広島市民球場


ダウンタウンどまん中。

  広島市民球場…「市民球場」という響きそのものに、この球場の魅力が凝縮されているような
気がする。100万都市・広島の中心街、路面電車が行きかう大通りにドンと立つ姿は、アメリカの
古き良きボールパークを思わせる。

街中だけに全体がコンパクトにできており、外野フェンスまでの距離はもちろん、ファールグラウン
ドも狭いので、選手がすごく近くに感じられる。また内外野ともスタンドはけっこう急角度で立ち上
がっているため、後列からもとても観やすい。見る側からすれば最高の球場だ。

土のグラウンドでプロの試合を見るのも、考えてみればはじめての経験。イニング間のグラウンド
整備で”トンボ”部隊がグラウンドいっぱいに広がるのも、今では珍しい光景になってしまった。
整備が行われているあいだに、名物の肉うどんでも頂きましょうか。。


ジェット風船も、ここ広島が発祥の地。

最近では入りがさびしい市民球場だが、盛り上がりは、観客数だけではわからない。
ファンの熱さは相変わらずで、現在の野球の応援スタイルを確立したとまで言われる応援団は、
今でもライトスタンドを赤白に埋め尽くしている。関東の球場でもおなじみの”スクワット”
(応援歌
に合わせて立ったり座ったりする)は、プレーそっちのけでながめたくなるほど。
そして7回ウラの『
それ行けカープ』の大合唱。カープが広島の誇りであることを感じる瞬間だ。


 大通りをはさんだ球場の向かいには、あの原爆ドームが立っている。ナイターのときに散歩
してみると、闇に浮かぶ鉄骨の影。反対側からは、カクテル光線と湧き上がる歓声…。
平和とは、こういうことなんだと、何よりも強くおしえてくれたのも、市民球場でした。

だから、老朽化による球場の建て替えにあたっても、「ここにあってこそ」の市民球場という
声も大きかったが、工事の困難さから断念され、新球場は広島駅裏のヤード跡地で建設が
進められている。
今の市民球場でカープの試合が見られるのは、あと一年。
広島へ急げ。

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