戻る

あるまじろう、マレー鉄道廃線跡を走る


2015/10/25
島国のシンガポールと対岸のマレーシアは橋で繋がっており、 車で行き来ができる他、鉄道もあります。
この鉄道、かつてはジョホール海峡を渡ってシンガポール中心部まで接続しており、 これはシンガポール独立前から、マレーシアの所有物でした。
しかし2010 年に北端部分を除いてシンガポールに返還され、廃線になりました。
鉄路はほとんどが取り除かれて、更地になってしまいましたが、
その跡地は Green Corridor ( または Rail Corridor ) として整備され、 一部の立ち入り禁止区域を除いて歩くことができます。

The Green Corridor 紹介サイト

現在、この土地の再利用についてコンペが行われており、 将来的には現在のような廃線跡の趣は失われてしまうでしょう。
なので、今回が廃線跡を探索できる最後のチャンスとなるかもしれないのです。
やるしかないですね。


シンガポールの中心部にある、 Tanjon Pagar 駅跡。 ( 旧・シンガプーラ駅)
かつて、ここまでマレー鉄道は伸びており、ここで出入国手続きもしていました。

駅は現在、立ち入り禁止です。監視カメラがあるようです。

櫛形ホームの根元。

ホーム末端。レールは全て撤去されています。
この先、暫く廃線跡は柵の中で入れません。また、 隣は高速道路なので、並走できる歩道もありません。
ホームの近くに一か所、柵が倒されており、
中に入ってホームを正面から見ることができるポイントがあるのですが、
そこから廃線を歩くことはできません。(途中で柵と監視小屋にぶつかる)
罠ですので、早々に立ち去りましょう。

駅から1kmほど先の地点、貨物ヤード跡 ( ここも柵があり入れない ) 付近の 跨線橋から廃線跡を望むアルマジロ。
入口を発見♪ 明日の朝、ここからスタートすることにします。

翌朝になりました。子午線の関係でシンガポールの朝は遅く、 6:30過ぎてもまだ夜も開けきらないので暗いです。
昨日確認した進入路へ向かうアルマジロ。

廃屋の脇の怪しいスロープを降りて、怪しい橋を踏み越えれば、もうそこは廃線跡。

誰もいない廃線跡。はっきり言って不気味ですが、変な人に 遭わないことを祈りつつ、走り始めます。

線路があったころの遺構でしょうか。

跨線橋を何度もくぐりながら進みます。

だーれもいません・・・。

草刈は頻繁に行われ、水たまりも埋めた形跡があり、 思いの他走りやすい道でした。
少なくともここは管理された場所です。 蛇に出会うことはなさそうです。

この辺から西に進んでいた線路は大きく北に進路を変えます。

並走していた高速道路が遠ざかり、辺り一帯、静かな森に包まれていきます。

この看板を見つけて安堵するアルマジロ。少なくとも ここは立ち入り禁止区間ではないのです。

とはいえ、朝から歩いている人なんてほとんどいやしません。 大きな道路のアンダーパスが近づいてきました。

道路の下は真っ暗。ここでうっかりカメラを落とし、えらい目に遭いました・・・。

気を取り直して走るアルマジロ。

景色は変化に乏しいのですが、周期的に現れる橋や高架が、 自分のいる場所の手掛かりになります。

MRT(地下鉄) は郊外では高架を走っています。

シンガポールは罰金が厳しいこともあり、街で落書きはほとんどみかけないのですが、 この橋の下だけやたら落書きされていました。

気温は多分 30℃を超えていると思いますが、煙霧で日があまりささないのと、
両側を樹に囲まれていることもあって、日本の夏の海岸を走るより快適です。
とはいえ、走ればどんどん汗が出ていきます。 市街地じゃないので、予備のペットボトルも必須です。

うゎ、こんな森のどまんなかで行き止まりか !?

幸い、工事中だけど通れるようになっていました。

スタートから 10km くらい、突然、道幅が広くなり、遠方になにか見えます。
そう、広いのはかつて何本も線路が走っていた証拠です。
ここは中間駅、Bukit Timah の跡地なのです。

Bukit Timah 駅はなんと線路とホーム、小さな駅舎が残されています。
線路で一休みのアルマジロ。

もうボロボロの駅名看板がいい味出してます。

駅舎内は立ち入り禁止です。

元気も出てきたので、再び走り始めます。ここからはいろいろ 楽しいものもあり、散歩やサイクリングしている人と すれ違うようになります。

いきなり鉄橋キター !!

古そうですね。

ここも何故か、少しだけ線路が残されています。

道幅が細くなってきました。

この後は再び、変わらない景色が続きます。

と、ここで道がぶっ切れてる !! 下は道路が交差しています。
ここは一旦、崖を下って道路に降りて、反対側に取りつかなければなりません。

反対側に登って、再び進みます。

再び道路が平面交差しています。

この辺から、あちこち工事中だったり、 シンガポールとしては珍しくゴミが散乱するようになってきます。

そろそろ、走るのにも飽きてきたアルマジロ。

LRT の高架をくぐり・・・

わりと真新しいショッピングセンターの裏を抜けると・・・

川 !!!
両側に道はなく、完全に行き止まりです !
やむなく、先ほどのショッピングセンターの前の道路へ戻ります。

ショッピングセンターの先の駐車場から、反対岸に入れました。

さきほどの行き止まりを望むアルマジロ。
めんどくさいので先に進みます。

ずっと、こんな景色が続きます。

・・・・・。

・・・・・・。

・・・・・・・・。
飽きてきた・・・・。
腹減ってきた・・・。

古い橋を発見。多分線路が通っていた橋でしょうが、 鉄橋ほど萌えませんねぇ・・・。

これも当時の鉄道設備でしょうか。立ち入り禁止になっています。

再び古い橋。

写真ではよくわかりませんが、 スコールが降ってきた・・・。
汗と雨で、アルマジロもぐっしょりです・・・。

MRT 南北線の高架をくぐります。これを超えると急に森が深くなります。
ここから終点の Woodlands Checkpoint まで、 あとわずか 2km くらい、なんですが・・・


ここで芝刈り機のおっちゃんに呼び止められました。 「クランジへは行けるが、その先は行き止まりだ」
そう、Woodlands Checkpoint は現役の、マレーシアからの 入国管理施設なので、近づくことができないのです。 この廃線も当然そこで立ち入り禁止になっています。
本当は、そこまで行きたかったのですが、もう一つ問題が。
今日は旅程の最終日、宿に戻って、シャワーを浴びてから(ここ重要)、 正午までにチェックアウトしないといけません。
ここからバスに乗って、駅で MRT に乗り換えても 1時間近くかかりそうです。
時計は10:30をもう過ぎてしまいました。あと少しの所ですが、ここで芝刈りの おっちゃんに迷惑をかけるわけにもいかないので、ここで一旦 Nike+ の ログを止めることにしました。


屈辱の Woodlands / 涙のジョホール海峡

ホテルのチェックアウト後、帰るまではまだ時間があるので、 再び Woodlands Checkpoint までやってきました。( ただし、電車とバスで。 )

ここは現役の駅。それもマレーシアとの入出国をチェックする最重要施設です。
したがって、 Tanjon Pagar 駅のような、 乗り越えられるようなちゃっちい柵ではありません。
写真では観にくいですが柵の上は全部鉄条網が巻いてあります。
柵の周辺は見通しがよい空間がありますが、近づける雰囲気ではありません。

駅は、並走している道路のチェックポイントも兼ねており、巨大な施設になっています。
ここはトラックの荷をチェックする税関施設のようですが、シーズンじゃないのか 閑散としています。
手前の道路はマレーシア側に行くことができないので、ここでUターンします。

遠方からみた Woodlands Checkpoint の設備。ほとんど要塞です。 っていうか要塞なのか。

脇の住宅地の小道を抜けていくと、海を渡る橋が見えてきます。
そう、対岸はもう、マレーシアです。近いですねぇ。
3本見える土管みたいなのは、マレーシアから水を「輸入」している水道管です。
シンガポールはちっさな島なので、大きな川が無く、長年、水を マレーシアに頼ってきましたが、
最近は島の中のあちこちに溜池を作って、依存を減らしているそうです。

国境のジョホール海峡までついにやってきました。感慨にふけるアルマジロ。


戻る