■■■■□■■■■□■■■■□■■■■□■■■■□■■■■□■■■■□ 不定期刊行物【賞なしコネなしやる気なしで作家を気取る100の実験】 第65号 2003/10/29発行 ■■■■□■■■■□■■■■□■■■■□■■■■□■■■■□■■■■□ 1ワークショップ http://www.pat.hi-ho.ne.jp/kidana/55gou.txt でポエトリー・リーディングの オーディションシステムを批判をされていた方が ワークショップ批判もされていて、 その内容というのは 「ワークショップではみんなお互いほめあってばかりで 批判も批評も出来ない。だから誰も成長しない。 新しい物も生まれない。」 という内容でその批判に関して 共感する部分もあるし、違うだろと思う部分もあるのですが、 詩の朗読でも演劇でも音楽でもビデオの撮影でも良いですが、 そういうワークショップに行くと、 まず先生から基礎的なことを教えてもらって 教えてもらったことを生かして、 実際に演奏なり芝居なり朗読なりをやってみるわけです。 仮に生徒が16人いたとして、4人の班を4つ作って それぞれの班で一個出し物を決めて自分達で作り上げると。 出来あがったらそれぞれ他の班の出し物を見て 感想を言い合うのですが、 普通はほめあって終わるものなんですね。 批判する対象が議論好きの男性だと良いのですが 間違って、女の子が作った出し物を分析してしまって その分析が本人の気に入らなかった場合、 いきなり泣き出す子とかいるわけだ。して 「**ちゃん、大丈夫?」とか言いながら、 「なによ++くん、謝りなさいよ!」 とか言い出す女の子がいて、 小学校の学級会みたいになるわけだ(笑)。 そういう意味で、その人のワークショップ批判は よく分かるし、共感できるのですが。 ただ、その人のワークショップ批判に ちげーだろと思ったのは、その人、その専門分野において 大学で講義持てるぐらいの知識と経験ある人なんですね。 ワークショップってのは普通、 その日一日だけ二時間授業受けてとか 週に1回の講義を3ヶ月12回講習とか そんなもんで、基本的には初心者向けなんですね。 そこに、そのジャンルの専門学校で4年勉強してましたとか このジャンルをもう10年やってますとかいう セミプロランクの人が、 今日初めてこのジャンルに触れますという素人に クオリティーが低いとか言ってもしょうがないと思うわけです。 ワークショップというのは先生がいて生徒がいて、 最終的に生徒が出し物を作って、 お互いに感想を言い合うという形式だとすると 先生がいなくて、参加者間で出し物を見せて感想を言い合う 交流会とか合評会とかあるわけだ。 オープンマイクってのも割りとそれに近いし、 死紺亭さんの過渡期ナイトも、そういうノリなんだけど 私も死紺亭さんももう30歳なわけです。 16や18のとき合評会とか来たら、すげー新鮮だし 自分の知らなかった世界が色々見えるし楽しいさ。 22や23歳でもまあ、まあ、楽しいでしょう。 これが30にもなってもう十年も同じことしててみ、 16やそこらの高校生が下手糞な出し物を一生懸命する。 見てて詰まらないし、基本的なことがまず分かってない。 その基本的なことを教えても良いんだけど、 教えた次の日にはまた別の高校生が来たりする訳だ。 本気で難解なことやったら初心者にはついてこれない 敷居の高いイベントになってしまう。 だいたい、普通の日本人てのは、高校か大学ぐらいで そういう文化に出会って、専門学校や大学を卒業する頃に 就職してそういう文化活動から離れていく訳だ。 そうすると、自分はどんどん歳を取って経験を重ねて行くのに 周りは常に二十代前半、話がどんどん合わなくなって、 最後、ワークショップ批判を展開された*さんみたいに 16歳の女の子の出し物を15分もじっと我慢して聞いて 最後に拍手するのが耐えられなくなって 離脱ということになっちゃう訳だ。 だからと言って、じゃあ合評会じゃなくて 俺達がちゃんと商品として成立するようなショーを見せるから 他はみんなお客さんで消費者で観客で良いからつって、 人が集まるかというと集まらない。 年齢的・社会的ポジションが すげー中途半端なところへ行く訳です。 という話を過渡期ナイトあけに死紺亭さんと私の 30歳コンビでしてて ワークショップの役割は何なのか? ワークショップに何が出来て何ができないのかと 考える訳です。 ネット上で私の友人が小説のワークショップや合評会をやっていて http://www.edit.ne.jp/~deagle/mrc/ それの運営をめぐっても色んな議論があったりするわけです。 http://www.i-sakka-kyoukai.com/kb/?b=mrc&c=v&num=50 技術向上のための批評や分析とただの悪口罵詈雑言とは 何が違うのか? 初心者歓迎なのか、 腕に自信のある人しか参加しちゃいけないのか? そもそも文化や芸術に優劣をつけることが出来るのか? 優劣がないとすれば、参加者の技術向上もないのか? あるとすれば、誰がどうやって優劣をつけるのか? さかなさんというネット上の友人が主催するからということで http://www.edit.ne.jp/~deagle/mrc/nlist.cgi?t=15 気が進まなかったけれどもワークショップに協力して 参加者全員の小説を読んでコメント付けてという作業を ノルマとしてこなした訳だ。 http://www.i-sakka-kyoukai.com/forum/wforum.cgi 実際には、ワークショップ企画で、 全員の小説を読んでコメントつけがノルマは 私の勘違いで、やらなくて良いことだったようなのですが そのとき私が思ったのは、感動したとか面白かったとか そういう主観をなるべく排除して、 形式的に優劣を付けようと。 デジタルに行こうということでした。 小説の合評サークルで大きなブームを起こした一番の成功例は 京大のミステリー研究会で、新本格派の推理小説ブームが 有名です。 何故、これらが成功したかと言うと、本格ミステリーという ジャンルの特性にあると思います。 「面白いもの」や「感動するもの」を作れと言われても それはある作品がもたらした効果であって 形式ではない。形式でない以上、 真似たり学んだりは出来ないわけです。 本格派ミステリーというのは、読者に謎を提示して それに論理的整合性を与える形式です。 論理的な形式というのは真似たり学んだりできるわけです。 教える−学ぶということを相互にやりあう 合評会には適した形式だと思います。 ネット上の合評会で、私がやろうとしたのは 目の前の小説が ショートショートという形式に 一致しているか一致していないかを 形式的にコメントすることです。 本格ミステリーは謎が提示されて その謎が、意外性がありかつ論理的整合性のある 結論で解決される形式です。 ショートショートも、謎は提示されないけれども 最後に意外性がありかつ論理的整合性のある落ちで 終わる形式です。 優劣をつける事は出来なくても 型にはまっているかどうかなら言えるし 本格ミステリーやショートショートは 型にはまっていることが良いとされる ジャンルであるなら、 合評会で扱うのに適したジャンルだろうと 思った訳です。 思えば文学史において、 オリジナリティという概念を生み出したロマン主義は 型を重視した古典主義の後に生まれている。 古典主義時代に型を学び、型を重視するところからしか 個性やオリジナリティは生まれてこない。 最初に型を学んでその後に、その型をどう崩すか その型に対してどういう距離の取り方をするのかを みないと、個性もオリジナリティーも判断できない。 フォーマットがない所で いきなり自由に詩を書けと言われても 困るだろうと。 実際、小学五年のとき、詩を書いてきなさい という宿題があって、親や同級生に どうすりゃ良いのか相談したけど 「改行をいっぱいすれば詩なんじゃないの?」 ぐらいの言葉しかもらえず、 担任の先生も「みんなが書いてきたのは詩じゃなくて作文だ」 と言いながらも、じゃあどう書けば良いのかと聞かれて 「詩的な表現を書かなければいけない」 という同義反復しか出来てなかったし。 そんなわけで、何とか詩の型を学ばなければならないのだ。 ということで、詩のワークショップ情報で締めます。 11/1(土) 詩学ワークショップ・青の日 時間18:00〜20:00 場所:東京都文京区春日1−16−21   文京シビックセンターF5研修室B 料金1000円 当日作品コピーを15部持参。(要予約) http://www.poeca.net/cgi/db.cgi?action=details&code=977 http://www7.ocn.ne.jp/~shigaku/work.htm 2イベント情報 10/29(水) 「OPEN DJ BAR」 場所:東京都杉並区荻窪5-16-15井上ビル3F 荻窪boxinglee's cafe 開場19時  内容:オープンDJ 料金1000円(1ドリンクつき) http://www007.upp.so-net.ne.jp/boxinglee/ 11/1(土) 「EFRICOGI」 場所:東京都杉並区荻窪5-16-15井上ビル3F 荻窪boxinglee's cafe 開場18:30 開演19:00 内容:オープンマイク 料金 1500円(1ドリンクつき) http://www007.upp.so-net.ne.jp/boxinglee/ 11/3(月)文化の日祝日 文学フリマ 場所:青山ブックセンター地下2階 時間11:00〜 内容:著者による自著販売会 http://bungaku.webin.jp/ 11/3(月)文化の日祝日 山田詠美(朗読) 奥泉光(朗読&フルート) 吉野弘志(コントラバス) 時間18:30開場 19:30スタート 場所:杉並区西荻北3−12−10司ビルB1 ジャズバーKonitz(ハートランドの隣) 前売り・予約のみ。当日券無し。 内容:朗読ライブ 値段:5000円(1ドリンク付) 11/8(土) 美学校ナイト 時間:19:00〜21:30 場所:東京都千代田区神田神保町2−20第二富士ビル3F 内容:朗読ライブ&オープンマイク 料金1000円(1ドリンク付き) http://www.zyx-web.com/bigakko/ 11/8(土)   「一語一会 朗読発表会」 場所:アトリエだるま座 開演14:00〜   17:00〜 料金 1000円  http://wwwfoulitip.net/ 11/22(土) 3K7 出演:カワグチタケシ、究極Q太郎、小森岳史(ゲスト有) 開演:18:00 料金:カンパ制 会場:trade mark kyoto(京都市中京区蛸薬師新町西入る不動町180)  問:075-213-5969(trade mark kyoto)  http://www.trade-mark.jp/ 11/23(日) 3K7.1 出演:カワグチタケシ、究極Q太郎、小森岳史(ゲスト有) 開演:15:00 料金:カンパ制 会場:さらさ西陣(京都府京都市北区紫野東藤ノ森町11-1 離楽庵WOOD-INN)  問:075-432-5075(さらさ西陣) http://za-ha.hp.infoseek.co.jp/sarasa_map.html ■■■■□■■■■□■■■■□■■■■□■■■■□■■■■□■■■■□ 【賞なしコネなしやる気なしで作家を気取る100の実験メルマガ】 登録ページ http://www.pat.hi-ho.ne.jp/kidana/mmg.htm 登録と解除は上のページで。 関連HP:掲示板に感想・御批判入れて下さい。 http://www.tcup3.com/356/kidana.html 発行者 木棚 環樹:kidana@pat.hi-ho.ne.jp ■■■■□■■■■□■■■■□■■■■□■■■■□■■■■□■■■■□