■■■■□■■■■□■■■■□■■■■□■■■■□■■■■□■■■■□ 不定期刊行物【賞なしコネなしやる気なしで作家を気取る100の実験】 第62号 2003/10/24発行 ■■■■□■■■■□■■■■□■■■■□■■■■□■■■■□■■■■□ 1小林大吾さんのワークショップ の前に、さいとういんこさんと ATOMさんのワークショップについて書くと いんこさんのワークショップでは、作詞(作詩?)のメソッドを 習うという内容であるらしく(あくまで噂でしかしりませんが) これを知れば誰でも詞が作れるという方法を習う講座で、 ATOMさんはATOMさんの用意したバックトラックを使って 実際にラップをやってみて、CDを作ろうという内容で ワークショップが終わったときには、各自自分がラップしている CDがもらえるらしいです。 http://www008.upp.so-net.ne.jp/little/workshop.html して、大吾さん自身は、 人前でパフォーマンスをしたことがない初心者向けの ワークショップを考えてきたのに、 実際集まったのは、私と村田活彦さんと大地さん。 (私以外の二人は遅刻) 村田さんは前回のラウンドカッツで司会のカワグチタケシさんから ゲストとして呼ばれていた方で朗読活動歴4年、ブランク一年半の ベテランで、大地さんも5年ほど活動されている方で、 大吾さんも私も人前での朗読歴は一年未満なのですが、 大吾さん曰く 「何で人前でやってる人達が来るんだ!」という ことを言われていて、初心者向けの授業を考えていたのに 生徒が全員自分より年上、活動歴も長い人が多い、 授業しにくかったようです。 (大吾さんは20代前半、私は29才で、 村田さんと大地さんは30代前半) 大吾さんは、 「村田さんも木棚さんもみんな自分のもの持ってんだから俺から 教わろうなんて思うな。その性根が腐ってる」と散々悪態ついて、 私と村田さんで爆笑してました。 「発声練習用のテキストとか心構えとか用意してきたけど もう良い。二人とも声は出るでしょ。」 などと言いながら、実際に詩を作る作業に入っていきました。 (この頃になって、大地さん登場) 1) 一枚の写真を見ながら、思いついたことを紙に箇条書きして行く。 2) 各自書いた紙を回し読みして、良いと思ったフレーズに丸を付ける。 3) 繰り返し使うキメ台詞を決定。 4) 各自順番に好きなフレーズを提出して詩を作っていく。 5) 各自で暗唱し、自分なりのパフォーマンスを作る。 6) みんなの前でパフォーマンスを発表。 7) 誰のパフォーマンスが良かったか投票。 8) 一番良いパフォーマンスをした人が   授業料から千円キャッシュバック。 という流れで、大吾さんの用意した写真を見ながら 箇条書きをはじめたわけです。 写真は海の底から海面を撮った写真で、魚の群れや黒い岩肌、 波で泡立つ海面、太陽の日差しが映っています。 青い海を空に例えたり、白い波を雲に例えたりする表現は いくらでも出てきますが、 そんなのはおそらく他の人も書いているでしょう、 他の人が書かないような表現をしないと選んでもらえません。 てなことを考えていると、すぐに書くことがなくなります。 ふと隣を見ると、村田さんがすごい勢いですごい量の文章を書いています。 見せてもらうと、海の写真から、かつて彼女と水族館に行った話や その彼女との思い出など、写真から水族館、水族館から彼女、彼女から ・ ・と自由に連想を広げて書いています。 この手があったかと思いつつ、 大吾さんは、写真の周囲にある白いふちや 写真を貼ったダンボール紙の厚みや波打つダンボール紙の断面の描写、 さらにその写真が乗せてあるテーブルや何かにまで 描写が広がって行きます。 なるほど、そういう手もあったかと思いつつ、 大地さんは岩肌の凹凸を人の顔の断面図に例えて、 魚の群れを飲み込もうとする岩肌から 「食べたいんだすべて」 という人間の欲望を全肯定するようなフレーズを 打ちだし、それが繰り返し使うフレーズとして選ばれます。 詩は、4人がそれぞれ良いと思ったフレーズを順番に選ぶことで 4行生まれて、最後に「食べたいんだすべて」で閉める。 これを3つ作って完成です。 フレーズで、思わず笑ってしまったのは、 大吾さんが書いたもので、白い波を雲に例えるところまでは 私でも思いついたのですが、気象衛星ひまわりからの画像に例えて 「お天気お姉さんのランデブー」 とまで言い切ってしまったのは、 私のツボに入りました。 あと、村田さんの文章の中で「走れ!背びれ!」という キャッチ−なフレーズにもしびれました。 「食べたいんだすべて」の繰り返しと重ねても 母音の「え」で脚韻が踏めているから良いなと 選ばせてもらいました。 面白いのは、文章をバラバラにして繋ぎ合わせるという シュールレアリズム〜バロウズ系の方法を使っているにも関わらず 割りと統一感が出来ていて、 それは同じ絵からスタートしているからという理由と 「食べたいんだすべて」という全てを内包したフレーズに あるのですが、当初予想したよりも飛躍し過ぎてない内容になりました。 各自のパフォーマンス作りに入ると、大吾さんがベランダ、 大地さんは部屋の隅、村田さんは玄関、私は台所と分かれて暗唱と練習。 大地さんはギル・スコット・ヘロンという HIP−HOPやRAPに近いポエトリーをやってる アフロヘアの黒人アーチストが好きで、 黒人音楽寄りでやると強いわけです。 村田さんも練習中の様子を見ると 音楽寄りにパフォーマンスを作られていて、 大吾さんはどちらかと言うと音楽より朗読寄りだろうとなったときに 人数の配分から行って、 私は朗読寄りにシフトした方が良いのかなと思い そちら寄りで構成を考えました。 昔、オードリ・ヘップバーンの映画で、 馬が走るシーンがないのに馬が走っているかのように見える 競馬場のシーンがあって、客席の観客全員が同じ方向を向いて、 先頭の馬のトラック走に合わせて、 顔や上半身が前後左右に動くんですね。 実際には馬ではなくランプを見て 全員が同じ動く対象を追い掛けていたらしいのですが。 そのシーンの様に、目で動く対象を追い掛ける演技をした結果、 私以外の3人が私に票を入れて下さって、みごと一位! この豪華メンバー相手に、やったぜ! と、今回は木棚ひとり自慢号で、お開きにします。 2イベント情報 11/3(月)文化の日祝日 文学フリマ 場所:青山ブックセンター地下2階 時間11:00〜 http://bungaku.webin.jp/ 11/3(月)文化の日祝日 山田詠美(朗読) 奥泉光(朗読&フルート) 吉野弘志(コントラバス) 時間18:30開場 19:30スタート 場所:杉並区西荻北3−12−10司ビルB1 ジャズバーKonitz(ハートランドの隣) 値段:5000円(1ドリンク付) 11/22(土) 3K7 出演:カワグチタケシ、究極Q太郎、小森岳史(ゲスト有) 開演:18:00 料金:カンパ制 会場:trade mark kyoto(京都市中京区蛸薬師新町西入る不動町180)  問:075-213-5969(trade mark kyoto)  http://www.trade-mark.jp/ 11/23(日) 3K7.1 出演:カワグチタケシ、究極Q太郎、小森岳史(ゲスト有) 開演:15:00 料金:カンパ制 会場:さらさ西陣(京都府京都市北区紫野東藤ノ森町11-1 離楽庵WOOD-INN)  問:075-432-5075(さらさ西陣) http://za-ha.hp.infoseek.co.jp/sarasa_map.html ■■■■□■■■■□■■■■□■■■■□■■■■□■■■■□■■■■□ 【賞なしコネなしやる気なしで作家を気取る100の実験メルマガ】 登録ページ http://www.pat.hi-ho.ne.jp/kidana/mmg.htm 登録と解除は上のページで。 関連HP:掲示板に感想・御批判入れて下さい。 http://www.tcup3.com/356/kidana.html 発行者 木棚 環樹:kidana@pat.hi-ho.ne.jp ■■■■□■■■■□■■■■□■■■■□■■■■□■■■■□■■■■□