肌を寄せ合ったまま二人は浴室の戸を開けて中に入る。
「ちょっと待っていろ」
手塚はコックをひねり湯温を少し熱めに調節してからシャワーに切り替え、リョーマを引き寄せる。
「熱いか?」
「ううん……ちょうどいいっス」
リョーマは手塚を見上げて微笑むと、自然な仕草で手塚の首に腕を回して抱きついた。
「くにみつ」
「ん?」
「……久しぶりっスね」
返事を聞く前にリョーマが背伸びをして手塚に口づける。
そのまま熱めのシャワーを浴びながら甘く舌を絡ませ合っているうちに、リョーマは自分の腹の辺りに手塚の熱を感じた。
手塚の首に回していた腕をほどいてそっと唇を離し、リョーマは手塚の熱塊に手を伸ばす。
「オレも約束、果たさなきゃね」
「リョーマ…っ」
シャワーを止めてから、リョーマは躊躇いもなく手塚の熱塊に口づける。舌を這わせ始めると手塚の唇から熱い吐息が漏れた。
気をよくしたリョーマは手塚が自分にしたように太い幹を手でしごきながらきつく吸い上げてみる。
「ん……っ…リョーマ…」
手塚が低く呻くたびにリョーマの口の中で熱塊が質量を増してゆく。
次第に口内に収まりきれなくなってきてしまい、リョーマはその先端だけを丁寧に舐め回した。
「んっ……く、うっ…」
艶めいた呻きを漏らしながら、手塚がリョーマの頭を優しく撫でる。
リョーマがふと見上げると、雄の光を宿した手塚の瞳と目が合った。その瞬間、リョーマの全身を情欲という名の電流が駆け抜けた。
「あっ!」
手塚がいきなりリョーマの二の腕を掴んで立ち上がらせ、少し乱暴に口づけてからリョーマの身体を反転させてタイルの壁に手をつかせる。
「や…っ待っ……」
「待てない」
熱く脈打つ熱塊がリョーマの後孔に押しつけられる。
リョーマの唾液とリョーマを求める手塚の先走りで滑る先端が何度も秘蕾に擦り付けられ、湿った音をたてる。
「オレがイかせるって言ったのに…っ」
「ああ、イかせてくれ……おまえの中で…」
「あぁっ!」
堅く張りつめた肉棒がリョーマの小さな蕾をこじ開け、先端をめり込ませてくる。
「やっ、ああっ……んんっ」
自身に添えていた手をリョーマの細い腰に回し、手塚は息を詰めてゆっくりと灼熱の凶器をリョーマの体内へと埋め込んでいった。
タイルに縋りつくリョーマの指が血の気を失って白くなる。
甘い圧迫感に眉を寄せながら一気に根本まで埋め込むと、手塚は大きく息を吐いて覆い被さるように身を屈めてリョーマをきつく抱き締めた。
「うあっ、あ…んっ」
「リョーマ…」
愛しくて、愛しすぎて、言葉では伝えきれないリョーマへの想いが、手塚を獣へと変えてゆく。
「ああ…い、やぁ…」
リョーマを抱き締めたまま手塚がゆっくりと身体を起こす。
すると身長差のためにリョーマの後孔が目一杯広げられ、手塚をさらに奥深くまで呑み込まされることになった。
「あ…あっ……」
リョーマが目を見開く。
手塚はリョーマの首筋に口づけながら、前に回した手でリョーマの胸や腹を揉み込むように撫でまわした。
「……っん、……ああ……っ」
リョーマも後ろに腕を回して手塚の太股から腰のあたりを撫で上げた。
「リョーマ……っ」
熱い吐息がリョーマの耳にかかり手塚の腰が緩く動き始める。
「ああ…んっ……くにみつ…っ」
上半身をきつく抱き締められたままゆっくりと肉棒を出し入れされ、時折リョーマの身体が浮き上がるほど深く捩り込まれて、さらにその最奥で左右に揺すられる。
「あっ…はっ…ああっ、あっ」
根元まで埋め込んで自分の最奥を掻き回す手塚の熱塊を思い切り締め上げ、リョーマは無意識のうちにさらなる快感を得ようと内壁を蠢かした。
手塚が息を詰めて暴走しそうになる欲望をやり過ごす。
「くっ…う、……リョーマ……っああ…っ」
「ひっ!」
最奥を掻き回していた手塚が腰を引いて肉棒の先端だけを残し、そこから一気に根元まで突き入れる。
強烈な快感に身体を硬直させるリョーマから腰を引き、もう一度、今度は少し角度を変えて手塚が肉剣を突き入れた。
「ああっ!」
一番敏感な場所に直撃を受け、堪らずリョーマが叫ぶと、それがスタートの合図だったかのように手塚の猛攻が始まる。
「あうっ!んんっ、やっ、あっ、あ、ああっ」
リョーマを抱き締めたまま、手塚は何度も何度も熱い肉壺を抉り上げる。
「ああっ、ああっ、ああっ、いやぁっ、あうっ!」
リョーマの甲高い嬌声と手塚が腰を叩きつける派手な音に混じって湿った粘着音が浴室に響き渡った。
「リョーマっ」
「ああっ、く、…みつっ!」
荒い息の下で互いの名を呼び合う。
手塚は動きを緩めてリョーマに熱く口づけた。
「ん…ふ…ぅ」
舌を絡めて応えながら、リョーマは手塚の腰をさらに引き寄せるように後ろに回した手に力を込める。
「あ……くっ、リョーマ…っ」
煽られたように再び手塚の激しい突き上げが始まる。
「っ!…っく、あっ、…っ!」
先ほどまでの猛攻よりもさらに滅茶苦茶に抉り回され、リョーマは喘ぎ声すら上げられずに目を見開いて身体を硬直させた。
「リョーマっ」
手塚がリョーマの腰をがっちり抱え込み、根本まで突き刺した肉剣でさらに深くを抉る。
「うあ……ひぁっ!」
激しく揺さぶられながらリョーマはきつく目を閉じた。
体内を抉る熱い塊に、耳にかかる荒い息づかいに、そして自分を抱き締める力強い腕に、手塚の激しい想いを感じてリョーマに歓喜の想いが湧き起こる。
次第に薄れてゆく思考の中で、リョーマは先ほど雨の中で一瞬胸をよぎった焦燥感という名の不安が癒されていくのを感じた。
「くに、みつ…っ、くにみ…つっ、ああっ!」
リョーマの腸壁が絶頂を求めてきつく収縮する。
「リョーマっ!…っく」
手塚が息を詰め、リョーマの奥深くで身体を震わせる。
絡みつく襞をかき分け何度も突き入れてはそのたびに思い切り力んで、熱い体液をリョーマの直腸へと大量に注ぎ込んだ。
ほぼ同時に、何度も捩り込まれる手塚の熱塊に押し出されるように、リョーマの熱塊からも勢いよく激情が吐き出された。
「んっ」
残りを絞り出すように手塚がリョーマをしごいてやると、二度目の割には濃くねっとりとした体液が糸を引きながら足下に落ちていった。
「…自分では出していなかったのか?」
名残惜しげにリョーマを緩くしごきながら手塚が荒い息のまま耳元に囁く。
「…………」
答えずにリョーマは手塚に寄りかかる。
「…アンタはするの?」
手塚は目を細めるとリョーマの顔を上向かせて深く口づける。
「…しておかないと…おまえに逢ったその場で押し倒すことになりかねないからな」
「…アンタ……ケダモノ?」
リョーマが呆れたように笑いながら言うと、手塚は「今頃気づいたのか?」とやわらかく微笑んだ。