■■■■□■■■■□■■■■□■■■■□■■■■□■■■■□■■■■□ 不定期刊行物【賞なしコネなしやる気なしで作家を気取る100の実験】 号外 2004/7/5発行 ■■■■□■■■■□■■■■□■■■■□■■■■□■■■■□■■■■□ 1死紺亭兄さんの妹連合掲示板より  死紺亭さんの書き込み 「SSWSが終わって、新宿MARZの外に出ると、  もう朝日が街を照らしていた。  何となく、思ったのは、もう死紺亭もいらねぇかな、と。」 それに対する山田紗名江さんの書き込み 「そして235番の書き込み、  かっこいいけれどとても切なくなりました。  これからの死紺亭さんはどうなっていくのかしら。」 こういう弱気な死紺亭さんも個人的には好きです。 235番の死紺亭さんの書き込みより 「で、死紺亭は、この街にとどまる人間なんでね。」 新宿(スポークン・ワード・スラム)ではなく この街=高田馬場ベンズカフェにとどまるという 死紺亭さんの発言は意味深ではあります。 さらにそれに続く発言が、より遠くへ旅立とうとすることを 意味するような発言だったりする。 パーティーの終わりは多少なりとも感傷的になる。 桑田佳佑は人がいなくなった後の海岸しか歌ってないという。 シティーポップだって終わってしまった 恋についてしか歌ってない。 センチメントってそういうことだし、 それはそれで美しいと思う。 2ディスクアパートメント 三軒茶屋ヘブンズドア3階にインディーズのCDショップ 「BABE Disc Apartment」オープン。 「常識をくつがえす画期的システムを採用」 そのシステムってのが、 「月額千円であなたの作品をアピールできます。」 「全商品面出し!!全商品試聴可能!!」 ということで、分かりやすく言うと、 月額千円で 試聴機にCDの表ジャケットが出て、かつ試聴出来る状態に 置いてくれると。 売るのは、 CD、CD−R、DVD、MD、CT(カセットテープ)。 委託の掛け率は7.5掛け。 いま、音楽でも朗読でも良いのですが、 自分で作った音を録音するのが、かなり安く出来ると。 CD−Rも一枚100円しないし、 ジャケットを写真と手書き文字で作って、 コンビニでカラーコピーしても、ジャケット100円、 CD−R100円で、合計200円しない。 でもね、普通はそんなド・インディーズを CDショップに持っていっても置いてもらえないわけです。 ところがこの店は、月額千円で置いてあげるよと。 しかも全商品試聴できる状態にして、 ジャケットも薄っぺらな縦置きでなく、面置きだよと。 試聴はVHSもOKだよと。 千円で面置きのスペースはCD一枚分。 委託の掛け率7.5掛けというのは、 お客さんへのCDの販売をお店に委託(お願い)するわけですが 定価の7割5分で仕入れますと。 仮に定価をCDシングル一枚千円だとして、 お店は750円で仕入れて、1000円で売って、 お店の取り分は250円。 (消費税等のややこしいことはお店に聞いて下さい) 委託販売についてもう少し詳しく書くと 買い取り制度の場合、 お店に1000円のCDを100枚入れたら、 7.5掛けの場合、その場で750×100=75000円 もらって、CDが売れても売れなくても 返品を受けつけないのですが、 委託販売の場合、1000円のCDを100枚置いてもらって 仮に一ヶ月清算の場合、一ヶ月後にお店にうかがって 一枚750円×売れた枚数分=売り上げ の売り上げ分だけお金をもらって、 売れなかったCDは返品されるというシステムです。 つまり、一ヶ月で2枚しか売れなかったら、 750円×2=1500円もらって、 残り98枚は家に持って帰ると。 でも、あれだよね、2〜3枚売れたら元取れそうな値段だし 普通はCDショップに行っても置いてもらえないのが 試聴機に面置きで置いてもらえるだけでも、すげーなと思う。 店長は「機械DOTEちん」(メカドテチン) http://homepage.mac.com/r821/bug/index.html というバンドもされている 髪を立て気味のリーゼントでカッコイイ若者。 腕中にタトゥーがあって、顔中ピアスだらけ。 でも腰が低くて親切丁寧な愛想の良い方でした。 開店時間は13:00〜23:00 (ただし、同ビルの地下にあるライブハウスヘブンズドアの ライブ客が去るまでは時間を過ぎても開店する) ライブハウスとの連動企画として、 「本日ライブしているバンドのCDコーナー」を設け バンドがライブハウスで物販をしなくても良いようにする。 試聴機は十五台で、一台で二人聴けるシステム。 自分が良いと思ったCDを棚から持ってきて聴く。 ポスターは貼る場所がないので持ってこられても貼れないが フライヤーはフライヤー置き場があるので持ってきても可。 商品を買ってくれたお客さんに サービスとしてつける意味でのポスターは 一枚一枚別に丸めて輪ゴムで留めた状態で持ってきてもらえれば 置ける。 CDにサービスで付けるステッカー等は、 在庫として何枚か置いてある状態の物に、 ステッカー同封で梱包してもらえれば可。 CDにつけるコメントカードは各納入者が各自で書く。 CDの在庫が少なくなったら、 店から連絡を入れて追加分を持ってきてもらう。 どのようなCDが持ち込まれているのか聞いたところ 「大きなくくりで言うと半分はロック。 残りはヒップホップやテクノやノイズ等、 ビジュアル系を除くほとんどの音源がそろう。」 という話で、ビュジュアル系は微妙に不可っぽい話でした。 併設されている地下のライブハウスの傾向や、 店長所属の「機械DOTEちん」の傾向から言うと ハードコアパンクバンドが主流と予想されます。 2004年7月29日13:00オープンとまだオープンしたばかりなので 行ってみたら面白いかもしれません。 場所:東京都世田谷区三軒茶屋1−33−19    ケイオーハロービル3F TEL:03−3413−9331    (3階事務所オオカワ、ホリ、ワタナベまで) メール:xxxheavensdoorxxx@yahoo.co.jp http://www.geocities.jp/xxxheavensdoorxxx/index.html 3アルススタジオ東京 「制作費無料で販売用ライブビデオ制作します」 という奴で、業務用カメラ3〜4台、カメラマン2〜3名にて撮影。 メジャー作品と同じ機材で編集、 オープニング&エンドロールクレジット、各種テロップを入れて 販売用ビデオパッケージ (ジャケット挿入、ハードケース、ラッピングorシュリンク) 音声はMIX/LINEOUTのDATもしくはMD録音を使用。 システムとしては無料で100本ビデオを渡すので、 3ヶ月以内で販売し、毎月月末に販売完了分の料金のみ精算し 完売間近に、追加100本渡すと。 この繰り返しで、お互いに利益を上げましょうと。 3ヶ月以内に完売しなければ協議の上、買い取ってもらうと。 精算料金が VHS=1000〜2000円/1本2500円で販売すれば 100本完売時には5〜15万の利益。 DVD−R=一枚単価1500〜2500円。/ 一枚3500円で販売すれば、 100枚完売時には10万〜20万の利益。 単価は、ビデオパッケージ内容と 収録時間(120分以内)で決定します。 ということで、仮に一本も売れなかったとして 100本のビデオが、10万から20万で作れるという 計算ですね。 他にはプロモーションビデオ 一曲 八千円〜。 とか書いてます。記載内容は2004年3月現在。 詳しくは下記HPまで アルススタジオ東京 http://www.crossgauge.com/ars.htm 4「見よ、飛行機の高く飛べるを」 バイト先の人間が出ているお芝居を観てきました。 「パフォーミング・アート・センター」 http://www.pac-ac.com/ という演劇・声優系の専門学校の第六期生の卒業制作で 入場料は800円。 座席は一列6人が7列ほど+座布団等で50名ほど。 客席には出演者のおじいちゃんおばあちゃんから お父さんお母さんや友人までと、幅広い年令層と よく考えると狭い客層。 まあ、出演者の関係者でもなければ観ないというのは 専門学校の卒業制作であれば普通といえば普通かもしれません。 上演時間は間に10分の休憩時間をはさんで、2時間50分。 休憩時間には冷たいお茶が無料で飲めました。 内容的には明治44年の女子師範学校の寄宿舎で起きる 「恋と革命」の話なんですが、 映画で言うと「今を生きる」、 漫画で言うと「キャンディキャンディ」になるのかなぁ。 女子寄宿舎という設定で言うと映画「桜の園」 http://tinyurl.com/3ylpd なんかに近いかもしれない。 細かい感想を書き出すと長くなるのですが 良くも悪くもウエルメイド(=良く出来た)な脚本でした。 昔、国語の授業で起承転結というのを習ったのですが 正直に言うと分かったような気になるだけで よく分からなかったのです。 もっと言うと、起と承の違いがよく分からなかったのです。 で、ATOMさんのラップのワークショップに行って 分かったのが、8小節で4回韻を踏む場所が出てくるとき 3回目は韻を踏まなくても良いという話でした。 一回目韻を踏む。でもまだ誰も韻だとは気付かない。 これが起ですね。 二回目韻を踏む。ここでやっとみんな、韻だと気付いてくれる。 これが承ですね。 三回目韻を踏まない。 これによってこの型で韻を踏むのをやめて、 別の韻に移ったと思わせる。 これが転ですね。 四回目韻を踏む。一回目二回目と同じ韻を踏むことで、 まだ同じ型が生きていたと気付かせる。 これが結ですね。 同じフォーマットは漢詩にもあります。 参照 http://www.pat.hi-ho.ne.jp/kidana/92gou.txt 起承転結と言うと、転の意外性ばかりが注目されますが 起の地点では韻かどうかが分からず、 承で韻であることに気付くわけですから 承で、気付き=意外性が発生します。 同じパターンが繰り返された後では、 どうせ今度も同じだろうと思っていると転で 別のパターンに移行し、ここでも意外性が発生します。 で、転で別の音で終わったわけだから、 客としては別のパターンに移行した。と思ってしまう。 つまり、起承転結の起だと思い、 次に転と同じ音で韻を踏むと思わせておいて 起承の音に戻る。お笑いで言うところのテンドンですね。 忘れた頃にまた同じパターンを繰り返す。これが結。 つまり、起承転結の起以外のすべてのパートに 意外性が発生しているわけです。 もう一個例を出すとチャップリンは 「一番面白いギャグを教えて下さい」 と言われて、 「まず、ワンカット目に転ぶと面白そうな 太った婦人のアップを撮る。 次に、道に落ちているバナナの皮のアップ。 さらに婦人がバナナの皮に向かって歩いているシーンを 婦人とバナナの両方を一つのフレームに入れて撮る。 バナナをまたぐ婦人の姿を下からアップで撮って、 最後に落とし穴に落ちて転んだ婦人の姿を撮る。」 てなこと言っていて、 これは起承転結の典型的なフォーマットだと関心したのですが、 転ぶと面白そうな太った婦人とバナナの皮という地点で オチは見えているわけです。どう考えても 婦人がバナナの皮を踏んで転ぶに決まっている。 これが起だとすると、 承でさらにしつこく ワンフレームに婦人とバナナの皮をおさめる。 転で、バナナの皮をまたぐ婦人を下からあおりで撮って、 どうオチをつけるのか心配させると、 最後の結で、やっぱり婦人が転んでいる。 起承転結は転の部分に論理の破綻を含んでいます。 ウエルメイドという言い方はほめる場合にも けなす場合にも使われますが、論理が破綻していない、 論理の破綻が弱い話だと言えます。 今回の演劇は非常にウエルメイドで、 破綻してないのでよく分かるし、理解できるし楽しめる。 ただ、それを型通りで物足りないと感じる人もいるでしょう。 女子師範学校の寄宿舎で、かわいい女の子がきゃーきゃー言いながら 学校=体制側と闘ったり、恋をしたりする 学園青春ドラマです。 明日7/11も千秋楽で 13:00〜と18:00〜の二回公演がありますので 興味を持った方は観てきて下さい。 場所:東京都中央区日本橋人形町3−2−3 開場は開演の30分前からです。 5講談協会 講談協会 http://mp777.com/papan.html てのを今日、上記のパフォーミングアーツセンターで知ったので スポークンワード云々を言うなら講談も 一度は観ておくべきだろうなとか思いつつ。 ■■■■□■■■■□■■■■□■■■■□■■■■□■■■■□■■■■□ 【賞なしコネなしやる気なしで作家を気取る100の実験メルマガ】 登録ページ http://www.pat.hi-ho.ne.jp/kidana/mmg.htm 登録と解除は上のページで。 関連HP:掲示板に感想・御批判入れて下さい。 http://www.tcup3.com/356/kidana.html 発行者 木棚 環樹:kidana@pat.hi-ho.ne.jp ■■■■□■■■■□■■■■□■■■■□■■■■□■■■■□■■■■□