■■■■□■■■■□■■■■□■■■■□■■■■□■■■■□■■■■□ 不定期刊行物【賞なしコネなしやる気なしで作家を気取る100の実験】 号外    2005/2/12発行 ■■■■□■■■■□■■■■□■■■■□■■■■□■■■■□■■■■□ 1.3K9 2月11日3K9行ってきました。 今回は女性ゲスト特集ということで、 3Kの詩を3人の女性詩人 (安田倫子さん・藤坂萌子さん・飯田有子さん)が詠む企画でした。 七時始まりで、各女性詩人の持ち時間が30分。 その後、休憩をはさんで、3Kの各メンバーが 新ネタを含む2編の詩を詠んで、最後にカワグチさんが アズティックカメラのウォーク・アウト・トゥ・ウィンターの 訳詩を詠んで終るという形式で9時過ぎ終わり。 という流れでした。 お客さんの入りは、スタッフ朗読者含めて47人ほど入っていて、 立ち見ありの大盛況、朗読者6人、入り口のもぎり1人、 バーカウンター内のスタッフ1人、ハートランドの店主1人を 除くと38人ほどの入りでしょうか。 途中から来られた方や途中で帰られた方の人数もあるので 正確な数字は分かりませんが、およそそのぐらいでした。 最初に朗読されたのが2月12日にJazz Spot映画館で 「リリース・ルーム」 http://www6.ocn.ne.jp/~eigakan/document/clip_01.html というワークショップをされる 安田さんです。 朗読の合間の雑談で面白かったのは 「3人の女性詩人が3Kの詩を詠むということで、事前に打ち合わせで どれを詠みたいとか、どれを詠みたくないとか話をした時に 3人とも1人の人に集中して、 みんなが詠みたいと言ったのは究極Q太郎さんの詩で、 詠みたくないと言ったのは小森さんの詩だった。 小森さんの何が詠みたくないったって、まず字が小さい。 資料として渡された詩集の文字が 『お前、詠ませる気あるのかよ』 というぐらい小さい。拡大コピーをして詠んでるのですが 詠みにくい」 という話が面白かったです。 この話とは裏腹に、今回聴いていて個人的に面白かったのは 小森さんの「ワルツ」という詩で、音が三音区切りで ぼくの ゆびが かみを なでる きみの いきが ほほに あたる みたいな感じの詩で(文面は私が適当に作りました)、 安田さんと飯田さんが詠んだのですが なんか良かったです。安田さんが小声で色っぽく詠んで 飯田さんはそれとは違う節回しで詠んでました。 男女の愛撫を心理描写入れることなく、情景描写的に 2人の外面に見える動きのみをカメラで撮るかのように 描写して行く内容でした。 逆に今回の究極さんの詩は 割りとノーマルで朗読する側も笑いを取りに行こうとしていないし 詩自体も究極さんのトークや節回しやキャラクターがあって 初めて笑いになる詩で、淡々と真面目に詠むと 意外に笑いとは無関係な詩なんだなと、 笑い以外の側面にスポットを当てる朗読でした。 前回の3K8の時にカワグチさんが 「3Kは初期の頃、私と小森岳史の芸がかぶっていて」 と言われてましたが、今回も良い意味でかぶっていて ある程度の長さのある、朗読時間にして7分 ものによっては20分の物もある叙景的な恋愛の詩で 私は3Kにはそういうのを期待してしまいます。 3Kの朗読を聴くまで叙景詩も情景描写も嫌いだったのが 活字だと嫌いなものも音声で聴くとこれが一番心地良いなと 思うようになったし、強勢音節のない等時音節性を強調した カワグチタケシ式の朗読では叙景詩が合うんですね。 長音も強音もない、イントネーションも節回しもない 感情も入れずに淡々と詠むとき、 休符=息継ぎが何音に一回入るのかでリズムを作り 叙情詩的な心理描写を入れると、感情を入れずに淡々と詠むという 形式と矛盾するので、叙景詩的な風景描写による感情の喚起を 中心に恋愛詩を詠むというのが3Kのメインテーマだなと思います。 今回の3人の女性詩人の中で一番等時音節性が出ていたのが 安田倫子さんで、すごく心地良かったです。 次の朗読が京都からわざわざ3K出演のために来られた藤坂萌子さんで 普段東京では見れない人という意味で 今回の朗読会の目玉でもありました。 安田さんとはうって変わったキャピキャピしたアニメ声の朗読です。 3Kのお客さんというのがまた、真面目に静かに聴く人達なので 小倉優子的不思議少女を意識した藤坂さんはやりずらそうでした。 笑いが取れる取れないでなく、笑いを取ろうとしたら 「無理しなくて良いんだよ」と諭されそうな空気の中、 「あれ?私が詩の中で『おれ』とか『ぼく』と言うと みんなに笑われちゃうのですけど、今日は誰も笑わないなぁ」 と言われてました。 歌人の飯田有子さんも、割りと良い感じでしっとりと詠まれていて 休憩はさんで、小森さんが詠んで、究極Q太郎さんに移った時 役割期待的にはお笑い担当だとはいえ、 藤坂萌子さんも笑いに走れなかった このしっとりした空気をぶち壊して 無理に笑い取りに行くこともないだろうと思っていたら いきなり、「マックス・マーラー」と叫んで 勃起した陰茎の形態模写。 Q太郎さん、それ、無理やりです。 カワグチさんが最後に詠んだ アズティックカメラのファーストアルバム、 ハイランド・ハードレインから ウォーク・アウト・トゥ・ウィンターは 選曲センスが良かったです。 冬に走りだそうという歌ですが パンクムーブメントが終わり、 ジョー・ストラマーのポスターも 壁からはがれ落ちてしまったけど この寒い雪の中にこそチャンスは埋まっているんだという パンク後の世界を歌ったネオアコの名曲です。 ハイランドは文字通り「高原」を意味し イギリス北部のスコットランド http://www2k.biglobe.ne.jp/~c-navi/britain/scotland.htm を意味します。高原なので雨が多く、陰鬱で音楽が盛んで スコットランド民謡としては「蛍の光」が有名で スコットランド出身の有名バンドは多く音楽が盛んだけれども 商業的に成功するにはスコットランドを出て ロンドンに行かなくてはならない。 若者が故郷から都市へ出て行く時の不安や憂鬱を歌った ハイランド・ハードレインは元気の良いロックンロールではなく 内省的で孤独で状況としては冬で でも走り出すんだという歌です。 ■■■■□■■■■□■■■■□■■■■□■■■■□■■■■□■■■■□ 【賞なしコネなしやる気なしで作家を気取る100の実験メルマガ】 登録ページ http://www.pat.hi-ho.ne.jp/kidana/mmg.htm 登録と解除は上のページで。 関連HP:掲示板に感想・御批判入れて下さい。 http://www.tcup3.com/356/kidana.html 発行者 木棚 環樹:kidana@pat.hi-ho.ne.jp ■■■■□■■■■□■■■■□■■■■□■■■■□■■■■□■■■■□