■■■■□■■■■□■■■■□■■■■□■■■■□■■■■□■■■■□ 不定期刊行物【賞なしコネなしやる気なしで作家を気取る100の実験】 第25号 2003/1/1発行 ■■■■□■■■■□■■■■□■■■■□■■■■□■■■■□■■■■□ 1ごあいさつ あけましておめでとうございます。 バイト先のレンタルビデオ店で年を越した木棚です。 テレビ壊れたままなので、 紅白もレコード大賞も猪木ボンバイエも 観る予定もなく、その時間はひたすらバイト。 怠け者の節句働き・貧乏暇なし。 まあ、そんな感じの生活です。 皆様はいかがお過ごしでしょうか。 2SLAM http://www.kuzui.co.jp/slam/ SLAM(スラム)という映画があります。 日本で詩の朗読と言うと、上品そうな文学少女や文学青年が ベルサイユのバラみたいなヒラヒラの付いたブラウスを着て 降ろした前髪(フリンチヘア)を指先でいじりながら 繊細な恋の詩をナルシスティックに読み上げるという イメージがどうしてもあります。 このイメージを圧倒的に叩き潰したのがこの映画で。 刑務所に入れられた黒人の人達が、他の受刑者とケンカをするときに 相手をビビらせるために、まくし立てる殺し文句が このスラムという奴でして、 アメリカのポエトリーリーディングのイベントで優勝した人達が この映画に出てるのですが、 恐喝のプロが恐喝のプロを恐喝する言葉がSLAMな訳だから すごく迫力があります。 アメリカで不良少年のための更正プログラムというのが有って 13〜16歳ぐらいの家出・万引き・ケンカ常習者を集めて 刑務所の一日体験入獄というのをやるんですね。 街のワルが二・三十人集められて刑務所の中で 輪になって実際に入っている受刑者の人の体験談を聞くわけです。 最初は、自分たちの不良グループの先輩達に会いに行く ぐらいの軽い気持ちで居るのですが、 行ったら片目が潰された黒人の受刑者なんかが居て、 10代前半のガキ相手に「名を名乗れ」と言ってくる。 うつむいてふてくされたように自分の名をつぶやくと 「ナメてるのかてめぇ、俺の目を見てハッキリ言え!」 と、ガキの座ってる椅子を蹴りながら 早口でなんか怒鳴り散らすわけだ。 場の空気が一転するね。 数では多いはずの十代のガキどもが完全に飲まれる。 目を真っ赤にして泣きそうになりながら名前を言ったら 「次」と言って、右回りに自己紹介をさせられる。 ビビッてるから、目を見て真面目に大きな声で名前を言う。 受刑者の仕事は、ここはろくでもないところだから こない方がいい。そういう印象を若者に植え付けることだ。 ただし、受刑者は若者を殴ってはいけない。 目を見て話せと言われて、ビビってずっと見ていたら、 「何見てんだよ」と絡まれる。 「お前、俺より強いのか、俺とお前どっちが強いんだ」 つって、顔を近づけてくる。 「あなたの方が強いです」と言うと 「聞こえないなぁ。はっきり言え」 「あなたの方が強いです」 「だったらお前は俺の所有物だ。 当然だろう。俺のほうが強いのだから」 「お前は、俺の袖を握れ。そうやって一生俺の所有物としてついて来い」 ソデを握らされた、ガキは受刑者が移動したり立ち止まったりするたびに あちこち振りまわされる。場内から笑いが起きる。 ビビって言いなりになってるガキンチョを取り囲む同世代の不良が笑う。 「煙草を吸いてぇな」と受刑者は言う。 「誰か煙草を持ってる奴はいねぇか」 他の受刑者が「一本やるよ」と言う。 「すまねぇな。煙草はこいつと交換だ」 と言って、さっき手に入れた十代のガキに 「お前、あいつの所有物。あいつの袖を握りな」 言われた受刑者が 「いらねぇな。これ、役に立つのか?」 煙草一本と交換されることでそいつの自尊心を 徹底的に破壊する。 まあ、そんな感じの更正プログラムのドキュメントが SLAMという映画とは無関係にテレビで放映されてて でも、そのドキュメントでも実際に SLAMのような脅し文句が頻繁に出てて 刑務所文化としてSLAMは定着してるのだと 普通に感じられたのですね。 日本で言えば、 「ケツから手ぇ突っ込んで奥歯ガタガタいわしたんぞ」や 「どたまカチ割って、 ストロー突っ込んで脳みそチュルチュル吸ったんぞ」 という脅し文句の定番に近いのがSLAMだと。 アメリカのポエトリーリーディングの全国大会で優勝したのが SLAM系の詩人だということは、詩の持つ社会的ポジションが 日本とアメリカじゃずいぶん違うってことでしょう。 この話題、詩のボクシング東京地区予選大会の 参加体験談まで繋がります。 3詩の朗読イベント情報 1/05 (日) 奇聞屋(きぶんや) http://www.kibunya.jp/info.html にて第2回「引かせ王」選手権 引かせて、ナンボ があります。出演:大村 浩一 ポエム王子他  18:00 Open, 18:30 Start ¥1000 (1ドリンク) 詩の朗読により、 お客さんをより引かせた人が勝ちという 一般とは逆のルールによる詩のバトルイベント。 飛び入り参加者募集中だそうです。 3/29「ひなたぼっこ」にて 武力也(ぶりきや)さん参加の詩のイベントがあります。 オープンマイクで、一人三分ほどであれば飛び入り参加可。 コミュニティカフェ〈ひなたぼっこ〉 千葉県船橋市本町4-31-23 石国ビル1F 交通 = JR総武線船橋駅南口より徒歩10分 http://homepage2.nifty.com/swampland/chiba/hinatamap.gif 4/29祝日午後六時〜第二回詩のボクシング東京大会が 科学技術館/サイエンスホールにてあります。 入場料二千円。 Ben's Cafe http://www.benscafe.com/ja/poetry_j.html 毎月第三日曜日にオープンマイクイベントがあります。 朗読希望者の受付17:30〜 リーディング18:30〜(21:00) 参加費:無料 ■■■■□■■■■□■■■■□■■■■□■■■■□■■■■□■■■■□ 【賞なしコネなしやる気なしで作家を気取る100の実験メルマガ】登録ページ http://www.pat.hi-ho.ne.jp/kidana/mmg.htm 登録と解除は上のページで。 関連HP:掲示板に感想・御批判入れて下さい。 http://www.tcup3.com/356/kidana.html 発行者 木棚 環樹:kidana@pat.hi-ho.ne.jp ■■■■□■■■■□■■■■□■■■■□■■■■□■■■■□■■■■□