第3回「メダカの遺伝子の型別保存」
 岩倉の五条川にはメダカはいたし、まあこれを小学校や各家庭に里親してもらい、増殖・放流、メダカを使って町おこし、めでたしめでたし...、といくはずだった。 が、調べるてみると、日本に生息するメダカは種としては一種なるも、遺伝子の型としては、いくつかに分類される。 毎年世代交代(春先に生まれた子は夏の終わりにはさらにその子を生む)するメダカは短期間で遺伝子的に分化しやすいだろうし、泳力が弱いので長距離の移動はむずかしい。経済的価値もないのでいままで人によって移動されたことがあまりない。そんな理由で、各地方に異なった遺伝子の型を持っているメダカが残っているそうな。そのメダカの遺伝子の型は、大きく北日本集団と南日本集団に分けられ、さらにこの地方の属する南日本集団は、東日本型から琉球型まで9つの型に分けられる。図鑑に載っている東北地方(北日本集団)のメダカを見て、「あれ?どこか形が違う」と思ったことはあるけど、現物を見比べたわけではない。どちらにしても、南日本集団をいろいろな写真で見る分には、この地方のメダカと区別できない。なかには、その河川にすむメダカのシリビレのスジの 平均値を取り、他河川にすむメダカのそれと比較し、統計的に有意だとかいってみえる方もいる。うーーん、なかなかマニアックな話。 新潟大学酒泉教授による鑑定の結果「五条川メダカ」は、南日本集団東日本型に属しさらに木曽長良川水系のみに生息する「濃尾メダカ」とのこと。最近マスコミで、メダカの放流の記事を見かけるけれど、遺伝子の型別保存を考えた場合、捕まえたところにしか放流しないというのが基本。もちろん、放流自体、望ましい保護方法とは思えませんが...。
リリオの会
事務局 きし たつお

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