■■■■□■■■■□■■■■□■■■■□■■■■□■■■■□■■■■□ 不定期刊行物【賞なしコネなしやる気なしで作家を気取る100の実験】 号外    2004/10/31発行 ■■■■□■■■■□■■■■□■■■■□■■■■□■■■■□■■■■□ 1「s/reading」 10月30日(土曜)第三回s/readingに行って来ました。 時間18:30〜21:00 高円寺studio cafe 凹凹(bokoboko) 店のtel:03−5378−2355。 飲食代のみで、参加費無し。 主催:pon(笠原)さん。 場所:東京都杉並区高円寺南2−26−9第5下田ビル203号室 (高円寺南口を出て、噴水を横断し、焼鳥屋「大将」横の 高南通りを真っ直ぐ行くと 左手側にPlanet 3rdという大きな喫茶店がある。 そのプラネットサードの入っているビルの2階に凹凹はある。 プラネットサードの入り口には入らずに、bemch横を通り抜け、 ビル裏にある少し地下に下りたエレベーターから203号室。) 6時に高円寺駅から店に電話を入れると、アルバイトの女性が 「まだ誰も来ていないし、私では分かりません。 店主は7時ぐらいに来ます。」 とのことで、 6時25分ほどにインターホンを鳴らすと まだ誰も来ていないということで、 店内で携帯電話のデジタルカメラで撮影をしながら、 主催者&店主を待つ。 店は土足厳禁で店内にスプリング付きのソファーが6脚、 ベランダにイスが6脚&厨房があり、喫煙はベランダのみ。 ややレトロな小物がそろった店内は雰囲気がある。 http://www.pat.hi-ho.ne.jp/kidana/Default.htm 本棚には澁澤龍彦全集、フロイト全集、バタイユ、 コリン=ウィルソン、吉本隆明、サルトル、大江健三郎、カミュ、 ますむらひろし、ファイブスターストーリーズなど が置いてあり自由に立ち読み可。 店の営業時間は木・金・土・日の19:00〜25:00。 店主が来るまではメニューはビールぐらいしか出ないが 店主がくれば、フードも色々注文出来る。 一番安いメニューはコーヒー350円〜。 CDは、ジャズからロックから 民族音楽からゲームミュージックまで バラバラに置いてあって、店主の好みが読めないようになっている。 普通この手の店の場合、店主の好みや店のカラーがはっきりしていて ジャズオンリーのジャズ喫茶や、 ハードロックオンリーのハードロックカフェや プログレとフリージャズと現代音楽の江古田フライングティーポット のように、店主の趣味やカラーが分かるものだが グレゴリア聖歌隊の横にロマンシング・サガが置いてあるので 好みがまったく読めない。 むしろ、本棚の方が店主の人柄を示している。 七時になり、店主と主催者が来て、 アルバイトの女性が帰ったところで お互いの自己紹介を始める。 主催の笠原さん(男性)、店主の関口さん(男性24歳)、 おぎわらまいこさん(女性)、と私の四人。 笠原さんのハンドルネームはponさんだが、 最近は面倒なので笠原で通しているとのことだ。 年齢的には20代、男女比は3:1になった。 主催者的には、室内の席が六席なので、 「あと二人ぐらいは来て欲しい。そのぐらいの規模が理想だ」 という。 BGMは笠原さんの持ってきたセロニアスモンク。 関口さんがマイクスタンドとマイクを設置し始めるが 笠原さんの 「この人数なら生声で良いんじゃない?」の一言で 生声の朗読になる。 じゃんけんで負けた者から順番に朗読、まずは笠原さんが 写真家の牛腸茂雄展 http://www.momat.go.jp/gocho/gocho.html のレポートや画家エゴン・シーレ http://www.geocities.co.jp/Milano/1417/museum.html について書いた詩を配り、その一部を朗読する。 笠原さんは最近、写真や絵画に興味があるらしい。 朗読そのものよりも、そこで詠まれた詩に関する雑談が メインになって行く。 次に私が朗読を行い、最後に おぎわらさんが書いてきた詩を回し読みする。 おぎわらさんの詩は、色画用紙にカラーのペンで手書きだ。 金色のペンで黒画用紙と、赤色のペンで赤画用紙の二タイプあり 赤画用紙の方は紙を斜めにして、見ないと読めない。 読んでみると言葉のリズムが面白かったので、本人に許可を得て 少し引用してみる。 コロガル 虹ニ カゲガナガレ カレハ タオレル マウエノ ミミノ 日ヅケハアオク カレハ スワル フラミンゴノ ヒトタチガ 想ワレ カレハ スワル 玩具ノ 雨ニ 抱擁ノ 透明ガ 降ル 引用終わり。音数だけに注目しても、7・5調の崩した形態として ちょっと面白いと思う。 最初の行は、5・7・5を崩した形態で7・5・7をさらに崩して 4+3・5・3+4になっている。 次の行は4+3・7・3+3、その次が6・5・4・3・3、 最後に4+3・5・5・2。 7・5調を厳密に守って、 長歌(5・7を2回以上繰り返して最後に7・7で締める) を作ったりすると、5・7の繰り返しが長く規則正しければ、 その分すごく単調になるので、なんらかの崩し方をしないと 読むに耐えなくなるですね。 その時の崩し方としては、七音と五音を交互だと辛いので 都都逸(どどいつ/七・七・七・五調)のように 七音か五音を何度か繰り返すとか、 字余り字足らずをワザと入れるとか、 色々方法はあるのですが、 伊津野重美さんの朗読を聴いていると 七音を、3+4や4+3に分けてしまうというのが かなり有効でこれによって、 演歌の曲紹介のようなダサい7・5調が 都会的でお洒落になるんですね。 おぎわらさんのこの四行詩の面白さは 最初の2行が 4+3・5・3+4=7・5・7 4+3・7・3+3=7・7・6 とまあ、分かりやすいリズムになっていて 起承転結の起承のところ、お笑いでいうところのネタ振りは 分かりやすくまとめておいて 3行目の転回部ですね、ソネットでいうところのピボットが 6・5・4・3・3となって、 最初の六音が字余りか字足らずかってのは、 1・2行目からの流れで言えば、 7音の字足らずでしょうけどそれは良いとして 次の5音もそのままだとして、4・3・3てのが 4+3・3とも、4・3+3とも取れる。 ここで崩して、読む側を戸惑わせておいて 最後はきれいに締める。 最後の2音は余りますけれども、長歌でも、都都逸でも 最後は終わりだということが分かるような破格が来ると。 ラストの崩しはある種の定型だとして 最後の行は、ラストの2音以外は、 4+3・5・5と安定した定型でまとめてます。 まあ、ラスト2音も4+3・5・5+2で解釈しても良い訳です。 こうみると、定型と非定形のバランスが 絶妙です。 韻とは呼べないような韻ですが、行末が全部ルになっていたり、 語の終わりにレやノを多用していたりと 音の響きにかなり気を配っているのがうかがえます。 この詩を作ったおぎわらまいこさんは 作詞家の売野雅勇さんプロデュースのラジオジェニック http://radiogenic.net/ でも、遺書という詩で参加されていたりするそうです。 朗読が一通り終わって、雑談モードに入ると 店主の関口さんと色々お話させて頂いたのですが この関口さんという方がですね、 壁に又吉イエスさん(自らを「唯一神」と名乗る参議院の立候補者。 大川興行が地方の変な泡沫候補者をネタにするお笑いコーナーで カルトな人気が出た)の選挙ポスター http://yes.kazamidori.net/profile.html を貼られているぐらいアンダーグラウンド文化に詳しい人で 店内のBGM用のコンポが、アナログレコードプレーヤーから オープンリールと見間違うぐらいの、 やたら大きなカセットデッキから、 まあ、不思議な機材だらけなのですが、 その中でもとりわけレアだと思われたのが、 オレンジ色の「Rega」と書かれた 奇妙なデザインのCDプレーヤーで 「何ですか?これは?」 と聞いたら、 「デジタル信号をアナログ信号に変換して再生する DAコンバータという機械を業務用でなく、 一般ユーザー向けに初めて発売したイギリスのメーカーRega社の Rega社 http://www.rega.co.uk/ バカデカイCDプレーヤー http://www.rega.co.uk/product_images/Planet%20copy.jpg CDプレーヤーで、この色の物は全世界で200台しか作られてなくて 全部の色を合わせても 千台ぐらいしかないのじゃないかな、この機械わ。」 という、かなりの情報通の方で。 一般に、デジタル信号はいくらデータを細かくしても、 どこかでギザギザの階段状、マス目状になっているのだけれども そのデジタル信号を一度、アナログ信号に変換してから再生することで CDでも擬似的にアナログレコードのようなソフトな音が出るという CDプレイヤーです。 カフェの店長という仕事についての話になった時に 「昨日、高円寺にあるカフェアパートメント http://u-go.to/apt/ http://homepage3.nifty.com/cafemania/02owner/apartment.html の店長と話したのだけれども、もっとこの空間を大事にしたい。 元々ここは岡画郎という画廊で、 俺もその空間が好きでよく行っていて その関係でこの店を引き継いで自分のカフェを作った訳だ。 ちょうど一年ほど前の四ヶ月間は、 商売重視でやってた時期があって、 この店だけで食っていたんだけれども それをすると一日に30人ぐらい人が来て、 大人数の料理は作るのに時間が掛かるので ひたすら料理を作って、出してしてたら、 お客さんとこうして話すこともなく、 普通の居酒屋みたいになってしまって、 これは俺のしたいことではないなと。 元々この店のお客さんは、俺と話に来たり、 他のお客さんと話に来たりしていた訳で、 俺もそうやって、一人一人のお客さんの料理の好みとか 話した内容とかを覚えられるような生活をしたい。 普通に生活していると、昨日自分が何を食ったか、 どんなお客さんに何を出したか、 分からなくなるぐらいに機械的に働いて、 それは俺のやりたいこととは違う。この店の利益はトントンで良い。 家賃と光熱費が払えるぐらいで良いし、生活費は他で稼ぐから もっと、生活やこの空間を大事にしたい。 そう思うようになって、店の中でイベントをするようになって 『今日はイベントなので、一般の方はご遠慮ください』と 断っていったら、もともと俺と話をしに来てくれていた 常連さんが残るようになって、元のカフェに戻って。 でもまた、毎日イベントばっかりやっていると、 それも商売になってしまって、一つ一つのイベントが 相対的に自分の記憶に残らなくなって行くし、 それは嫌なんだけれども。 二年ほど前から、勉強会もやっていて、 それも誰でも参加可とかにして開かれた感じにしたいのだけれども もう二年もやってると、それまで読んできたものを 読まずに来ても話がついていけなかったりするので それも難しいし、かといって初心者向けの勉強会を もう一つ立ち上げるのも、散漫になるし。 その勉強会では、ベネディクト=アンダーソンの「想像の共同体」 http://tinyurl.com/59jqf を読んだりとかしていて。」 この店主は、バンドでギターを弾いたりもしていて レトロな家電があふれる店内で、 人が使っていた手触りのあるものが好きだという店主の 最近の良い話は、ギターのネックに使う木は メイプルという堅い木なんだけれども、これが高い。 80年代に作られた日本製の安いギターのネックは ボーリングブームが終わって、 取り壊されたボーリングのレーンがメイプルの木で出来ていたので そのボーリング場のレーンを再利用して作られていたというのが 最近のギターに関する良い話だという。 この店主と話したい人は、木・金・土・日の19:00〜25:00 寒い日や雨の日に行くのがベストです。 寒くて雨が降っていると、お客さんが少ないので、 店主や常連さんと長話が出来ます。 ■■■■□■■■■□■■■■□■■■■□■■■■□■■■■□■■■■□ 【賞なしコネなしやる気なしで作家を気取る100の実験メルマガ】 登録ページ http://www.pat.hi-ho.ne.jp/kidana/mmg.htm 登録と解除は上のページで。 関連HP:掲示板に感想・御批判入れて下さい。 http://www.tcup3.com/356/kidana.html 発行者 木棚 環樹:kidana@pat.hi-ho.ne.jp ■■■■□■■■■□■■■■□■■■■□■■■■□■■■■□■■■■□