台湾パーツの真髄 Power-Leap社「PL-iP3/T rev.1.1」with AX6BC PROU

ペンティアムUや初代Celeronをギガヘルツ(1.5GHz)マシンに 


KH 2002.04.28  de JH3OTS

昨年春は、300MHzから500MHzのPCを1GHz前後で動くCPUに載せ換えして遊んでみましたが、今回はさらに新しい Tualatin core の Intel Celeron1.2GHz(\11,800)と、スロット1のマザーボードでそのCPUが動くという、CPUアダプタ Power-Leap社「PL-iP3/T rev.1.1」(通称:ゲタ、\4,480) 。つまり、これらつを使い、オーバークロックで何GHzまで行けるか。

素材は昨年1GHzオーバーが可能となったA-Open社(Acerグループ)のマザーボード、AX6BC PROU。もともとは1998年ペンティアムUや初代Celeronが出たことに発売されたもの。これの後期バージョンでBXチップセット、ISAスロットなし。BIOSは2000年5月のバージョンにしてあります。

とりあえず、ゲタとCPUを組んで、スロットに挿すものの起動せず。BIOSさえも拝めない。ケースの電源オンのランプが微妙にちらちら揺れる。そこで、CPUを元に戻してBIOS画面をよく見てみると、Core Voltageの表示がおかしい。通常はマニュアルでプラス0.2Vまで上げられるのですが、これができなくなっている。BIOSを完全なデフォルトにするために、電池を抜いて一晩置く。ジャンパーでのC-MOSクリアでもよいが信用できないため。

翌日、電池を付けて、Celeron1.2GHzではなく、実績のあるCeleron800MHzのまま、いざ起動。オッ!ちゃんと電圧が可変できるようになったやないか!BIOSがおかしくなっていたんですね、知らないうちに。因みに、Celeron800MHzはMSIのMS-6905というCPUアダプターにてスロット1に変換しています。MSIゲタのジャンパーはautoに設定。また、このCeleron800MHzは1.1GHzで常用可能で、3Dmark2000、Super Pi 419万桁の計算もちゃんと終了します。下記参考を参照。

一旦パワーオフにして、Celeron1.2GHzを挿す。少し間を置いて「ピポッ!」・・・やった!定格のPentiumV 1200MHzと表示されたBIOSを拝み、Windowsが起動。ちゃんと使えるではないですか。そして、予めインストしてあったSOFT FSB(外部クロックをWindows上で可変できるツール)を使って、周波数を上げていきます。ところがFSB=103MHzは通るものの、その上がまったくだめ。また、ここで注意しないといけないのは、BIOSでの電圧変更はできるのですが、ゲタは直接電源から電源を取り、ゲタの上でVcoreを作り出しているため、BIOSでの表示電圧は2.05Vと表示されます。しかし、この電流はCPUまで来ていないので、無視してもよいと思われます。

しかし、デフォルト状態なのにFSB=103MHzしか設定できないとは何かおかしい。Vocreが足りていないのでは?との疑問から、PL-iP3/Tに使われている電源制御IC L6911Eの資料 8012.pdf をダウンロード。VID0〜VID4という足を上げたりアースしたりで電圧を変更することが可能なようです。適正電圧を変更しながら、クロックアップ可能周波数を探ってみました。Super Pi 419万桁と3Dmark2000が通れば合格としました。

その結果、下の表のデフォルト以外、0.05V刻みの4つのどの電圧でも FSB=129MHz x 12倍 の 1548MHz でテスト合格。FSB=133MHz の 1600MHzでは、どの電圧、テストも不可というか、Windows自体が固まってしまいまいました。最終的には、VID1、VID2の2本の足を上げて、VID3をGNDにジャンパー線で落として、Vcoreを1.775V掛かるようにしました。その電圧がそのまま掛かると危険ですが、ゲタの不具合から実際はこれより下の電圧であると推測。なお、ICの1番ピンは小さな丸の窪みがあるところです。

output voltage VID0 VID1 VID2 VID3 VID4
1.475V default 0 0 1 1 1
1.575V 0 1 0 1 1
1.675V 0 0 0 1 1
1.775V 0 1 1 0 1
1.825V 1 0 1 0 1

 

結局、この1.775V で 1.55GHz 設定にし、小一時間かかるWinbench99 の All Winmarks も問題無く終了したので、これで確定としました。なお Super Pi 104万桁 は 1分50秒。以下はお約束の HDBENCH です。


★ ★ ★ HDBENCH Ver 3.30 (C)EP82改/かず ★ ★ ★
M/B Name AOpen AX6BC Pro II
Processor Pentium III 1541.94MHz[GenuineIntel family 6 model B step 1]
Cache L1_Data:[16K] L1_Instruction:[16K] L2:[256K]
VideoCard MSI MS-StarForce 815 (Nvidia GeForce2 GTS)
Resolution 1024x768 (16Bit color)
Memory 261,212 KByte
OS Windows Me 4.90 (Build: 3000)
Date 2000/01/02 00:15

SCSI = Highpoint Technology Inc. HPT366 Ultra DMA 66 Controller
SCSI = Highpoint Technology Inc. HPT366 Ultra DMA 66 Controller
HDC = Intel 82371AB/EB PCI Bus Master IDE Controller
HDC = プライマリ IDE コントローラ (デュアル FIFO)
HDC = セカンダリ IDE コントローラ (デュアル FIFO)

A = GENERIC NEC FLOPPY DISK
CE = QUANTUM FIREBALL CX6 Rev A3F.
DF = IBM-DTLA -305030 Rev TW3O
G = PLEXTOR CD-R PX-W1210A Rev 1.07
H = _NEC DV-5700B Rev 1.91

ALL Integer Float MemoryR MemoryW MemoryRW DirectDraw
26161 62056 65205 17599 12024 23637 74

Rectangle Text Ellipse BitBlt Read Write Copy Drive
57730 69551 9535 1131 22549 26202 5771 D:\100MB



参考:Celeron800MHz@1100MHz Vcore 1.9V

★ ★ ★ HDBENCH Ver 3.30 (C)EP82改/かず ★ ★ ★
M/B Name AOpen AX6BC Pro II
Processor Celeron 1104.33MHz[GenuineIntel family 6 model 8 step 6]
Cache L1_Data:[16K] L1_Instruction:[16K] L2:[128K]
VideoCard MSI MS-StarForce 815 (Nvidia GeForce2 GTS)
Resolution 1024x768 (16Bit color)
Memory 261,212 KByte
OS Windows Me 4.90 (Build: 3000)
Date 2000/01/02 00:56

SCSI = Highpoint Technology Inc. HPT366 Ultra DMA 66 Controller
SCSI = Highpoint Technology Inc. HPT366 Ultra DMA 66 Controller
HDC = Intel 82371AB/EB PCI Bus Master IDE Controller
HDC = プライマリ IDE コントローラ (デュアル FIFO)
HDC = セカンダリ IDE コントローラ (デュアル FIFO)

A = GENERIC NEC FLOPPY DISK
CE = QUANTUM FIREBALL CX6 Rev A3F.
DF = IBM-DTLA -305030 Rev TW3O
G = PLEXTOR CD-R PX-W1210A Rev 1.07
H = _NEC DV-5700B Rev 1.91

ALL Integer Float MemoryR MemoryW MemoryRW DirectDraw
23697 44428 46687 16535 12591 23530 74

Rectangle Text Ellipse BitBlt Read Write Copy Drive
55800 65554 7398 1131 22173 27909 5781 D:\100MB

これがうまくいき、実装テストが完了したのは4月20日夜でした。この数日あと、2ちゃんねる「440BXでTualatinコアのCPUが動いたYO! Part3」を見るとゲタの実測電圧が1.25V程度であると報告されていました。また、ゲタも新バージョン発売とのこと。Vcoreを 1.050Vから1.800V の0.050V 刻みで可変できるようになったrev.2の製品が発売されました。やはり初期のバージョンはバグがあるんだなーと。でも、売れる可能性のある製品を逸早く製品にしてくれるところが台湾パーツのいいところ。何か問題があるとすぐに返品したがる正常な消費者は買ってはいけませんが、ナントカなるんではという妙な勘が働く人、決して諦めない人は買ってもよいでしょう。とはいうものの、v.2になってからは大概いけるのではと思います。ユーザーが多いと思われる旧ソケット370対応のゲタ「PL-370/T」も出ていますので、勇気ある方は情報収集してからお試しください。

このPower-Leap社はソケット7用のゲタも販売しています。もっと古いマシンでも日本橋に行けば、K6-500MHzがまだ売っていますので、MMX/Pentiumマシンを400MHz(66MHz x 6倍)にすることも可能でしょう。ただ、マシン全体の性能は「 CPU:HDD:グラフィック 」 が 「 4:3:3 」くらいの性能比ですので、CPU以外もそれに見合ったものにしないとあまり効果は望めません。一般に、ミニタワー以下のマシン、ノートPCがCPUクロックの割に速くない理由でもあります。

また、電源の3.3V出力電流があまり大きくないものは改造する際の電源交換もマシン安定化の一助となると思います。これ以前にクロックアップとは関係無く、3.3V 14Aから同25Aの電源に交換したのですが、以前はかなりあった中波ラジオに入るノイズがまったく無くなりました。HF帯へのノイズ輻射もほとんど無いと思います。参考までに、メーカー:ICUTE TECH corp. http://www.casepower.com/tw 、型番:ICUTE3200、 購入店:DOS/V パラダイス 難波2号店の特売コーナーです。デュアルファン、アルミ製トンネル型ケースで、排気音も耳障りではなく、よい買い物でした。特売ではなく通常製品で買うなら ENERMAX の製品をお勧めします。

今回の情報だけでは十分ではないでしょうから、下記を挙げておきます。・・73&88

以下、2ちゃんねる「440BXでTualatinコアのCPUが動いたYO! Part3」 より引用

http://pc.2ch.net/test/read.cgi/jisaku/1019035100/l50

■関連リンク
PL-iP3/T 電圧可変、温度計測可能化改造
440BX、i81x-AstepマザーでTualatin動作(Coppermineマザー/下駄使用)
http://www.ac.wakwak.com/~takapen/
PL-iP3/T コア電圧可変改造
http://www5a.biglobe.ne.jp/~hiromi-1/PLIP3T/PL-IP3T.htm
PL-iP3/Tのデフォルト電圧変更方法
http://users.hoops.ne.jp/garageoyaji/PartsReorg/PartsReo_IP3T_01.html
私設BIOS研究所 (cbrom・modbin説明)
http://203.174.72.111/taketo3/bios/bioslab.html
ctmc説明&DL
http://members.dingoblue.net.au/~roggefam/bmreport1.html
cbrom・modbinDL
http://users.cybercity.dk/~dsl6178/bios/Bioslogo.html
Pentium III 1GHz (FC-PGA/FC-PGA2) cD0 ステッピング・テストレポート
http://www.dei.co.jp/reference/flash/cd0_test.html
下駄の種類と比較
http://www.ne.jp/asahi/pc/adventure/daughter.htm
http://www.geocities.co.jp/SiliconValley-SanJose/5084/daughter.html
http://www.watch.impress.co.jp/pc/docs/article/20010418/hot141.htm
http://www.mahoroba.ne.jp/~hiroton/socket.html