね。 5年前の連想ゲームなんて言われなきゃ気づかないって。 個人的な意見書くと、低予算多チャンネル放送で 生き残るのは音楽のプロモーションビデオを流すMTV とか、車のプロモーションビデオを流す車情報チャンネル とか、プロレスのプロモーションビデオ流すチャンネル とか、キャンペーンガールのプロモーションビデオ (水着のおねぇーちゃんがハワイやグァムではしゃいでる奴) 流すチャンネルとか、 CM&プロモ専門チャンネルだと思うんですね。 変な話アニメにしたってキャラクターグッズやLD&ビデオの プロモだし、社員3名とか5名とかで自社番組は作れないでしょ。 と、長々と自説を展開。 銀歯に戻ると「膝割れシネマトーク」で 映画について語る訳ですがキネ旬や秘宝館系を意識して 既存の市場の透間を狙うって宣言がプロっぽいですね。 笑わせてもらったのが「毛利名人対高橋名人」 そんな映画あったんですね。ゲーム名人の話なのですが 試合を前にしてする猛特訓が 豆を箸で選別したり、ロッククライミングしたりで その結果、連打でスイカを割れるようになったり 強風の中でトランプを立てれたりと凄い成果が上がる。 そして試合当日・・。 ある種ジャッキーチェンの酔拳や蛇拳にも通じる ハチャメチャさ。銀歯のライターさん、たぶんプロです。 次はI:CORE http://www.core.gr.jp 実は今日I:COREの方から、 「メルマガ読みました。これからも書いて下さい」とメールを頂いて それでやる気の失せてたこのメルマガを今書いてるんですね。感謝! 私の手元にあるのは第三号で特集若者的って奴なのですが 各人各様に若者的について 全体に他の同人誌に比べ硬い文章で語っていて、 どことなく60年代のサルトル=大江健三郎を感じさせる。 ここで語られてる若者的って言葉が時として大学生的と 同義で使われていて、小中高と勉強という役割を背負わされて 今後会社員というより責任ある役割を 担わされるであろう大学生が やるべき役割を与えられない大学で 役割が無いことに戸惑い、 役割によって人とつながることが出来ない中で どう人間関係を作り、与えられない役割を どう自分で作り上げるのか? という実存主義的な熱を帯びたテーマで 静かに盛り上がってる。 私が大学生だった頃大学は こういうテーマで話せる場で無かったし いまでもこういうテーマは本音を言える少人数のグループ内の 話題で、大学での主な話題ではないと思う。 だからこそI:COREを作る必要があったんだと思う。 もう一個、USO800という人が書いた 「自衛隊民営化」はドキュメンタリータッチのジョークで わりと笑える。少しネタを拝借すると 自衛隊が作る核シェルター付きトーチカ型マンションに 自衛隊の要人警護業、野戦カレー専門レストランチェーン などについて真面目に考えている。 ペンネームを見るまでマジでこれが 細川内閣下で検討された案かと思った。 最後に模索舎で一番売れているらしい「とほ」 http://www.toho.net/ 民宿の広告を集めただけの本なのだが 結局最後に売れるのは実用書。 就職情報誌や中古車情報誌など広告を集めただけの雑誌が 一番売れるということです。 あ、忘れちゃいけなかった。 模索舎さんの出してる「模索舎月報」 郵便振替口座00180-7-21310に 年間購読料3000円を振り込めば 毎月持ち込まれる300の本のリストが手に入る。 このリストさえあれば、日本全国どこからでも 模索舎の本が通信販売可。 ■■■■□■■■■□■■■■□■■■■□■■■■□■■■■□■■■■□ 【賞なしコネなしやる気なしで作家を気取る100の実験メルマガ】登録ページ http://www.pat.hi-ho.ne.jp/kidana/mmg.htm 登録と解除は上のページで。 関連HP:掲示板に感想・御批判入れて下さい。 http://www.pat.hi-ho.ne.jp/kidana/ 発行者 木棚 環樹:kidana@pat.hi-ho.ne.jp ■■■■□■■■■□■■■■□■■■■□■■■■□■■■■□■■■■□