■■■■□■■■■□■■■■□■■■■□■■■■□■■■■□■■■■□ 不定期刊行物【賞なしコネなしやる気なしで作家を気取る100の実験】 第24号 2002/12/31発行 ■■■■□■■■■□■■■■□■■■■□■■■■□■■■■□■■■■□ 1ごあいさつ 突然のメルマガで驚かせてしまって申し訳ないです。 お久しぶりです。木棚と申します。 しばらく、このメルマガに何を書いて良いのか分からなくなって 一度廃刊にしてしまったのですが、 最近、いくつかの文学イベントに参加して、 また書くことが出来てしまったようなので、書かせてやって下さい。 2出版ビジネス 昔、文芸誌の座談会で、良い話だなぁと思ったのは、 名作とか古典とかは、 国語の教科書に載らないと売れないらしいです。 逆に国語の教科書に載りさえすれば、駄作であっても売れる。 国語で文学史の授業をやらなくなれば、 そして古典を扱わなくなれば、 太宰治以前の小説はみんな書店から消えるらしいです。 出版社側からすると、 国語の教科書に小説が載ると、 日本中の中学生なり高校生なりが、 その小説の一部抜粋を読むわけで、 それだけで年に2万〜10万部ぐらいの文庫本が売れる。 だから、いかにして名作を書くかではなく、 いかにして教科書に小説家やその著作を載せるかという 政治力になってゆく。 文部省の誰を接待すれば良いのかとか。 時の政府が考える望ましい小説とはどのような小説か? 国策に合った小説とは? ボブグリーンのアメリカンビートに 「残念ながら出版できません」というコラムがあります。 コラムの内容ですが。NYのフリーライターが小説家になろうと、 自分の書いた小説をあちこちの出版社に送ったが、 断りの返事しかもらえなかった。 そこで彼は、小説の内容ではなく、 無名ライターだからという理由で落されているのではないか? と考え1969年に全米図書賞を取り、 四十万部以上の売り上げを記録した本。 つまり、芸術的な質も商品としての売り上げも素晴らしい コジンスキーの「異境(ステップス)」を 一字一句変えずに丸写しして、 タイトルを無題にし、著者名を自分の名前に変えて、 NY中の出版社に送った。 当然、そんなことをしても、 有名な小説のコピーだとバレてしまう。 ・・・はずだった。 が、結果は14の出版社とも断りの手紙をよこし、中には 「コジンスキーの小説を思わせる箇所もあるが、 うわべだけで不完全な印象があります」 などと書いてきたところもある。 異境を出版している四つの出版社も含めて、 誰もそれがコジンスキーの小説その物であることに気がつかず、 内容に文句をつけて出版を断った。 フリーライターの彼はその体験を ニューウエストという雑誌に書き、 トゥモローというテレビ番組や全米書店協会の大会でも話した。 けれども、現状は改善されることもなく、 フリーライターのロスは新しい小説を書くために またタイプライターを打ち始める。 という出来すぎてて嘘っぽいですが、 そういう事実があったりします。 ■■■■□■■■■□■■■■□■■■■□■■■■□■■■■□■■■■□ 【賞なしコネなしやる気なしで作家を気取る100の実験メルマガ】登録ページ http://www.pat.hi-ho.ne.jp/kidana/mmg.htm 登録と解除は上のページで。 関連HP:掲示板に感想・御批判入れて下さい。 http://www.tcup3.com/356/kidana.html 発行者 木棚 環樹:kidana@pat.hi-ho.ne.jp ■■■■□■■■■□■■■■□■■■■□■■■■□■■■■□■■■■□