中日新聞 平成11年10月13日
 新潟大学理学部自然環境科学科の酒泉満教授(45)が十二日、愛知県内のメダカの生息状況を調べている市民団体の依頼で瀬戸市海上町の「海上(かいしよ)の森」でメダカの探索調査をした.酒泉教授は、絶滅危ぐ種のクロメダカの生態や遺伝子鑑定などによる遺伝的な地域差を全国各地で認べている.
 岩倉市を流れる五条川に既に生息する固有種のメダカを養殖し、放流活動を進めている市民団体リリオの会(今枝久代表)が招いた。川の水系によって生息するクロメダカの種類は異なるといわれる.県内のメダカのルーツについて研究する活動の中で、海上の森でもメンバーらがメダカを採取.専門家の意見を生かすため鑑定を頼んだ.
 酒泉教授は二十年以上にわたって全国を巡り、愛知での調査は今回が二回目.調査の意義について「岐阜県大垣市や羽島市、愛知県佐織町では実地調査から固有のDNAを持ったクロメダカが見つかっている.今回の調査で独自のクロメダカが見つかれば、土着の生き物を保存する大切さを地域の人たちに訴えられる」と話した.
 海上の森では二つの沢沿いにある数カ所の沼やため池で調査したが、結局この日は見つからなかった.このため、今年九目末にリリオのメンバーが今回の場所で採取したクロメダカのほか、以前に立田村や西尾市、岩倉市で採取したクロメダカを酒泉教授へ渡した.遺伝子鑑定の結果は二カ月ほどで出る.
 酒泉教授によると、全国のクロメダカを遺伝学的に分けると、青森県から京都府までの日本海側に生息する「北日本集団」と、これ以外の「南日本集団」の二つに分別できるという。
  「北」は地域的な遺伝子の特徴に違いはほとんどないが「南」は九種類の型に分けられ、愛知県内のクロメダカは紀伊半島から岩手県までに分布する「東日本型」に属する.
酒泉教授の分類は一九八七年と九○年の日本遺伝学会や日本動物学会で報告されている.

朝日新聞の記事と補完しあって、大変よい記事でした。

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