■■■■□■■■■□■■■■□■■■■□■■■■□■■■■□■■■■□ 不定期刊行物【賞なしコネなしやる気なしで作家を気取る100の実験】 第204号       2009/6/15発行 ■■■■□■■■■□■■■■□■■■■□■■■■□■■■■□■■■■□ 1文学イベント情報 ウエノポエトリカンジャム4 日時:6月27日(土)  11:00 Open 12:00 Start 雨天決行 場所:上野恩賜公園野外ステージ 入場無料 http://d.hatena.ne.jp/UPJvol4/ 客席が千席を越える日本のポエトリーライブイベントとしては 最大規模のイベントです。 2ウエノポエトリカンジャム3はテレビだった ポエトリー・リーディングのイベントレポをこのメルマガで 書いていた時期、詩の朗読・オープンマイクには 大きく分けて4つの種類があった。 文学・お笑い・演劇・音楽。 この四つは主催者や出演者の出身媒体によって 生まれていて、この4つは異なっているのと同時に、 入り混じってもいるのが現状だった。 シェークスピアという英文学一有名な文豪がいるのですが 彼は上の四つのどこに所属したのか? 文豪だから、当然文学だ。 いや、劇団の座付き作家だったのだから、当然演劇だろう。 喜劇も書いているのだから当然、お笑いだ。 弱音と強音の繰り返しによるブランクバース(韻がない)詩を 英語に持ち込みミュージカルの原型を作った 詩人なのだから、当然音楽だろう。 前回のメールマガジンで、日本TV番組史の初期の人気番組であった 「しゃぼん玉ホリデー」について書いたが イギリスのモンティパイソン、アメリカのサタデーナイトライブも 似たような内容の音楽コント番組で、 サタデーナイトライブであれば、 ブルースブラザーズというコミックバンドが 歌って踊って笑わせる。 モンティパイソンの場合、ビートルズのパロディで ラットルズが出てくる。 コミックバンドだから、音楽とお笑いの要素は当然入るが コントである以上、そこに演劇が入り、 コント台本があり構成作家がいるという意味では文学でもある。 例えば、しゃぼん玉ホリデーのクレージーキャッツには 青島幸男という作家がついていた。 そういう意味で、舞台やTVのような総合芸術には 文学・お笑い・演劇・音楽の境界がない。 歌あり、ダンスあり、笑いあり、演劇あり、文学ありの 音楽バラエティーショーの流れは、しゃぼん玉ホリデーから 「8時だよ全員集合」に受け継がれて、いまだと 「SMAP×SMAP」がそれに当たる。 最近、雑誌のコラム界では、ジャニーズ、SMAPの 悪口を書くことが解禁になったらしくて、 木村拓哉の演技力をけなすコラムがよくでている。 私が読んだコラムでは、上から木村拓哉の演技力にケチを付けてくれ と依頼をされたから、(本来私はそう思っていないのだが) 木村拓哉の演技力にケチをつける。という内容の書き出しで 腰の引けた状態から始まる。コラムニストの仕事は 文章によって笑いや共感を引き起こして、 最終的に自分の文章が組まれた雑誌や単行本を買ってもらうことにある。 読者の多くがジャニーズファンであろうTV雑誌で 木村拓哉にケチをつけて、 木村拓哉ファンが読んでも思わず笑ってしまうようなクオリティの コラムに仕上げるのは、至難の技で、 それが出来る芸を持った人は、SMAP批判が解禁される前から SMAPをいじって笑いを取っているし(EX.ナンシー関) それなりに名前の売れたコラムニストであることが多い。 無名のコラムニストで、解禁されたから、依頼があったから 悪口を書いてみるけど、笑いが取れるか自信がないみたいな人の コラムを読むと、お互い生きていくって大変だよねと思う。 ジャニーズよりもお笑いが好きな男性である私にとって 木村拓哉とはコントに求められる演技力の水準を急激に上げた人だ。 「体感エレベーター」という一連のコントでは、 エレベーターの中で美しい女性と二人っきりになってしまうときの 気まずい空気を不器用な動作と絶妙の間で表現し、 探偵物語の松田優作、古畑任三郎の田村正和の物まねで 圧倒的な表現力を見せ付けた。 「SMAP×SMAP」という音楽コント番組は 同時期に放映された多くの優秀なコメディアンによって作られた コント番組を駆逐していった。 ウッチャンナンチャンの「笑う犬の生活」、 ダウンタウンの「ごっつええ感じ」、 ビートたけし&志村けんの「神出鬼没タケシムケン」、 ナインティーナインの「とぶくすり」、 比較的生き残っているのが「はねるのトびら」辺りだろうか お笑い専属芸人のコント番組を駆逐して、 それよりも面白いコント番組を作ったのがSMAPで その面白さの多くは、お笑いのアイデアではなく、 演技力によって生み出されている。 自分にとって衝撃的だったのが、 「ココリコミラクルタイプ」で、これはお笑い芸人が 自分達の考えたネタを自分達で演じたのではSMAPに勝てないので プロの俳優さん・女優さんに演じてもらうことで SMAP×SMAPに勝とうとした番組だと俺は思う。 コント(演技による笑い)の基本は、 物まね(声帯模写・形態模写)にあって、 ロビン・ウィリアムズの演じるポパイや(ブッシュ)大統領 エディ・マーフィの模写するパトカーのサイレン音などは 無名の人間が、TVなどの大舞台で10秒や15秒の 持ち時間を与えられて出来る笑いの究極だと思う。 無名で大舞台だと長い持ち時間は与えてもらえないし 10秒やそこらだとトークの内容で笑わせるのは困難だ。 物まねなら出てきただけで笑いが取れる。 ダウンタウンの「ごっつええ感じ」で一番視聴率が取れていたのは 対決シリーズだと聞く。 それが松本人志のプライドを傷つけていたと想像する。 対決はきちんとした台本のあるコントではなく 2チームに分かれてゲームをし、負けた側が罰ゲームを受けるという ゲーム形式のバラエティで、盛り上がりの頂点は 罰ゲームを受ける松本人志がリアクションをするところにある。 つまり、ごっつええ感じで視聴率を取り続けるには 松本人志がリアクション芸をし続ける必要がある。 元々、ダウンタウンは東京進出をしたとき、 物まねやリアクション芸をやらされて 「うちら二人ともこういうのダメやねん」と 松本が番組中嘆いていたぐらい、トーク中心の芸人だった。 リアクション芸は、 熱湯(という設定の水)を掛けられて熱がったり、 電気ショックが流れる(という設定の)イスに座って 痛がったりという、 熱がっている人、痛がっている人の形態模写で 成り立つ笑いで、本当に熱いお湯や、本当に痛い電気ショックでは 逆に痛すぎて・熱すぎて面白いリアクションが取れない 演技力中心のお笑いだ。 現状リアクション芸人の社会的地位は低く、 お笑いの中での低いポジションに見られる芸をやり続けることが ダウンタウンの中では難しかったのでは中と想像される。 SMAPは、木村拓哉は、コントというお笑いの世界で 演技力を駆使してお笑い芸人に勝った人たちだ。 その木村拓哉の演技力をけなして笑いとを取るコラムを書けという指令は 無名の筆力のないコラムニストには荷が重い。 演劇と音楽とお笑いと文学が同じ物であるように TVと舞台芸術とウエノポエトリカンジャムと シャークスピアとロマン主義時代の文学も 俺の中では同じような物だし、 お笑い芸人のコントもアイドルのコントも同じフィールドにあると思う。 3TVと文学は同じ物だ もう少しウエノポエトリカンジャムについて 書かなきゃいけない気もするが、まあ良い。 文学史のおさらい的なことをしたときに 自然主義以前の時代において、 職業作家はシェークスピアのような劇団の座付き作家であった。 自然主義時代に活版印刷術の発明や蒸気機関の発明などで 大量印刷された本が全国一律料金で同時に 国中に蒸気機関車で行き渡るようになる。 これによって、売文で食う職業作家が生まれる。 自然主義時代以後、二度の大戦後ですが、映画やラジオテレビなどの 電波メディアが出てきて、動画音声込みの総合芸術でも 同時に国中に安価な値段で行き渡らせることが可能になり 再び総合芸術が文学のメインになるという ベタな設計図を描いていて。 http://archive.mag2.com/0000265076/20090506073757000.html の2で書いていることが、 分かりにくいと言われたので、再び説明してみますが ・無作為に配られたチラシの500分の1しか集客力はない。 ・ TVの全国ネットで視聴率10%は1200万人が見ている。 =1200万人にチラシを配ったのと同じである。 =2万4千人ぐらいの集客力がある。 ・ 文芸雑誌の小説がドラマやアニメなどでTV化されて  視聴率10%取れば、雑誌の売上げが2万4千部見込める。 ・ 商業雑誌の売上げは3万部〜30万部ぐらいだ。 ・ TV化作品が2本もあれば雑誌は安泰だ。 ・ 小説はコラムやエッセーと違って、ドラマ化しやすい。 ・ コラムやエッセーでなく小説を募集している文芸誌は   最終的に映像化を目指す。 ・ 「バカの壁」や「B型の取扱説明書」など売れている   エッセーやコラムはあるが、文芸誌は基本小説しか公募しない。 ・ 文芸誌は映像業界に原作を送り込む下請け企業だ。 まあ、こういう主旨のことを書いています。 ■■■■□■■■■□■■■■□■■■■□■■■■□■■■■□■■■■□ 【賞なしコネなしやる気なしで作家を気取る100の実験メルマガ】 登録ページ http://www.pat.hi-ho.ne.jp/kidana/mmg.htm 登録と解除は上のページで。 関連HP:掲示板に感想・御批判入れて下さい。 http://www.tcup3.com/356/kidana.html ■■■■□■■■■□■■■■□■■■■□■■■■□■■■■□■■■■□