朝日新聞 平成11年10月13日
 岩倉市立五条川小学校(倉知一実校長、児童数三百六十二人)の五年生六十三人が十三日、メダカの生態が専門の新潟大学理学部の酒泉満教授(四五)=写真=の特別授業を聴いた.メダカの保護などに取り組む尾張北部の自然愛好家でつくる「リリオの会」が、「なぜ五条川のメダカが少なくなったのかを地元の子どもに知ってもらいたい」と、酒泉教授を招いた.児童たちは、教科書には書かれていないメダカと地元の自然環境との関係を学んだ.

 桜の名所として知られる五条川は、五条川小のすぐ東隣を流れている.同小では十年ほど前から、五年生の理科で五条川にすむメダカなどの水生生物を観察してきた. 特別授業のはじめに、****君(十一)は「なぜメダカが減ってきたのかが不思議です.きっと地球が汚れてきたからだと思います」とあいさつした.
 酒泉教授はスライドを使って、メダカの生態や数が減っている原因を分かりやすく説明した. 水田のほ場整備で流れが速い水路や一時的に干上がる水路が増えたことや、コンクリート護岸の河川が増えたことを上げ、「人間がメダカのすむ場所を奪ったことが数が減った最大の原因です.地元の水辺の環境の変化や川や沼の改修工事に注意してください」と、児童たちに語りかけた.

 話が終わると、酒泉教授は児童たちの質間攻めにあつた.「水糟の水を替えたらメダカが死んでしまったのはなぜ」「このまま自然破壊をしていくとあと何年で絶滅するの」****(十一)は「五条川はメダカのすむ場所に適していますか」と聞いた.酒泉教授は「川岸のほとんどはコンクリ‐卜護岸なので、すみやすくはありません.メダカはかろうじて残っています」と答えた.**君は「メダカは土や草が生えている水岸ではよく取れるのに、あまり五条川では取れない理由が分かりました」と納得していた.
 酒泉教授は「子どもたちがメダカに興味を持つことが、メダカが地域の水路や川に戻ってくる一歩になるでしょう」と話していた。



文中、児童名の****は、リリオの会にてつけました。

中日新聞の記事と補完しあって、大変よい記事でした。
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