第5回「つながりうけつがれていくもの」
 今年の春、100坪のたんぼを無償で貸してくれるご奇特な地主様がみえました。病気のため耕作不能とのこと。ご子息の経営するアウトドア屋の屋号をもじって「ベルナーたんぼランド」と命名。
1/3は、動植物のために。黒米、ショウブ、クワイ、イグサ、オオアカウキクサなどを植栽。近所から捕ってきたドジョウ、フナ、モツゴ、タニシ、メダカなど放流。その他勝手にはえてきた、あるいは入ってきたウキクサ、ヨシ、カヤツリソウ、ムラサキツユク、ほかいわゆる雑草、ダルマガエル、アメリカザリガニ、カブトエビ、ヤゴなどなど。
 残りの2/3は、子どもたちを泥べた子にするために。子どもたちも、はじめは恐る恐る入泥(にゅうでい)、やがてバシャバシャとやり始め、満面の笑顔。最後は泥べた子、裸足で泥の感触を経験する。
 たとえば、そのメダカは、私が子供のころ遊んだ五条川のメダカの末裔(?)を、5年ほど前知人が捕獲。繁殖したものを私が譲り受け、それを昨年師勝町の老人福祉施設「もえの丘」に寄付。我が家のメダカはこの冬、ゆきずりのいたずらでほぼ全滅、このたんぼに放流する為に「もえの丘」から再度譲り受けたもの。今ではこのたんぼで数百匹に繁殖。それぞれの生物が、いろんな経緯で、このたんぼにいる。
私たちが植栽し、生物が命を謳歌し、子どもたちが歓声を上げる休耕田の初夏。昨年まで耕作していたあるじが亡くなりました。
べつにDNAとか食物連鎖とかを介しているわけではないけれど、こうして生物はつながり、そのつながりは次の世代へうけつがれていく。
リリオの会
事務局 きし たつお

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