■■■■□■■■■□■■■■□■■■■□■■■■□■■■■□■■■■□ 不定期刊行物【賞なしコネなしやる気なしで作家を気取る100の実験】 第129号    2005/5/14発行 ■■■■□■■■■□■■■■□■■■■□■■■■□■■■■□■■■■□ 1「降りる自由と僕たちの未来」 5/12(木)東浩紀×滝本竜彦「降りる自由と僕たちの未来」 Open18:30/Start19:30 \1000(飲食別) 会場:ロフトプラスワン http://www.loft-prj.co.jp/PLUSONE/ 観に行きました。おもしろかったです。 以前、同じロフトプラスワンで東浩紀さん出演の 「夜のファウスト祭」というイベントがあって、 その時誘ってくれた人を誘っていくべきかなと思ったのですが まあ、一人で行ってしまいました。 基本的にはファウスト http://shop.kodansha.jp/bc/magazines/faust/ の新刊Vol.5の告知と 滝本さんの本の紹介が目的のイベントだと思うのですが 告知は後半少しやっただけで 基本は二人による深夜のAMラジオ。 来場者から、二人にしゃべって欲しいテーマ、 聞きたいことのアンケートを取って それに二人が答えて行く。 開場6時半で、私が会場に入った7時には もうかなり席は埋まっていて みんなアンケートを書いたり雑談したりで、 7時半前にアンケートを集めて、トーク開始で 9時ぐらいに一度15分休憩を入れて もう一度アンケートを配って回収、 そこから12時までトーク。 夜のファウスト祭のときには、東さんのファンが半分 ファウスト、というよりもはライトノベルのファンが半分 ファウスト編集長の太田さんに東さんが ファウスト批判をして、それに対して、 太田さんが、 「それは誤解だ。ファウストはこういう素晴らしい雑誌なんだ」 と雑誌のコンセプトをアピールする展開になる と東さんサイドは考えていたと思うんだ。少なくとも 太田さんが会場入りするまでの間、東さんが言っていたのは 太田編集長は熱いロックな若者で、 ファウストに関して熱く語ってくれるよ。という話だった。 ところが、実際には東さんのファウスト批判に対して 太田さんの答えは 「私は会社員であり、いちサラリーマンでしかない。 だから、東さんの担当編集者という立場上 東さんの論に反論することは許されないと同時に ファウストという雑誌やファウストで書いている作家も 守らなくてはならない。 その苦しい立ち位置を理解して欲しい」という反応でした。 論の体裁を成さないファウストへの誹謗中傷をすることで ここはファウストを擁護しないとまずいだろという空気を作って 太田さんにファウスト愛を語らせようとしたり 逆に論点を絞って、具体性のあるファウスト批判をすることで より中身のあるファウストへの肯定を引き出そうとしたり 手を変え、品を変えて、なんとかファウスト最高という言葉を 引き出そうとする東さんと、 「東さんの言われていることはもっともであり ファウストに到らない点があったとすれば、 それはひとえに、私の責任であり、ここに書いている作家達に 何の罪もない事をご理解頂きたい」 「あくまで、一社員である以上、担当批評家の言論に 口をはさむなどということが、許されるわけもないと同時に 誹謗中傷に対しては私が矢面に立って作家達を守らねばならない。 この二律背反の苦しい立ち位置にある事を 東さんには理解して頂きたい」 という太田編集長の平行線が90分続くという 最初にあったであろう青写真とは 違う意味でスリリングな展開でした。 今回は、前半滝本竜彦さんの半生が語られ 後半東浩紀さんの論が展開し 客層も滝本ファンが半分、東ファンが三分の一、 残り六分の一がロフトプラスワンの固定客という それなりに良いバランスでした。 ハイライトシーンを書き出すと 滝本さんが小説を書くきっかけになったのが エヴァンゲリオンのSS(ファンフィクション)を 書いてHPにUPし始めたときの話で 当時、北海道から出てきた滝本少年は 東京の小田急線沿線に住んでいたらしいのですが どんなファンフィクションを書いていたのかという話で 滝本:綾波レイが小田急線に乗ってるのですよ。     会場爆笑 東 :小田急線乗るよなぁ。当然乗るよ。 滝本:当然、悪い人達に追われているじゃないですか。 東 :誰が?綾波?あっ、ネルフね(笑)。    当然追って来るよネルフは。 滝本:自分が偶然、綾波と出会うんですよ。     会場笑 東 :会うんだ?そりゃ会うよなぁ、綾波と。 滝本:追われてるから、かくまうじゃないですか。    「逃げろこっちだ」って。     会場笑 滝本:自分のアパートにかくまって。 東 :かくまうよなぁ。当然かくまうよ。 滝本:そしたら、同棲が始まるじゃないですか。 東 :同棲するんだ? 滝本:でも、彼女の心はかたくなじゃないですか。 東 :その小説書いたの? 滝本:一話二話は書いたのですけど、書いているうちに    何を書いているのだ俺はと思いだして。 アニメの女性キャラと同棲する話がばかばかしくて面白かったですね。 滝本さんは引きこもりの男性が脳内彼女と付き合う小説を 書かかれているそうなのですが、 その作者というキャラクターを忠実に守っているのが良いですね。 ショーの形式としては、昔の小説家(大江・三島)の講演てのが 小説家=知識人という立ち位置でやっていたのが 小説家=奇人変人という位置で、客席よりも低い位置で いじられて笑いを取るという、ファウスト的というか 新しいというか、もっと言えば、太宰や川端も 客席に馬鹿にされて笑いを取る位置だったと思うのですが 知識人ではなく、奇人変人の位置に立って 批評家=知識人にツッコンでもらって笑いにするという ショーとしてはすごく面白かったですね。 世間から見ても、変に社会的地位の高くなったお笑い芸人より 小説家という方が変人度が高くてアンダーグラウンドな感じがして 面白いと思うんですよ。 バンドブームの頃のバンドマンの位置に小説家が来るという感じで。 もう一個ハイライトシーンで アンケートで「私は好きになってはいけない人ばかりを 好きになってしまいます。どうすればいいのでしょうか。」 という会場からの声に対しての答えで 東 :好きになってはいけない人って、どうせ彼女がいるとか    結婚しているとか、そんなんでしょ?    良いじゃん別に好きになっても。 滝本:好きになってはいけない人は、皇族じゃないですか?      会場爆笑 滝本:皇族が小田急線に乗ってるのですよ。 東 :乗るよなぁ。小田急線ぐらい乗るよ。 滝本:当然、追われているじゃないですか? 東 :宮内庁の人間に追われているよなぁ。 滝本:皇族なんて嫌だ。普通の生活をするんだって逃げているのに、    偶然出会うんですよ。 東 :そりゃ出会うよ。 滝本:「こっちだ。逃げろ」って、アパートにかくまうじゃないですか。    同棲が始まるんですよ。      会場爆笑 後半の東さんの話も前半とは違うレベルで面白かったのですが、 テレビの音楽番組が、 司会 :お笑いタレント ゲスト:ミュージシャン ミュージシャン=ボケ お笑いタレント=ツッコミの お笑いトークショー& 音楽演奏。 だとすると 司会 :文芸批評家 ゲスト:小説家 小説家=ボケ 文芸批評家=ツッコミで お笑いトークショー& 小説紹介みたいな テレビの文学番組もやって出来ないことはないと 思うイベントでした。 2イベント情報 6/3(金)SSWSチャンピオントーナメント http://www.marz.jp/ssws/index.html 11/20(日)第四回文学フリマ http://bungaku.webin.jp/ ■■■■□■■■■□■■■■□■■■■□■■■■□■■■■□■■■■□ 【賞なしコネなしやる気なしで作家を気取る100の実験メルマガ】 登録ページ http://www.pat.hi-ho.ne.jp/kidana/mmg.htm 登録と解除は上のページで。 関連HP:掲示板に感想・御批判入れて下さい。 http://www.tcup3.com/356/kidana.html 発行者 木棚 環樹:kidana@pat.hi-ho.ne.jp ■ ■■■□■■■■□■■■■□■■■■□■■■■□■■■■□■■■■□