鶴岡市小真木原陸上競技場

 J2・2001年シーズンもいよいよ押し詰まった、11月3日。昇格争いに生き残りをかけた、
モンテディオ山形v.s.大宮アルディージャの一戦は、鶴岡市・小真木原競技場で行われた。

山形県の日本海側に位置する城下町、鶴岡でのリーグ戦開催は、年に2回。あいにくの暗い曇り空ではあったが、到着してみれば駐車場はほぼ一杯で、当地での人気の高さにおどろく。さらに試合開始が近づくにつれ、つぎからつぎへと人々が押しかけ、小さなメインスタンドは満員で階段の上り下りすら難しい状態に。 芝生席のバックスタンドも、ホーム側はほとんど芝生が見えないくらいまで埋め尽くされた。
 シートをひろげて座っているひとびとの顔を見れば、皆これからサッカーを見るぞ!というわくわくしたムードが感じられ、
ほほえましい。両チームサポーターのエール交換などもあり、実に良い雰囲気の中、13時キックオフ。

 

 前半は、お互いに激しい中盤のつぶし合いで、決定機なし。 しかし35分、大宮GKがミドルシュートの処理を誤り、意外な形で山形に先制点が転がり込む。これで山形が試合の主導権を握った。大宮の細かいパス回しは山形の激しいプレスの餌食となり、これといったチャンスを作れない。

後半も基本的には山形ペース。負ければ昇格がほぼ絶望となってしまう大宮も必死の反撃を試みるが、中央突破に固執し厚い守りを崩しきれない。それでも攻めつづけた大宮は、後半20分過ぎ、こぼれ玉から得たビッグチャンスを確実に決め、1−1の同点に追いつく。
 ちょうどそのころから、雲はいっそう低く垂れこめ、何か場内は異様なムードに包まれてきた。

どちらも90分以内での勝ちが欲しい両チーム。追いついた大宮が有利かと思われたが、今季2番目となる、5128人の地元大観衆に後押しされ、山形がラスト10分の猛攻を仕掛ける。黒い雲からは大粒の雨が落ちてきて、サポーターの声にも必死さがこもる。そして迎えたロスタイム、CKのチャンス。高い打点のヘディングシュートは、確実にゴールをとらえた!!

 雨でかすむスタジアムに、湧き上がる大歓声。今季最もタフなチーム、モンテディオがその粘り強さをまたも発揮し、昇格戦線に生き残ったのだ。
 一方、うなだれる選手達に、精一杯の拍手をおくるアウェー大宮サポーター。。


 ..こんな、熱い戦いが繰り広げられた鶴岡小真木原競技場だが、設備面でJリーグの規格を満たしていないという理由で、
ここ数年はゲームが開催されていない。

 チームのプロ化や、J1昇格をきっかけに、いままで試合をおこなっていた街から”サッカーが消える”という矛盾が、
しばしば起こっている。
 鶴岡のスタジアムに集まった人々の、期待感に満ちた表情を思い出し、そのようなことが決してあってはならないと、
強く思うのであった。

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