Xリーグ(社会人アメリカン・フットボール)の頂点を決める決勝トーナメント『XリーグFINAL6』準決勝は、中地区1位・リーグ戦から負け無しで頂点を狙う”リクルートシーガルズ”vs.西地区2位・強固なディフェンスで勝ち上がってきた”アサヒ飲料チャレンジャーズ”となった。 焦点は、リクルートの強力なパスオフェンスを、アサヒ飲料がいかに止めるか、この一点だ。
<1stクォーター>
先攻したアサヒ飲料だったが、最初の攻撃はあえなくパントに終わる。対するリクルートは、2度の4thダウンをくぐりぬけ、25ydのフィールドゴールに結びつけた。全く攻撃が進まないアサヒ飲料に対し、リクルートは次の攻撃でも敵陣深くまで攻め込んだが、パスがインターセプトされ無得点。
(シーガルズ3−0チャレンジャーズ)
<2ndクォーター>
リクルートの攻勢は変わらず、しかしぎりぎりのところでアサヒ飲料のディフェンスもふんばり、タッチダウンを許さない。FGで3点を加点し、リクルート6点リードで迎えた3分過ぎ、アサヒ飲料DFにビッグプレーがとびだす。今日2度目のインターセプトから、一気に敵陣12ydまでリターン、FGが決まって6−3。得意のDFでモメンタム(流れ)を引き寄せたアサヒ飲料は、このあとのピンチをまたもインターセプトでしのぐと、これまで完全に止められていた攻撃陣もようやく奮起、自陣から長い距離を攻め込み、最後はエース中村多聞のTDラン!あっさり試合をひっくりかえした。 しかしリクルートも負けずに終了間際、大久保の43ydのロングFGを決め、1点差で前半終了。
(シーガルズ9−10チャレンジャーズ)アサヒ飲料DFチームの健闘に湧いた前半、さて後半は?
<3rdクォーター>
アサヒ飲料の勢いは止まらず。立ち上がり、なんと今日4度目のインターセプトを奪うと、返す刀で21ydのTDパスを見事にヒット! 突き放しにかかる。リクルートはパス攻撃をあきらめ、ラン中心に切り替えるとこれが奏功、米田の47yd独走で初めてのTDを挙げ、息を吹き返す。一気に同点を狙った2ポイントコンバージョンは失敗したものの、15−17、わずか2点差。それでも勝負強い今日のアサヒ飲料、すぐFGを1本返し、5点の僅差で最終4Qを迎える。
(シーガルズ15-20チャレンジャーズ)
<4thクォーター>
ランでリズムをつかんだリクルート、じりじりと攻め込んで敵陣23ydまで進んだが、ここで4thダウンand2に追い込まれる。今日好調のキッカー大久保にFGを蹴らせるかと思われたが、ギャンブルを敢行。まだ時間は9分残っており、FGで2点差(FGもう一本で逆転)にしたほうが確実なのではないか、やや疑問の残る選択だったが。。 結局ギャンブルは失敗に終わり、モメンタムを失ったリクルート。返しのアサヒ飲料の攻撃、早く攻撃権を取り戻したいリクルートを尻目にパントフェイクの奇襲攻撃も決まり、とどめの24ydFG、ここでほぼ勝負あった。
(シーガルズ15−23チャレンジャーズ)
リクルート得意のエア・アタックを完全に封じ、”パーフェクトシーズン”の夢を砕いたアサヒ飲料。この後、社会人王座『東京スーパーボウル』も接戦の末制すると、正月のライスボウルでは大学チャンピオン法政大学を格の違いで圧倒、初の日本一の座に輝くことになる。
日本のフットボールは年に一度くらいしか観ていないが、そのたびにレベルが上がっているのを感じる。きょうは特に、キッキングゲームの充実が光った。30yd程度のFGをしばしば外しているようでは、ボールポジションの優劣とか、フットボール独特の奥深さも全て消し飛んでしまい、「ホームランでしか点が入らない野球の試合」みたいに大味なものになってしまう。きょうは両チームとも3本づつ、すべて成功である。ディフェンスとともに試合を引き締めてくれた。 また観にいこうかな、そう思わせる好ゲームでした。