エレキーのお話(その2)

島津清孝 (9V1DJ / JA3KAB)

蛇足/補足

エレキーのお話で、ケッサクな事を思い出したので、蛇足、いや、補足します。   2号機はDTLのICを2個使ったものだったのですが、消費電流はバカにならず、電池ではなく外部電源で使用していました。外部電源は実験用のもので、スイッチ切替えで15V以下のレンジと25V以下のレンジに切りかえることが出来ました。   電源電圧は5Vが標準ですがある時、間違ってトランシーバーへの供給圧12Vをかけてしまい・・・、

あっ と思ったのですが、既に遅し。ところが、12Vでも、ちゃんと動作することを発見しました。(絶対に真似しないで下さい)   ある日、友達に電源装置の説明をし、25Vレンジに切替えて電圧を上へ上げたら、どこかで「キュー」と言う音がしました。

しまった!エレキーの電源スイッチを入れていた!(出力がオンになり、モニターの音が出た。電圧を変更の途中だったので、音の周波数がひゅーっと変化したらしい。)電源電圧を下げてエレキーの動作を確かめたのですが、すでに動かなくなっていました。泣く泣くICを買いに(あの頃は高かった)行き、入れ替えたら動くようになって、それでしばらく使っていました。  

しかし、つぶれたICも、捨てるにもったいなく、どの部分が壊れたのか、テスターで動作をひとつひとつ確認しました。すると、2個のうち1個、フリップフロップは壊れておらず、ゲートICの、4回路入っている1個だけ出力がショート状態である事がわかりました。壊れた回路に繋がっているICピンをニッパーで切り取り、もう一度これらのICを基板に戻したら、何と、動作するではありませんか!  

そんなアホな!  目の前の状況は、真空管を1本抜いたラジオが鳴っているような信じられない事です。組み立て前に、回路の動作原理をよーく理解して取り掛かったのにー。もう一度回路図を取り出し、切り飛ばした部分をにらみ、よーく考えると、元の回路と少し異なる原理で動作する事に気がつきました。しかし、こんな偶然があるでしょうか?しばし開いた口がふさがりませんでした。   この2号機の基板は、足を3本切り取ったICを乗せたまま、今もシンガポールの家で眠っています。   2号機の基板。左のICの手前右から2本目から4本目まで、足がちょん切られているのがわかるでしょうか?

 

 10号機

まだまだエレキーに取り組んでおりまして、今般メッセージメモリー付のキーヤーが出来あがりました。10号機です。メモリーは小さめですが、CQでもQRZでも和文でも何でもござれで記憶し、送信します。   9号機に引き続きPICマイコンを使用しており、PIC内臓のROMを利用して、自分で自分に読み書きさせるものです。9号機のプログラムを改造して、作成しました。   プログラムの作成には中抜けもあり(色々考えていたことを忘れるので、こういうのが一番悪い)1月半ほどかかりました。プログラムをPICに転送して、「さあーっ」と思って試運転したら、まずは暴走でした。   そんなアホな!  ずいぶん考えてコーディングしたのにーっ!内臓EEPROMは、この程度の理解では使えないのかぁ〜   というわけで頭に来、しばらくほってあったのですが、改めて冷めた頭でもう一度プログラムを見てみたら、信じられないような間違いが2つありました。   いやですねー。以前は、プログラムが一発で動くことがよくあったのですが、最近は、とんと無くなりました。50の手習いとはよく言ったもので、切れ味がなまってきましhi.

右の写真が、その、メッセージメモリーの10号機です。 

えっ?  ただのICじゃないかって?   そうなんです。これがPICマイコンで、その他プリント基板、モード切り替えスイッチ、自動送信スイッチ、パドルと、すべて9号機とコンパチになっており、これを9号機のPICと取り替えて、10号機の出来あがりです。   え?  そんなのずるい?  ペテンじゃないかって?   そうですねえ。確かに全体は存在しておらず、コア部しか無いという意味では ”幻の10号機”と言った方があたっているかもしれません。   ひとのハードウェアを借りて自分を形にするという、何かに似ていますねえ。あっ、そうです、あれです。”やどかり”。そう思って見ると、何かしら形まで似ているような気がしてきますねえ、hi,hi

物は存在しなくても、それは存在している。何か禅問答みたいですね。 これから、こういうものは増えていくのかもしれません。  え、またまたつまらん話やった?  すみません。

 

 

 

11号機

またまた、新しいエレキーが出来あがりました。何と、11号機です。   今回もPICマイコンを使ったメッセージメモリー付きのエレバグキーですが、今回はふんだんなメモリーを湯水のように(?)使い、1チャンネル当たり、およそ3000字(!)ほど記憶できるので、メモリーの容量を気にする必要は全くありません。hi,hi。  

大容量メモリーのために、256KのメモリーICを搭載し、PICでコントロールする事にしました。256Kは、25万余の素子が詰めこまれています。「お前作ってみろ」と言われたら、配線するだけでも一生かかっても終わりません。hi,hi.

これがキャラメルより小さな8ピンのICに詰めこまれ、400円ですから、世の中、何か間違っているんじゃないかと思います。(こんな、浦島のような事を言っているから、どんどん化石になるんですが)   テスト段階では何分、測定器など殆ど無く、何を書き込んだのか確かめられないので、うまく動かない時、書き込みが悪いのか、読み出しが悪いのか皆目判らず、暗中模索のような気分でした。という訳で、途中、やる気の失せた期間があり、モノになるのに5ヶ月を要しました。hi,hi。  

メモリーが動き始めたら、容量は「これでもか」と言うくらいにあるので、これを活用して「エレバグモードのメモリー」を作りました。この間の「エレキーの話」でご紹介した、バグキーのような信号が出てくるエレキー、あれです。ちょっと長めの長点、普通の長点などを気ままに使って、少し気分が表現できる、その信号をそのままメモリーするものです。

また、メッセージをメモリーする時、語と語の間のスペースが、なかなか自分の思ったようなスペースで記録させられないと思う事が良くあります。スペースは、短点3つ分か、5つ分に普通、決まっているので、その中間長さのスペースは、無理やりどちらかに決められて記録されます。  

これが気に入らず、スペースも自由な長さが記録出来るようにしました。   使ってみると、まるで、テープレコーダーのよう。自分の手の調子のよい時は、うまい信号が、へたな時は、へたに打った通りに再生されます。当たり前か〜〜。   下の写真が、エレバグメモリーの11号機です。   えっ? 前のと同じやないかって?

 

 

 

そうですよね。同じ作者が、同じケースを使って作るんですから、見栄えはそっくりです。 右側が  下の写真の、左側は今回の11号機、前回の作品(10号機)です。中身のレイアウトもそっくり、電池の入れ方、スピーカーの取りつけも、同じです。しかし、左側11号機の基板に、大小二つのICが載っているのがわかるでしょうか?この小さい方が、256kのメモリーです。この小ささと、容量の大きさは、どう考えてもピンと来ない気分です。    

 

性懲りも無くエレキーばかり、良く11台もつくるものだー。  と、言われても 仕方の無い状況で、「エレキーの島津」という、くだらない称号を否定しよう にも否定しきれないようにも感じています。(自分でも「アホやないか」と思っています。)1年に3台を作り、ええ加減にこの位で当分やめておこうと思います。   それにしても、エレバグキーのメモリーなんて、アホな事を考えるのは、私くらいなモノでしょう。hi,hi.    

え!、またまたつまらん話やった?  すみません。睡眠薬の代わりにどうぞ。  

どなたか、「ワシもいっちょう、作ってみよう」とおっしゃる方を大歓迎します。 ご連絡頂きましたら、回路図、PIC焼込み用ファイルをお送りします。ご希望でしたら基板の、どアップ写真、さらにご希望でしたら、プログラム済みのPICマイコンを実費でお分けします。

エレバグモードメモリーのいらない方には、シンプルな10号機の回路図とファイルをお送りします。10号機は、基板もまだ1枚残っていますので、製作される方には、無料で提供します。(代わりに出来あがりの写真をお送り下さい。)

 ”もっと広がれ エレバグキー!!”

                                    島津 清孝 JA3AKB/9V1DJ