札幌ドーム

クラーク博士の羊ヶ丘展望台から見渡すと、羊がのどかに草をはむ牧草地のかなたに、巨大な卵型の建造物が目に入る。これぞサッポロ新名所、札幌ドームだ。ドーム自体も、羊ヶ丘から続く高台にあるので、コンコースから見る街の眺めがすばらしい。せっかくだから、ドームをぐるっと一周してみよう。

このドームの特徴は、何と言っても野球/サッカー兼用であるという点で、天然芝のピッチをまるごと移動させ、ドームの中に取り込むという大掛かりな設備をそなえている。サッカー開催時以外であれば、外で養生している天然芝の姿を見ることができるが、こんなでっかいものを動かすとは、いかにも北海道らしいというか、スケールの大きさを感じさせてくれる
(写真左下)。野球の試合時にはこの芝の上で選手がウォーミングアップをする姿も見られ、そのミスマッチがおもしろい。

中に入ってみると、全体に照明を抑えた感じで、なんか「宇宙的」なデザイン。さいたまスーパーアリーナにちょっと似ているかも。スタンドは一層構造でスッキリ、野球場としては傾斜があるほうで、グラウンドが広く見える。サッカー場としても十分な見易さで、ゴール裏にいても高さがあり、フィールド全体をばっちり見渡すことができる。
難点を挙げるとすれば、スタンド上段に座ると照明が目に入ってしまうことと、野球の人工芝の色が明るすぎて、ボールの行方がわかりづらいこと。人工芝については、選手からも”硬い”という不満が出ており、2005シーズン前に張替えが行われた。

そして札幌ドームを語るには外せないのが、ファイターズ・コンサドーレ両チームの応援だ。
成績の良いときも悪いときも、いつも暖かくチームを見守るコンササポ。そして2006年のファイターズを日本一にまで押し上げたファンの熱狂は、「地域密着」のお手本だ。
『北の国から』を応援歌に使うなどローカル色も豊か。両チームの演出に共通しているのが『YMCA』で、コンサがボールボーイに踊らせれば、ファイターズはスタンドの警備員まで参加、いまやドームの名物か。

 交通は、札幌駅から地下鉄東豊線に乗り終点福住下車、徒歩を入れても正味30分で到着できる。また、新千歳空港から市内ゆきのリムジンバスもドーム前を経由し、所要時間50分。旅行の行きがけ・帰りがけにも立ち寄れる最高の立地だ。

多目的のメリットを生かしスタジアムの経営状況も良いようで、新設スタジアムの数少ない成功例としても語られるようになった。札幌の、北海道のスポーツの聖地としてこれからも発展を続けていくことだろう。

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