■■■■□■■■■□■■■■□■■■■□■■■■□■■■■□■■■■□ 不定期刊行物【賞なしコネなしやる気なしで作家を気取る100の実験】 第173号    2007/9/30発行 ■■■■□■■■■□■■■■□■■■■□■■■■□■■■■□■■■■□ 1楠木菊花 http://members.at.infoseek.co.jp/kicca/ 朗読詩人、楠木菊花さんがしばらく活動を停止するとのことで 最後のイベント「肉体倶楽部」に行ってきました。 9/28(土)PM10:00〜AM4:00 場所:渋谷アピア 入場料1500円+ドリンク代 「ハイロ・シネマ・オールナイト」というイベントの一枠に 「肉体倶楽部」があり、その中のパフォーマンスでした。 2渋谷アピア http://www.apia-net.com/ 会場となったアピアですが、元スターリンの遠藤ミチロウさんや、 詩人の青木研治さんが毎月出演しているライブハウスで ポエトリーだと馬野幹さんやチバ大三さんや恋川春町さんなども 出ている場所です。 とくに遠藤ミチロウさんの北極バクテリアは、 http://www.apia-net.com/michiro/disk.html 渋谷アピアで出しているので ある意味ミチロウさんのホームグラウンドです。 特色としては、小さな箱の割りに音響が良い。 最近のライブハウスは、ウーファーだけ良いのを入れて 重低音を響かせて走るバイクや車みたいに、 低音だけ響かせて音響は普通というのが多いですが この規模の会場にしては私の知る限りトップクラスの音響です。 特に高音域の音の伸び、特に会場に併設されたピアノの音は最高です。 3ハイロ・シネマ・オールナイト ハイロ公式HP http://www.hairo.org/index.html ほしのあきら http://www.infonet.co.jp/apt/march/people/Hosino.html さん総合司会のイベントで、映像版オープンマイクです。 8ミリ・16ミリ・CDR・DVD・デジタルビデオなどを持ち寄って 出演者=観客、観客=出演者で、各自で撮影した映像作品を 上映する。 二ヶ月に一度ペースで1970年代から 35年ほど続いているイベントです。 ハイロの語源は8ミリと16ミリで816(ハイロ)から 来ているそうです。 プロフィールを見るとほしのあきらさんは 多摩美術大学造形表現学部 映像演劇学科の教員らしく http://www.tamabi.ac.jp/geigaku-k/daredarou.html そこの生徒さんやその友達など、映像系の学生さんが数名と ほしのさんのアシスタントや助手等を務める人達が数名の 十五人ほどで上映がされていました。 フリースペースというコーナーでは 一人10分以内の映像を持ち寄って上映、 10分以内なら入場料のみの無料で上映、 10分を超えると1分につき100円の負担。 最初、イメ−ジフォーラム的な物を想像して観ていたのですが イメージフォーラムよりももっと実験的でアマチュア度が高い。 イメージフォーラムもアマチュアの映画監督が撮った映画を 上映するわけですが、一応、役者が出てきて、演技をして、ドラマがある。 ハイロは、雲を撮っていたり、廃墟を撮っていたり、猫を撮っていたり 素人がデジカメで気に入った物を撮影してHPに貼るような感覚で 人もほとんど出てこないし、ストーリーもないし 被写体が動かないことも多いし、動画なのですが動画的ではない。 一作品上映が終わるたびに、司会者と制作者がステージに出て トークをし、場合によっては感想などを会場に求め ひとしきり作品について話す。 技法的には再撮影が流行っているようで、 一度撮影した映像を、映写機に掛けて、スクリーンに映っている物を さらに撮影するとか、パソコンに取り込んで再生したモニター画像を ビデオで再撮影するとか、そういう技法を使うことでよりピントがボケて 不思議な色合い、不思議な質感の画面が出来上がる技法です。 個人的に面白かったのは「鈴木研究所」というコーナーで 所長が鈴木宏忠さん http://yokohama.cool.ne.jp/akaituki/member.html 助手が角南誠(すなみ まこと)さん http://surfacetension.xxxxxxxx.jp/toku_1.html で、フィルムをカッターで削ったり 漂白剤(キッチンハイター)で漂白したり、 漂白前にセロテープをまだらに貼って、漂白し、 漂白後にテープをはがすと、テープを貼ったところだけが 漂白されずに残っていたりといったことをするコーナーです。 もうね、最初っからカメラを使って撮影しようとか 思ってないところがすごい。 黒いフィルムを漂白するとそこだけ赤茶けて、 カッターで切るとそこだけ白くなる。カッターだと 傷が大きくなりすぎるので、紙やすりを使って細かい傷をつけると 色んな模様ができてくる。 助手の角南さんは音にこだわっていて 8ミリの音声部分が光学式の物を使って音を作る。 フィルムをしょうゆに漬けて、再生するとどんな音がするのか しょうゆの音を聞く。しょうゆは発酵食品で菌だから 前回はしょうゆに漬けてすぐの物だったが、今回はその二ヵ月後で フィルムが前回と変わっているのか、上映してみるという奴で ガガガ・ゴゴゴという音とともに、画面が不思議な砂嵐。 青や緑の模様が出てきて、鈴木所長から、 「色が付く理由が分からない」と言われる。 フィルムは普通の状態で黒、くり抜いた状態で白になるが フィルムの表面の部分だけがしょうゆで溶けると青や緑の色が出る。 もう一つは、角南さんの作品で「トーン」というタイトルで オランダのアムステルダムの映画祭でかけたら、 観客の半分が会場を出たという作品。 8ミリに漫画のトーンを貼ったらどんな音が出るのかという作品で 音声部が光学式の8ミリは光を音に変換するので トーンでも音が出るはずだということでやってみたら ドット部では「ド・ド・ド・ド・ド」という安定したリズムが出て 格子柄のトーンでは「ピィーーー」という電子音、 格子とドットを重ねた部分では、電子音がヴォ−コーダーのように 何かをしゃべっている。最後の明かりの灯った窓の所だけ白い 真っ暗な夜のビルのトーンは、ドットよりも低いウーファー系の 重低音が「ドドドドドォーーーン」と流れる。 8ミリフィルムでも音声部が磁気式の物では この技法は使えないらしい。 最後に「フィルムピクニック」と称して16ミリのフィルムを 角南さんが場内希望者に配っていて、「私はカメラを持っていないから」 という人達にも「カメラなしでも映像は作れるから」と言っていました。 ■■■■□■■■■□■■■■□■■■■□■■■■□■■■■□■■■■□ 【賞なしコネなしやる気なしで作家を気取る100の実験メルマガ】 登録ページ http://www.pat.hi-ho.ne.jp/kidana/mmg.htm 登録と解除は上のページで。 関連HP:掲示板に感想・御批判入れて下さい。 http://www.tcup3.com/356/kidana.html ■■■■□■■■■□■■■■□■■■■□■■■■□■■■■□■■■■□