朝日新聞 平成11年9月1日
 岩倉市本町の市立岩倉北小学校(井戸則夫校長、児童数八百六十一人)で、保護者、地域の自然愛好グル‐プ、先生が夏休み期間中に協力して、自然を模して動植物の生態系を再現レた人工庭園「ピオトープ」を造った.広さ約十五平方メートルの小さな池はほぼできあがった.池には溝があり、あふれ出た水が隣のくぼ地に流れ込んで、湿地になるという本格的な設計だ.周囲に植える木は地域の人に寄付してもらった.木を植え替えるのに時間がかかるため、完成は来春になりそうだ.
 池が完成したのは二学期が迫った八月二十九日.同校PTA会長で、近くでコンビニ店を経営する高桑敏直さん(四○)は満足そうだ.
 「もう、ヤゴやオタマジャクシが勝手にすんでいるよ」と、井戸校長が口を挟んだ.池にはすでに地下水が引き込まれている.
 「ピオ卜ープ」どはドイツ語のBIO(生物)とTOP(場所)からなる合成語で、生物が生息するする場所といっ意味だ.高桑さんがインタ‐ネットのホ‐ムぺージで、千筆県松戸市の県立高校などがビオ卜ープを造っていることを知り、学校に働きかけた.校内に人工のせせらぎを造ってホ夕ルを育てる構想を持っていた井戸校長が「願ってもない話」と飛びついた.
 夏休み期間中の土、日曜日、保護者と教師、尾張地方北部の自然愛好家でつくる「リリオの会」の会員約二十人で作業をした.
 まず土木建設業の保護者に池を掘ってもらった.くほみにビニールシー卜を敷き、防水加工を施した.岸には土のう設けて、上から泥を塗って固めた.
 池の周囲に植える木は、地域の人に庭木の寄付を呼びかけた.「ムクゲ、クチナシ、ヤナギなど約三十人から譲ってもらった.植え替えは重労働だった」と、高桑さんは振り返る.
 費用の二十万円は、保護者らが開く秋のバザーで工面する.
 リリオの会は、環境庁のレッドデータブックに絶滅危ぐ種として記載されだメダカを保護する活動を続ける.同会代表の建設会社員今枝久さん(四○)=小牧市久保一色=は「学校の池をメダカの越冬池にもして、児童にメダカの観察をしてもらいたい」と期待を込める.
 井戸校長(四十七)は「べッドタウンの子供は自然に親しむ機会が少ないので、格好の遊び場だ.水生生物の観察など授業にも採り入れていきたい」と話している.

高桑さんご苦労様でした。

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