■■■■□■■■■□■■■■□■■■■□■■■■□■■■■□■■■■□ 不定期刊行物【賞なしコネなしやる気なしで作家を気取る100の実験】 第162号       2007/4/9発行 ■■■■□■■■■□■■■■□■■■■□■■■■□■■■■□■■■■□ 1ごあいさつ おかげさまで、このメルマガ始まって以来の登録者数50人です。 このメルマガの最後にアンケートがあって、 そこをクリックするとコメントを残せるのですが 毎回コメントを下さる木葉揺(このはゆり)さんありがとうございます。 2前回のメルマガ まあ、何といいますか、ポエトリーの世界で批評が成立してないとか ネット詩の世界で批評が成立してないとか、そういう話が mixiや現代詩フォーラムで時々挙がるのですが、 そしてそのようなことを言うのは多くの場合、新規参入してきた創作者で せっかく朗読のステージやネット詩の世界に踏み入れたのに 誰も私を批評してくれない・・みたいな物言いなのですが アマチュアのボランティアが趣味でやってるような、 朗読やオープンマイクやネット詩の世界ではなく、 もっと基盤のしっかりした文芸誌や音楽雑誌や映画雑誌の世界でも 批評なんて成立してないんじゃないの?というのが 前回の物言いでした。 バブルに関しても、バブルの原因をどこに求めるのかが色々あるのですが 一つは景気循環説で、ある一定周期で好景気と不景気がやってくるという やつで、60年代の高度成長、 70年代のオイルショックによる不景気、80年代始めの円高不況、 80年代後半〜90年代初めのバブルで、現在の不況、 と約15年周期で景気循環するので、 そろそろ次の好景気が来るのではないかという予想もあります。 世代的なものにバブルの原因を求めると、 1945年に第二次大戦終戦で戦場から若者が大量に帰ってきて ベビーブームとなり、多くの子供が生まれてブーマー世代ができた。 45年に種付けされた46年生まれのブーマーが 22歳を迎える1968年に安田講堂での安保闘争がピークに達し 大人達と闘ったブーマー世代が70年代に就職して仕事を覚え、 働き盛りの35歳〜45歳になった81年〜91年ぐらいにバブルを迎え、 住宅ローンや子供の学費も払い終えて、少しゆっくりし出した 50歳〜60歳の96年〜2006年辺りは不況だと。 そのブーマー世代の子供、第二次ブーマーが 1974年辺りに生まれているとして、そろそろ彼らが30代半ばで 労働者としても消費者としても力を持ってきて、 次のバブルが来るぞという予測が世間の一部にあって、 「バブルへGO」という映画も、 過去のバブルへタイムマシンで行こうという意味だけでなく 第二次ブーマー世代に「次のバブルを作れよ」と言っている映画でもあって 私もね、15年前はそう思っていたのですが、 現実ちょっと考えて見ると、第二次ブーマー世代は、 消費者としてはともかく、行為者としては力を持ちえないんじゃないか と最近は思っていて、その立場からの反論でもあったわけです。 私は第二次ブーマーのピーク世代だと思うのですが、 大学卒業時に安保闘争のような何かがあったかと言うと、 エヴァンゲリオンブームと、オーム真理教の地下鉄サリン事件ですか。 どちらも、第二次ブーマー世代よりも10歳ぐらい上の、 ブーマーとブーマーの谷間世代、少し古い言い方だと ジェネレーションX世代が生み出して、 第二次ブーマーがテレビで見て盛り上がっていたわけで、 第二次ブーマーが自分達で何かをやったわけではないのです。 第一次ブーマーと第二次ブーマーでは、 持ってる力がずいぶん違うのではないかと最近は思います。 第一次ブーマーは、戦争で自分達の親世代の多くが死んで、 自分達だけが突出して数が多いので、力を持ちえるわけです。 会社でいうと、既に上の世代がいっぱいいて、 イス取りゲームが終わった状態の会社に入社するのか、 人手不足の会社に入社するのかでは、 新人が社内で持てる力やポジションが、異なるでしょう。 一部では、ホリエモンのITバブルが、 第二次ブーマー世代の生み出したバブルだという声もありますが、 ITバブルと80年代のバブルは根本的に違ってます。 ホリエモンが上の世代がいない新興産業であるITに入って行ったのは まあ、第一次ブーマーと同条件であったとしても、 前のメルマガでも書いたように80年代のバブルは 国が無料で金をばら撒いています。 ITバブルは、投資家がお金を増やす投資目的で投資しているわけで、 投資家から集めたお金は高い利率の金利を払わなければならないし 最終的に元金を返す契約にもなってます。 極端な話、高利貸しからお金を借りているのとあまり変わりません。 もちろんそうではなく、素人投資家から集めた金をどうこうする部分は あるにしろ、基本的には外国の保険業者・金融業者が日本のサラ金経由で ITに投資して、金利が滞れば怖い人達が来て回収していくという システムだと思います。 次のバブルが来るぜ、次のバブルに乗り遅れるなという マスコミ業界のノリに対して、国の借金額が世界一になっていて 80年代のような公共投資は出来るはずもなく、 緊縮財政で行くしかない今の日本に適度な好景気はともかく 行き過ぎたバブルを求めるのは違うだろというのが前回のメルマガです。 前回のメルマガを書きながら、これ間違いを指摘しようと思ったら 俺ですら、何ヶ所も揚げ足取れるんだよなぁと思って、 その辺のフォローを今回書いてみようかと。 バラエティという洋雑誌は、レビューである新作について語るとき 別の作品の名前をガンガン出してきて歴史の中に 作品を位置付けようとする的な事を書いたけど、 あれってB級映画専門のレビュー欄の話で、 大作映画とB級映画の両方のレビューを書いていた人が ある時期からB級専門になって、そういうレビューを書くのですが それはB級映画だからできる書き方でさぁ、 「最終絶叫計画」とか「親指タイタニック」みたいなパロディ映画だったら 日本の普通の商業誌でも元ネタについて書けると思うんですよ。 アメリカだと「ソウ」みたいに監督自ら元ネタについて 語ることも多いですし、ラズベリー賞を見ても、映画の国だけあって 映画批評に関して寛容だなと思います。 前回のメルマガでYMOの広告が取れなかったと書いてますが 厳密にはたぶん、YMOが売れた直後の広告だと思います。 84年の宝島の表2にYMOの広告入ってます。 記事と広告をめぐる話では、関川編集長になる前の話で マリファナ特集をやったら、 企業に広告出稿を止められたという話が有名です。 1984年の「よい子の歌謡曲」20号に中古レコード屋の広告が 載っているという話ですが、当時中古レコード・レンタルレコードは 著作権上、グレーゾーンにあって、 レコード会社から敵視されたわけです。 今でいうと、インターネット上での音楽の 無料配信みたいなものでしょうか。 レコード会社と敵対する業種の広告を入れているということは 最初っからレコード会社の広告を取れない前提で 雑誌を作っているわけです。 余談ですが、こういうメルマガって雑誌業界の外側にいるから書けるんで 内部にいたら守秘義務もあるし、取引先との関係もあるしで こんなこと書かないです。外部にいて書いているということは、 内部にいる人から見ると間違いや憶測が多いということです。 その程度の信憑性で読んで頂けると嬉しいです。 通常、ライターの人は、商品のレビューを書くとき、 クレームが来ないように商品をほめるわけです。 ほめれば文句はないだろうというのが基本的な姿勢ですが、 実際にはそんな簡単な話でもなさそうです。 仮にあるロックバンドのボーカルをほめたとしましょう。 そのロックバンドの所属する芸能事務所の立場からすると、 バンド一個売り出すのに、そのバンドの先輩バンドの売上げの一部を 次のバンドの広告に使っているとしましょう。 バンドを売り出すのに、高い楽器を買い与えて、 一時間一万円するレコーディングスタジオを借りて、 バンドのジャケット写真を撮るのに有名カメラマンを呼んで 一時間一万円の撮影スタジオを8時間使って、 高いお金を使って売り出しました。 デビューしてすぐに売れたのですが、 事務所としては投資した額が回収できていないし 売れたのは、ボーカルの力というより、事務所の力が大きいし、 作詞作曲編曲演奏しているギターやベースやドラムの力も大きい。 でもこのボーカルが売れたのは全部自分の実力だと勘違いして ギャラが安いとか、文句を言い出して、 事務所を独立するとか言っている。 事務所としては先輩バンドが稼いだお金を投資して作ったバンドだから 投資した額プラスアルファぐらいは稼いで事務所に返してもらわないと いま独立されても困る。 バンド内もボーカルが目立つからボーカル一人でメディアに出ることが多く それがボーカルの勘違いを生み出しているが、はっきり言って音楽的には ボーカルは曲も作れないし歌も下手だし、 ルックスとダンスとキャラクターだけで持っている。 ボーカルと他のメンバーとの溝も深くて、 ボーカルが一人でテレビドラマに出ている間、 他のメンバーはレコーディング室にこもって曲を作っている。 ボーカルが一人で出たドラマのギャラもバンドメンバーで四等分だし 他のメンバーが三人で作った曲のギャラも四等分だ。 お互いに、自分だけで稼いだギャラを四等分するのは不公平だ、 あいつとはやっていけないと言い合っている。 ボーカルが出たドラマで競演した女優と仲良くしている所を 写真週刊誌に撮られた。バンドメンバーは、 俺達が曲を作っている間なんであいつは遊んでいるんだと不満を言うし ボーカルは、自由恋愛も出来ないなら こんな事務所辞めてやると言っている。 事務所はボーカルを謹慎処分扱いで、メディアに出さないようにして 他のメンバーと一緒にレコーディング室で曲を作るようにうながした。 そんな時期にそのボーカルをほめる記事を書いて、ヨイショしたら 事務所としては、またボーカルが増長するから困る訳です。 しかもその辺の事情は、事務所の外に流すと、 記事として書かれたりするので、あくまで内側で処理して 外に対してはバンドのメンバーはみんな仲良しですになっている。 すると、ボーカルをほめる記事にクレームを出すとすれば、 クレームの理由は言えないので、 プレスリリースに書いてないことを書くなというクレームになってしまう。 雑誌が半分広告半分読み物という形態で生き延びるのは難しくて 百%広告になるか、百%読み物の書籍になるかという気がする。 漫画雑誌や文芸誌のような形だと、ある意味雑誌は百%広告で 単行本化された書籍を売るための雑誌連載だったりするわけです。 通常、新雑誌を創刊する時に資金を三百万ぐらい用意して 一号雑誌を出すのに百万円掛かると計算し、 三号分の雑誌を出せる資金を準備してから雑誌を出します。 三千部以上のオフセット印刷で印刷するときの印刷代が 十万部印刷した時、仮に百万円掛かったとして、 同じ条件で百万部印刷すると、百二十万掛かります。 十倍刷ったのに二十パーセントしか印刷代が上がりません。 一冊辺りの単価は十万部を百パーセントだとして、 百万部刷れば12パーセントの印刷代で済みます。 ということは三千部の雑誌も百万部の雑誌も、 一号辺りのページ単価はそんなに変わらないわけです。 仮に百ページの雑誌を作るとして三千部でも百万円、 三十万部でも精々百五十万円。 一ページ辺りの印刷代が一万円から一万五千円。 部数が百倍違っても、1.5倍しか印刷代=広告費が変わらないなら 部数の大きい方へ広告を打つというのは、まあ、しょうがない気もします。 ほとんどの雑誌が売上げではなく広告費で持っているとしたときに 一号雑誌を出すごとに百万円の広告を集めなければならない。 活字詩VSネット詩みたいな話が一部であって、 http://poenique.jp/jisakusi/rinkou.htm 「活字の詩が偉くて、ネットの詩がダメだなんてことはないんだ」 というネット詩側の主張は権利問題として、ある意味正しいわけです。 詩のクオリティーは、活字の印刷媒体の方が高くて ネットの方が低いとは言えない。 可能性としてネット方が質が高い可能性もある。 何故なら活字媒体で詩集を一冊出すのに百万円掛かるのが ネットだとタダで発表できるため、参加へのハードルが低く 参加者数も多い。 結果、競争倍率も高いからその頂点には 活字詩以上の質があってもおかしくない。 けど、活字詩側の主張としては、詩の雑誌に対して、広告を打って 雑誌を買い支えているのは誰なんだと。 詩誌は詩集の自費出版を請け負うことで利益をあげている。 詩誌を出している出版社で詩集を出すと、他の自費出版より高い代わりに 詩誌に詩集の広告が出る。記事もレビューも載る。 活字詩側の人間は、詩の雑誌に関わる人達を食わしていく責任を背負って その責任を果たしているからこそ雑誌が続いている。 ネット詩にそのような責任や使命感があるのかという話になる。 ここでの問題は詩のクオリティーとかじゃないわけです。 一号雑誌を出すごとに掛かる百万円を払っているのか 払ってないのかという金の話なわけです。 仮に百ページの雑誌で、一ページ辺りの印刷費が一万円だとしましょう。 広告がページの半分を占めるとして、広告費だけで印刷代をまかなうには ページ2万円の広告費が最低ラインになります。四分の一ページ五千円。 八分の一ページ三千円とかですか。 その広告を打てば、詩のクオリティーに関係なく、 記事でもほめてもらえる。 四分の一ページ五千円払えば、 四分の一ページ分の記事なりレビューなりでほめてもらえる。 これを癒着というのか、 詩の雑誌を存続させるための義務と責任というのか、 まあ、難しいですが、 常にそれだけの広告費を払い続けなければならないということは、 その広告によって、広告費以上の利益を常に出し続けなければ ならず、それだけの売上げを上げ続けるには、 一定数の読者・購入者を持つ商品でなければならない。 それが商品としての質を保証していると言えば、そうとも言えそうです。 金さえ払えば雑誌は作れるという部分で、最近は企業一社提供の雑誌が 芸能事務所関連で多く創刊されているそうです。 月刊ジャイアンツ http://www.amazon.co.jp/dp/B000O58YSG 辺りは初めて見たとき、どうなのこれ?と思いました。 企業パンフレット・企業の商品カタログみたいなものも 金さえあれば書店流通できる状況で 自費出版や同人誌出版もそれと同じ次元で、 つまり読売巨人軍のような一流企業と同じレベルで どちらがより多くの金を出せるかの勝負を挑まれるみたいな感じが(笑。 3メールマガジン 青木研治さんのメールマガジン 「スポーツポエトリーリーディングのすすめ」 http://melten.com/m/23226.html ■■■■□■■■■□■■■■□■■■■□■■■■□■■■■□■■■■□ 【賞なしコネなしやる気なしで作家を気取る100の実験メルマガ】 登録ページ http://www.pat.hi-ho.ne.jp/kidana/mmg.htm 登録と解除は上のページで。 関連HP:掲示板に感想・御批判入れて下さい。 http://www.tcup3.com/356/kidana.html ■■■■□■■■■□■■■■□■■■■□■■■■□■■■■□■■■■□