札幌宮の森ジャンプ競技場

札幌では冬になると、地下鉄の車内にジャンプ大会の日程が張り出され、観戦は地下鉄・バスで、なんて書かれてある。サッカーや野球みたいに、”見るスポーツ”としてジャンプ大会があるあたり、いかにも北の都らしい。 

ラージヒルの大倉山、ノーマルヒルの宮の森と、有名なふたつのジャンプ台が札幌にはあるが、どちらも開催日には地下鉄・円山公園駅からシャトルバスが運行されており、気軽に観にいくことができる。 ぼくが観にいったのは、1998年『全日本スキー選手権 コンバインド』。いわゆるノルディック複合の一日目、ジャンプ競技である。

真冬日が続く厳冬の一月、月曜日ということもあってか、試技開始の10:30には観客の姿はほとんど無く(”試技”は2回のジャンプの前の練習のことで、一般の観客はこれが終わる頃にやってくるのであった)、あたりにいるのは選手と関係者ばかり。こんなところにいて良いのか、ちょっと不安になる。オリンピックのマークが輝くクラブハウスの前では、TVでよく見るように、選手達が”たかいたかい”みたいに体を持ち上げてもらって、踏み切りのフォームのチェック中。そしてまだ凍てつく寒さの中、競技が始まる。初めての体験、ドキドキ。

 

 選手が次々と飛んでくる.. 実際見てみると、フワリと飛ぶ、というよりも、すっ飛んでくる、あるいは落ちてくる、という感覚に近い。観覧席はジャンプ台の中腹まで設けられており(大半が雪に埋もれていたが)がんばって上まであがれば踏み切りの瞬間を観察したり、飛んでいく姿を上から見下ろすこともできる。そうやって見ているうち、踏み切りの角度とか、最後の伸びとか、ジャンプのこつもだんだんわかってきて、競技として楽しめるようになってきた。

きょうは国内大会なので、荻原兄弟とかビッグネームは出場していなかったが、それでも1回目から80m後半のジャンプが続出、K点越えも3本出た。2回目はスタート地点を低くして飛距離を抑えたものの、それでもトップの上野選手は(91.5/87.5)の見事な飛行をみせてくれた。ちなみにこの記録は4日後に行われたUHB杯における原田雅彦の記録を上回っており、もちろんスタート地点の差などはあるのだろうが、ジャンプそのものはノーマルヒルの最上級のものが見れた訳だ。

 一月から三月のシーズンはもちろん、最近は夏でもサマージャンプ大会が行われることもあるので、札幌観光の記念に、一度足を運んでみてはいかがだろうか。

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