■■■■□■■■■□■■■■□■■■■□■■■■□■■■■□■■■■□ 不定期刊行物【賞なしコネなしやる気なしで作家を気取る100の実験】 号外    2005/2/27発行 ■■■■□■■■■□■■■■□■■■■□■■■■□■■■■□■■■■□ 1ごあいさつ 不平不満や愚痴を言いあえる仲間が欲しい木棚です。 ポジティブシンキングの一番の問題点は、 ネガティブな問題点を放置したまま 行動させようとするところだと思う。 自分よりも十歳年下のハタチの人間が新しいことをやるという。 三十の自分からみると、それは十年前に 自分や**さんや**さんがやって、 こういう理由でこういう風に失敗したものだよ。 としかみえない。 でもそれはあえて言わない。 俺だって十年前は先輩から同じことを言われて 「仮に先輩達がやって失敗したことと、 同じことをやって同じ失敗をしたとしても 言われて学んだことと、実際にやって失敗した経験の中から 学んだことは別だから俺はやる」 そう思った。 いまのハタチだって同じだろう。 そして、今の俺の行動も、 十歳年上の人間からは同じように 未熟で無知な行動に見えていると思う。 正直に言うと、いまの自分は十歳年上の人間から いまの私の問題点を指摘して欲しい。 物事の問題点を直視する人間だけで集まって 不平不満をぶちまけたい。 より問題点を直視し、分析している人の言葉が欲しい。 批評(クリティック)の語源は危機(クライシス)だと 柄谷は言う。危機を直視する批評が欲しい。 六十歳で定年退職する職種の人は五十五歳辺りから 精神的隠居が始まる。後は若い人たちにまかせたと言い始める。 十歳から二十歳上の人の意見を聞きたい。 でも、十歳上の人達は俺に言うだろう。 「楽な近道を教えてもらおうと、 俺に意見を聞きに来るその根性が意地汚い。 行動し失敗し、自らの経験から物を学べ」 〜〜〜〜〜〜〜〜〜 自分より十歳年下の連中がやっていることは 考えが透けてみえるのに、十歳上になるとまったく見えない。 なのに、向こうからはこっちの考えていることが透けて見えるから 先手先手を打たれてしまう。この非対称性がすごく悔しい。 2SLAMスタイル ポエトリーリーディングのルーツをたどった時に 黒人達の口承文学やラップにたどり着く道や 南米やプエルトリカンから北米に渡ってきた人達の 表現にたどり着く道や、 路上に書かれたように南米を旅してラテンのビートを感じた ビートニクスにたどり着く道や ヨーロッパの白人貴族達の高級な遊びとしてのポエトリーに たどり着く道など、実際様々で、 中世ヨーロッパの白人貴族達の高級な遊戯としてのポエトリーや ソネットと、北米の最下層にいる貧しい黒人・プエルトリカンの ポエトリーでは、地域も時代も階級も人種も異なっていて まったく別物だから、そんな分析は無意味だと言われたこともある。 何故、俺はロバート・ハリスさんの朗読に アレルギーを示したのか?が、自分でもすごく不思議だった。 正直、嫌いじゃないし、朗読で笑いも取ってたしカッコ良かったし クオリティーも高かったと思うんだけど、 いざ文章にすると否定的な言葉しか出てこない。 意識や自覚のレベルでは嫌いじゃないのに、 無意識のレベルでアレルギーを起こしている。 最初に私はSLAMという映画と青木研治さんの朗読から ポエトリーに興味を持って、マーク・バムシ・ジョセフさんの CDも持っている。 これらはすべてSLAMスタイルのリーディングで SLAMスタイルのリーディングをポエトリーだと 思い込んでいる節があったわけだ。 音楽のジャンルは主として、リズム(ワルツ・サンバなど)によって 分けられる場合と、 楽器編成(カルテット・オーケストラ・管弦楽・ インスト・テクノなど)によって、分けられる場合があって 仮に楽器編成で分けた場合、 フォークだとアコースティックギターの弾き語りで、 テクノ(英語ではエレクトロミュージック)はシンセを使って となる。 ポエトリー関連でいうと ラップはDJ+MC、 ミクスチャーはロックバンド+DJ、 ロックは、エレキギター+エレキベース+ドラム+ボーカル、 打ち込み+ボーカルだと、テクノやユーロビート、 SLAMは声や地面を蹴る音や壁や机や体を叩く音で リズムを刻んで朗読するスタイルで、 口で楽器の声帯模写をやるヒューマンビートボックス+MCは アフラによるとサイファー (cypher:アラビア語のゼロが原義。 円陣を組んでMCバトルをするところから、 円を意味するこの語で呼ばれる)とアメリカでは 言われているらしいです。 厳密には、ヒューマンビートボックス+MCというよりもは その組み合わせによるジャムセッションのことを言うらしい。 個人的には、HIP−HOP用語のヒューマンビートボックスより ハモネプのボイスパーカッション(ボイパ)の方に 思い入れがあるのですが、それはそれで。 ハモネプ系のコーラスだと、サイファーというより ドゥーバップ(doo-wop)になるのですが、それはそれとして。 個人的にSLAMから入って、SLAMスタイルの朗読のみを ポエトリー・リーディングだと思っていたから サイファー、ラップぐらいまではポエトリーだと思えても DJをラップみたいにリズム隊として使うならともかく メロディーパートとして使うと、ポエトリーじゃねぇーじゃんと 思ってしまった訳です。 実際、オープンマイクイベントでも 梅島音楽振興会提供「下町ポエトリー・リーディング 」や Free jam Session dayのように、 MC+ドラム+エレキギター+有象無象の楽器という セッションタイムがあるオープンマイクや P−DISCOのようにDJ+MCの セッションがあるオープンマイク、 MC+ピアノのセッションがある奇聞屋の「森の日」等、 色んなスタイルがあって、 ポエトリーリーディングと言っても、 朗読=ボーカル+ドラム+エレキギター+エレキベースの地点で どう聞いてもロックバンドの音にしか聞こえなかったり、 朗読=ボーカル+アコースティックギターの地点で どう聞いてもフォークソングにしか聞こえなかったりというのが あるわけです。 で、やっぱり俺にとってポエトリーはSLAMスタイルの朗読が、 ポエトリーだった。 これ、ややこしいのはSLAMと言ったときに イベントの形式として SLAMスタイルのイベントというのがあります。 オープンマイクに、 観客による審査が加わった形式のイベントを指します。 SHINJYUKU SPOKEN WORD SLAMの SLAMはイベントの形式としてのSLAMを意味してます。 それとは別に、朗読の形式としてSLAMという 朗読スタイルがある。 これがごっちゃになるから、話がややこしい。 英語のSLAMという単語の中に「ドアをバタンと閉める」とか 「酷評する」という意味がある以上、 ドン・バタンというヒューマンビートボックス気味の 音でリズムを刻みながら、現状を酷評したり批判したりする。 そういうニュアンスがあるわけです。 マイク一個でリズムを刻むSLAMも 複数のマイクでヒューマンビートボックス+MCの サイファーも、DJ+MCのラップも、 全部まとめて一般の人からは「ラップでしょ?」と言われるし 面倒臭いから俺もラップだと言ってしまうんだけど、 ラップとスラムはずいぶん違うと思う。 聞いている側からするとたいして違わないんだけど やる側からすると、自分でリズムを刻むのと 他人のリズムに合わせるのは、まったく別の技術になる。 リズムギターを弾くのと、 リズムギターに合わせてリードギターを弾くのとの違い というと分かりやすいかもしれない。 ドラムを叩くのと、ドラムに合わせて歌を歌うのは まったく別の技術になる。 花本さんとサイファーやろうとしてそれは分かった。 3イベント情報 3/4(金)SSWS http://www.marz.jp/ssws/index.html 3/27(日)斉藤斎藤第一歌集『渡辺のわたし』批評会 http://saitousaitou.hp.infoseek.co.jp/ 4/1(金)SSWS http://www.marz.jp/ssws/index.html 4/2(土)timetrain番外編 http://www.timetrain.org/timetrain_ban.html 5/6(金)SSWS 6/3(金)SSWSチャンピオントーナメント http://www.marz.jp/ssws/index.html ■■■■□■■■■□■■■■□■■■■□■■■■□■■■■□■■■■□ 【賞なしコネなしやる気なしで作家を気取る100の実験メルマガ】 登録ページ http://www.pat.hi-ho.ne.jp/kidana/mmg.htm 登録と解除は上のページで。 関連HP:掲示板に感想・御批判入れて下さい。 http://www.tcup3.com/356/kidana.html 発行者 木棚 環樹:kidana@pat.hi-ho.ne.jp ■■■■□■■■■□■■■■□■■■■□■■■■□■■■■□■■■■□