釧路(丹頂)アイスアリーナ

ウインタースポーツ、といえばラグビーやサッカーも思い浮かぶが、やはり氷雪の上で戦ってこそ、真の冬のスポーツだろう。今回は”氷上の格闘技”こと、アイスホッケーの初体験レポート。

 「片道1万円」のバーゲンフェアで釧路へと飛んだのは、真冬も真冬、2003年の2月。駅前の和商市場、名物「勝手丼」で腹ごしらえをすませ、バスで”丹頂アリーナ”へと向かった。ここで気をつけなくてはいけないのは、釧路市内にはアイスアリーナがいくつもある、ということ。ぼくはこの日、釧路湿原にあるユースホステルに泊まったのだが、同宿のひとが「おれも日本リーグ見ようと思ったら、将来の日本リーグ(→小学生の試合!)見てもうたわ」と笑っていた(実話)。

釧路のアイスホッケー熱は相当なもので、小学生から社会人まで、何百というチームがあり、週末ともなれば市内いたるところで試合が行われているそうだ。実際、日本リーグのプレーヤーの約半分がここ釧路の出身者で占められているくらいの”ホッケータウン”なのである。そんなわけで、日本リーグを観たいひとは、「丹頂アリーナ」ですぞ、お間違えなく!

丹頂アリーナへのバスは、釧路駅から「36番・白糠線」などで「鳥取大通3」下車、右手に立派な体育館のような建物が見えるはずだ。空港から直行する場合は、「大通2」が近い。このバス停の前には、”十條スケートセンター”というこれまた紛らわしい施設があるので要注意。
 バス停から、雪に埋もれた歩道をヨチヨチ歩きでたどり着くと、ロビーは人でいっぱい、かなりの活気だ。それはいいのだが、ロビーでみんなタバコを吸っていて、かなりけむい。喫煙率の高い北海道だけのことはある。ロビーの大きな窓からは、正面に日本製紙の工場の大きな煙突が白い煙を吐いているのが見えるが、外もモクモク、中もモクモク、というのが第一印象。

ま、それはともかく、施設は新しく、とても清潔。客席は木製のしゃれたイスだ(ちなみにアリーナ内は禁煙)。スケート場ということで、寒さを心配していたのだが、ふつうに着ていればまず大丈夫。ただし、冷え性の方は足元の防寒には気を配った方がいいかもしれない。席はゴール裏のみ自由席、他は全て指定席となっている。入り口で指定券を買うと、自分で座席を選択できるのだが、サッカーの習慣で全体が見渡せる席をと、上段を選んでしまい、席について失敗った、と思った。アイスアリーナの場合、最前列でも十分な高さがあるので、選手が近いぶん前の方が断然いい。ただそれも比較の問題で、なにせ全体の大きさがサッカーとは違うので、席の良し悪しにかかわらずどこからでも近く、見やすい。場内は7-8割方の入りか、結構女性の姿も目立つ。


アイスホッケーの選手はカッコいいのだ!

この日は、ホーム日本製紙クレインズが首位を走る西武鉄道を迎えての試合。悲願のリーグ初優勝に向け負けられない試合とあって、ゴール裏でメガホンを打ち鳴らすサポーターはもちろん、会場全体に熱気がいきわたる感じ。ぼくはアイスホッケーははじめてだったので、試合についていけるかどうかちょっと不安だったが、パックをちゃんと目で追えるようになればそれでOK。それほど難しいルールもなく、退場によるパワープレー・ショートハンドというみどころもハッキリしているので、誰でもすぐに楽しめるスポーツだと思う。

アイスホッケーでもやはり勝負の決め手は”決定力”なのか、この日のクレインズは再三のパワープレーのチャンスを生かせず、逆に相手にはきっちりと決められる苦しい展開。第3ピリオドの猛攻も1点を返すにとどまり、結局2-4で無念の敗戦。。

 興奮の余韻とくやしさをかみしめつつアリーナを出ると、製紙工場の煙突をバックに、真っ白な中を家路につく人たちの列が続いていた。この北の街にも、「観るスポーツ」という文化がちゃんと根付いているんだなと、ちょっとうれしい眺めでした。
2002シーズンのキャッチフレーズ『
カップを釧路に!』は翌年以降におあずけとなってしまったが、ホッケータウン・釧路にタイトルがもたらされるその日を、ぼくも楽しみに待とうと思う。


その後、西武鉄道とコクドの合併を機に、日本リーグはロシア・韓国・中国のチームを加えた『アジアリーグ』に衣替え。
クレインズは2003年に初代チャンピオンに輝いた。国内チームの縮小から生まれた苦肉の策とは言え、他のスポーツに先駆けてスタートした本格的な国際リーグ。日本のスポーツ界の未来にも一石を投じたこの挑戦に、今後も注目していきたい。

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