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  先ほどまでの口づけとは比にならない激しさでリョーマの唇が貪られる。 
      「リョ……マっ」 
      「あ、んんっ、……んっ」 
      吐息混じりに何度もリョーマの名を囁きながら、手塚はリョーマの甘い唇を飽くことなく求め続ける。 
      自分の名を呼ぶ手塚の声があまりに切なくて、リョーマの瞳に涙が滲んできた。 
      「…んっ」 
      手塚の手がリョーマのTシャツの中に滑り込む。すうっと脇腹を撫で上げ、指先が小さな突起を求めて肌の上を滑る。 
      「あ……くに…っ…んっ」 
      すでに堅くなった小さな蕾を手塚に摘み上げられ、リョーマの身体がピクッと痙攣する。 
      「…」 
      手塚はふいに身体を起こすと、リョーマの服を脱がし始めた。 
      「くにみつ…っ」 
      「見せてくれ……全部…」 
      手塚はリョーマの服を全て脱がし終わると、何も言わずじっと、その華奢な身体を見下ろした。 
      「…綺麗だ…とか、言わないよね」 
      「ばか」 
      頬を染めて軽く睨んでくるリョーマに、手塚は柔らかく微笑んで見せた。 
      「アンタは全部脱がないの?」 
      「…そうだな」 
      ゆっくりとした仕草で手塚も全てを脱ぎ落とすと、リョーマの上に身体を重ねてゆく。 
      「怖いのか?震えている…」 
      「わかんない……勝手に身体が……」 
      「『お前』は『初めて』だからな…本当にいいのか?」 
      リョーマは答えずに手塚を真っ直ぐ見つめた。見つめ返してくる手塚の瞳の中に、普段には見られない情欲の炎を見つけ、リョーマの鼓動がドキリと音を立てる。 
      「ヤダって言ったら……アンタ、やめられるの?」 
      手塚は目を見開くと、困ったように小さく苦笑する。 
      「無理かもしれないな…」 
      リョーマはくすっと笑いながら手塚の背に腕を回し、自分の方へ引き寄せる。 
      「いいよ……アンタなら…何をされたっていいんだ…」 
      吐息とともに耳元で囁かれ、手塚の理性が一気に吹き飛んだ。 
      「リョーマ…」 
      「くにみつ…好…っ………んんっ」 
      手塚が噛みつくような勢いでリョーマに口づける。 
      深く深く舌を絡ませ合い、呼吸も忘れて二人は互いの甘い唇を貪った。 
      手塚の長い指がリョーマの髪を掻き撫でる。 
      リョーマの腕がしっかりと手塚を抱きしめる。 
      「ああ…」 
      「は、あ……」 
      僅かに離れた唇の隙間から、二人は共に喘ぐように呼吸をする。 
      口づけだけで乱れてしまった息を整えようともせず、二人はまた強く互いを抱き締めあう。 
      手塚はもう一度リョーマに深く口づけてから、唇を首筋にずらしていった。湿り気を残すリョーマの髪を掻き上げ、そこにきつく跡を残す。 
      「あっ」 
      軽い痛みにリョーマが肩をすくませるが、手塚は構わずそのまま唇を胸の突起へと滑らせてゆく。同時に右手をリョーマの中心へと伸ばすと、驚いたようにリョーマの身体が揺れた。 
      「やっ」 
      手塚は左手でがっちりリョーマの身体を押さえつけ、胸の突起をきつく吸い上げながら右手を緩く動かした。 
      「あっ、や…だぁっ……」 
      急激に与えられ始めた快感を受け止めきれず、身体をくねらせてリョーマが手塚から逃れようとする。 
      「逃がさない…」 
      熱くそう囁きながら、再び手塚がリョーマに口づける。手塚の右手がリョーマの先端を攻め続けると、逃げようとしていたリョーマの腰がそれまでとは違う揺らめきを始める。 
      「ああ……ん」 
      「……気持ちいいのか?」 
      「うん……すごい……あ…んんっ」 
      右手の動きを止めずに手塚は身体をゆっくり起こすと、そのままリョーマの中心へと顔を埋めた。 
      「え…あっ……あ、ん!」 
      立ち上がりかけている自分の中心が生暖かな感触に包まれ、リョーマは驚いて身体を起こそうとする。 
      「なに……して…あっ……」 
      手塚にきつく吸い上げられ、リョーマが再びベッドに倒れ込んだ。 
      「あ…あっ、そんなの…したら…っ」 
      リョーマがきつく目を閉じて仰け反ったまま首を左右に振る。そんなリョーマの仕草をちらっと見やってから、手塚はさらにリョーマを煽り立ててゆく。 
      「ああっ……くにみつ……い…っ」 
      先端をすっぽりと口内に包まれ、脈打ち始めた幹を力強く扱かれると、あっという間にリョーマは昇りつめた。 
      「あっく……は、ああっ」 
      吐き出されたリョーマの愛液を全て飲み下してから、手塚は衰えてしまったリョーマに再び舌を這わせ始める。 
      目を閉じて息を整えようとしていたリョーマが、ハッとしたように手塚を見た。 
      「ちょっ、待って…あっ…やっ」 
      もう一度情欲の炎を灯そうとするかのような手塚の舌の動きに、リョーマは慌てて手塚を引き離そうとする。 
      「つっ…」 
      手塚が微かに顔を顰めた。リョーマが手塚の左肩に置いた自分の手を急いで引っ込める。 
      「あ…ごめ……ごめん、くにみつ」 
      手塚は軽く溜息を吐いてから身体を起こし、左腕をゆっくりと回してみる。 
      「すまない、大丈夫だ」 
      「ごめん……」 
      「謝るな…俺が欲張りすぎた」 
      ゆっくりと身体を倒して手塚がそっとリョーマに口づける。 
      「続けていいか?」 
      「……ん」 
      大人しくなってしまったリョーマに小さく苦笑しながら、手塚はもう一度初めからやり直すかのように、リョーマの身体の全てに丁寧に口づけてゆく。 
      「あ……んっ」 
      「リョーマ…愛している…」 
      きつく閉じられていたリョーマの瞳が、ゆっくりと開いた。 
      自分の胸や腹に口づけては紅く跡を残していく手塚の髪を、そっと優しく梳いた。 
      手塚が何も言わずにリョーマを見上げる。 
      「……くにみつ……」 
      「…ん?」 
      「ごめん、…いいよ、アンタの好きなようにして……さっきはちょっとビックリしただけだから」 
      頬を染めて呟くようにそう言ったリョーマに、手塚は一瞬きょとんとしてからふっと柔らかな微笑みを浮かべた。 
      「もう好きにしているぞ」 
      「でも……」 
      リョーマは手塚の腰のあたりに視線を向ける。身体を密着させると手塚の肉剣が熱く脈打っているのが感じ取れるのだ。 
      「ねえ、……『オレ』はもう、アンタと最後までしたことあるんだよね…?」 
      「ああ」 
      返事をしながら手塚はリョーマに軽く口づける。 
      「…じゃあ、もう……欲しい?」 
      「………」 
      間近で手塚に見つめられて、リョーマがさらに頬を赤くして俯く。 
      「…ああ……お前が欲しい……すぐにでもお前の中に入って熱を共有したい……」 
      熱っぽく囁かれて、リョーマの中心にも一気に熱が集まってゆく。 
      「…オレも…アンタが欲しいみたい……さっきから…ドキドキして…なんかがムズムズしてる感じ…」 
      「……いいのか?」 
      リョーマはちらっと手塚を見ると口をへの字に曲げた。 
      「モタモタしてると、アンタを蹴っ飛ばして逃げるよ?」 
      手塚は一瞬目を見開いてからクスッと笑った。 
      「それは困るな」 
      「あっ…」 
      手塚の指先がリョーマの秘蕾に触れる。途端にリョーマの身体に緊張が走った。 
      「大丈夫だ…お前を傷つけるようなことはしない。怖がらないでくれ…」 
      「……」 
      「俺を信じろ」 
      リョーマは小さく目を見開いた。優しく微笑みかけてくれる手塚の瞳を真っ直ぐに見つめて、表情を和らげる。 
      「うん」 
      「愛している…リョーマ」 
      深く舌を絡ませてくる手塚の背中に、リョーマはそっと腕を回した。
 
  「あ…の、ちょっ……っあ」 
      俯せにされ、腰を高く上げさせられてリョーマは耳まで真っ赤になった。おまけに自分でも滅多に触れることのない場所に湿った感触を覚え、狼狽えてしまう。 
      「なに…してんの…っ」 
      答えずに手塚はリョーマの硬い秘蕾に舌を這わせ続ける。 
      力強い手で双丘を割られ、その谷間に隠されていた堅い蕾に手塚の舌が入り込む。 
      「や、だっ…あ…っ……汚い…」 
      リョーマの抗議には構わず、手塚はその襞の一本一本を広げるように丁寧に舐め上げてから尖らせた舌先をグッと押し込む。 
      「あっ…は……んん……っ」 
      リョーマが甘えたような甘い吐息を漏らした。手塚が伸び上がってリョーマの背後からその熱い頬に口づける。 
      「…も……アンタ……ヤラシイ……」 
      「…お前がそんなそそる顔をするからだろう」 
      少し意地悪くそう言いながら、手塚の指がリョーマの蕾の入り口を押し回すように刺激する。 
      「あ……ああ、んっ……なんか、それ……や、あっ」 
      リョーマの表情を覗き込みながら、手塚がゆっくりと指先を蕾の中へ押し込め始める。 
      「あ…あ…や…っ、へんっ」 
      「まだキツイな…」 
      半分ほどを飲み込ませていた中指を引き抜くと、手塚は手を伸ばしてベッドサイドの引き出しからクリームを取り出す。 
      「なに…?」 
      「ハンドクリームだ」 
      その用途に気づいたリョーマが絶句してシーツに顔を埋める。 
      手塚は前にもリョーマと同じようなやりとりをしたことを思い出し、内心笑みを漏らした。 
      (複雑だな…) 
      記憶をなくしてしまったリョーマには申し訳ないが、リョーマの『初めて』を二度も手に入れることができることを、手塚はほんの少し嬉しく思う。 
      手塚はいつものようにそのままチューブを差し込もうとして思い直し、少量を出して指にとると、リョーマの蕾に塗り込める。 
      「…ぃ、やっ!」 
      するりと根本まで入り込んだ指を、リョーマの内壁がきつく絞り上げる。指を真っ直ぐ伸ばしたまま何度か出し入れすると、指の動きに会わせてリョーマの内壁も収縮と弛緩を繰り返し始めた。 
      「やだやだっ……なんかへんっ!」 
      シーツを握りしめてきつく目を閉じているリョーマの表情に、艶が混じり始めるのを手塚は見逃さない。 
      「ここはもっと変、か?」 
      言いながら、手塚の長い指がリョーマのスイートスポットを引っ掻く。 
      「ひゃっ!?」 
      雷に打たれたようにリョーマの身体が大きく痙攣する。 
      「やっ、あっ、やだ……ぁっ」 
      その一点だけをグリグリと強く刺激され、リョーマは目を見開いたままビクビクと痙攣し続ける。 
      手塚は目を細めてその様子を見ながら指を増やしてゆく。 
      「あっ、あっ、やっんんっ、も…やだっ!」 
      強すぎる刺激に、リョーマが涙を滲ませてシーツを握りしめる。手塚はゆっくりと指を引き抜いた。 
      「もう嫌か?」 
      「………っ」 
      手塚の問いかけにリョーマがキッと背後の手塚を睨んだ。 
      「性格悪い」 
      「…そうらしいな…お前によく言われる」 
      「でも好き」 
      潤んだきつい瞳で見上げてくるリョーマに、手塚は苦しいほどの愛しさを感じて口づける。 
      「ああ、知っている…」 
      「くにみ…っ…あ……」 
      弛み始めたリョーマの蕾に、手塚がチューブを深く差し込んでクリームを奥の方へ絞り出す。 
      「ん………」 
      眉を寄せて湧き上がる異物感に耐えるリョーマの耳元に、チューブを投げ捨てた手塚が唇を寄せる。 
      「そろそろ俺も限界だ……入っていいか…?」 
      手塚の言葉にうっすらと目を開けたリョーマは、再び目を閉じながら小さく頷いた。 
      「リョーマ……」 
      「ん……あっ!」 
      硬く、熱く、太い手塚の肉剣がリョーマの秘蕾に先端をめり込ませてくる。 
      「やっ……あっ」 
      手塚は自分のモノに手を添えてゆっくりと回しながらリョーマの熱い蕾を徐々に押し広げてゆく。 
      「あ……やっ…待って…!」 
      「すまない、これ以上待てない」 
      「ひ……っ」 
      先端部分が入り込んだところで一旦動きを止め、手塚はリョーマの双丘に手をかけて左右に押し開き、脈打つ肉剣をそのままグッと根本まで一気に捩り込んだ。 
      「うあっ!」 
      いきなり巨大な異物を押し込まれ、リョーマの身体が硬直する。締め付けられた手塚もきつく眉を寄せて、痛みに似たその感触に耐える。 
      「息を吐け、リョーマ」 
      「やっ……できな……」 
      身体を硬直させたままリョーマが首を左右に振り散らす。 
      きつい締め付けに顔を顰めながら、手塚が後ろからリョーマの中心に手を伸ばし、袋のあたりから先端まで優しく撫で上げる。 
      「あ……」 
      優しく、柔らかく、何度か撫でてやるとリョーマの唇から甘い吐息が漏れた。それと同時にほんの少しずつ、リョーマの身体の強ばりが解け出す。 
      「…痛みは……ないか?」 
      すぐにも突き上げたい衝動を堪えながら手塚がリョーマの耳元に囁くと、頬を真っ赤に紅潮させたリョーマが小さく頷いた。 
      手塚はリョーマのこめかみのあたりに優しく口づけ、ゆっくりとした動きで自身を引き出してゆく。 
      「あ……あ」 
      先端まで引き出してから、もう一度深く、引き出された時と同じくらいの早さで熱塊を埋め込む。奥まで捩じ込んだところで一度動きを止め、手塚は深く息を吐いた。震えるリョーマの胸に後ろから手を回し、優しく撫でさする。 
      「は……あ……くに……つ…っん!」 
      手塚が柔らかく胸の突起を摘み上げると、リョーマの内壁がキュッと締まって反応した。 
      「リョーマ……」 
      手塚が熱い吐息を漏らし、もう一度自身を引き出してはまた埋める。リョーマの表情を見ながらだんだんとその動きを早めてゆく手塚の腕に、リョーマは自分の手を添えた。自分の腰を掴む、その腕の硬い筋肉の感触が手塚の余裕のなさを伝えてくるようで、リョーマはほんの少し残っている理性で微かに微笑んだ。 
      だが次第に力強く奥を抉り始める手塚の動きに、リョーマの思考は形を成さなくなってゆく。 
      「あっ、ああっ、あ、はぁっ、んんっ」 
      濃厚な粘着音をさせて手塚の肉剣が突き込まれるたび、リョーマの口からは甘い喘ぎ声が漏れ出した。 
      「リョーマ…いい、のか?」 
      「んっ、いい、……すご……き…ち、いいっ……ああ、んっ!」 
      片足を高く掲げられ、後ろから深く抉られながら、リョーマはシーツを引き寄せてきつく握りしめた。 
      「はぅ、ああ……っ!」 
      「くっ……」 
      ガツガツと腰をぶつけられ、大きく回すように突き込まれて、リョーマは叫びそうになる自分の口をシーツに押しつけて声を殺した。 
      「リョーマっ…うっ、く…っ…」 
      きつい締め付けにすぐにも達してしまいそうになるのを必死で堪えながら、手塚はリョーマの熱い密壺を抉り続ける。 
      「んんっ、んっ、ふっ、うっん!」 
      リョーマはシーツを口に銜えて、何とか叫び出すのを堪えていた。手塚が腰の動きを緩めてリョーマを覗き込む。 
      「…つらいか?」 
      リョーマはシーツを銜えたまま首を横に振った。 
      手塚はふぅっと息を吐くと、一旦リョーマから完全に自分を引き抜いた。 
      「ああ、んっ」 
      敏感になっているリョーマには熱塊を引き抜かれる衝撃すら快感になるらしく、一瞬、口からシーツを外して甘く喘いでしまう。 
      「リョーマ」 
      肩で息をしているリョーマの身体を、手塚は優しく仰向けにさせる。なすがままに身体を開きながら、リョーマはそっと目を開けて手塚を見た。 
      「あ……」 
      自分を見下ろす手塚の瞳に雄の輝きが宿っている。その瞳に射抜かれたように、リョーマは瞬きもできずにただ手塚を見つめた。 
      そんなリョーマに小さく笑いかけると、手塚はリョーマの引き締まった足を抱え上げ、しっとりと濡れた秘蕾に自身をあてがう。 
      「……っひ…っ!」 
      リョーマの形のよい眉がきつく寄せられる。リョーマの中を擦り上げ、大きさを増していた手塚の熱塊が、先ほどよりも抵抗を受けながら再び狭い入り口をこじ開けて捩り込まれる。 
      「う…あ、ああ……っ」 
      その大きさだけでなく、向かい合っての挿入は背後から入れられるよりも圧迫感を感じ、リョーマは息を詰めて手塚を受け入れる衝撃に耐える。 
      「く……っ、もう少しだ……っ、奥まで…っ」 
      「うっく…んんっ」 
      きつく目を閉じた瞬間、リョーマの目から涙が零れ落ちる。それを見た手塚が動きを止めた。 
      「…すまない……つらいのか?」 
      「…っ」 
      リョーマはきつく目を閉じたまま必死に首を横に振る。 
      「…強引すぎたな……すまない……気が急いているらしい…」 
      優しく頭を撫でられて、リョーマがゆっくりと目を開ける。途端にまた一筋涙がリョーマのこめかみを伝い落ちた。 
      「違う……嬉しいんだ……アンタを独り占めできて…」 
      「リョーマ…」 
      「大丈夫……気持ちいいよ…アンタの熱…」 
      手塚は目を細めると、優しくリョーマの髪を梳いて深く口づける。リョーマも手塚の首に腕を回して手塚の甘い舌に自分から応えてゆく。 
      口づけながら手塚がゆっくり身体を進め、根本まで納めるとそっと唇を離して甘い吐息を漏らした。 
      「アンタも……気持ち……いい…?」 
      涙をいっぱいに溜めた瞳で、リョーマは手塚を見つめる。 
      「ああ……」 
      手塚は優しくリョーマの額に口づけてから、その耳元で囁いた。 
      「このまま…朝まで繋がっていたいほどだ…」 
      「えっち」 
      リョーマが涙を零しながらクスッと笑う。零れ落ちた雫を唇ですくい、手塚はゆっくりと腰を動かし始める。 
      「本当のことだ……このまま……ずっとこうしていたい……時を止められるなら……」 
      (離したくない…このままお前をどこかへ連れ去りたい……) 
      激しく突き上げながら深く舌を絡ませてくる手塚に、リョーマの胸は切なさでいっぱいになった。 
      「くにみつ…っ…ああっ…あっ…好き…っ」 
      「リョーマ…っ」 
      リョーマの脚が手塚の腰にしっかりと巻き付けられる。 
      「あっ、んっ、んんっ、くっ!」 
      手塚が激しく腰を打ち付けるたびにリョーマの身体が弾む。気の遠くなるような強すぎる快感を、リョーマは歯を食いしばって受け入れる。 
      「ああっ!……あっ…くに…っ、み……ひぁっ!」 
      時折手塚がスピードを緩め、体重をかけて奥の奥を抉り込んでくると、堪えきれずにリョーマの唇から甘い嬌声が上がった。 
      「ん…リョ…マ…っ、リョーマっ」 
      切なくリョーマの名を呼びながら手塚は奥深く自身を捩り込み、さらにそのまま華奢な身体を強く抱き締めてリョーマの腸壁に自身を食い込ませる。 
      「は、ああっ、…く……みつ…っ、もっと……もっとっ!」 
      手塚は身体を起こして自分の腰に巻き付いているリョーマの脚を外して両肩に担ぎ直し、体重をかけて勢いよく腰を叩きつけ始める。そのひと突きごとに内蔵までも強く押し上げられ、リョーマは手塚から与えられる強烈な圧迫感に眩暈すら感じた。 
      「あ……くっ、リョーマ……っ」 
      手塚が荒い息に混じって艶のある呻きを漏らし始める。シーツを握りしめるリョーマの指先も白く血の気を失うほどになって限界が近いことを告げていた。 
      「あっ、んんっ、んんっ、深……っ」 
      抽挿のピッチが上がり、手塚がリョーマの腰を掴んで奥を穿ちながら思い切り自分に引き寄せる。信じられないほど奥まで手塚が捩り込まれ、リョーマは目を見開いたまま声にならない叫びを上げた。 
      「リョー…マ…いくぞ…っ…ああっ、くっ!」 
      「ひ、あっ、やああぁっ!」 
      リョーマの身体がずり上がるほど深く、大きく、数回腰を打ち付け、手塚が息を詰めて身体を硬直させる。 
      「くっ、うっ、あ…っ!」 
      「あっああっ!う…あっ!くに、み…っ!」 
      手塚の大きな熱塊に思い切り突き込まれたリョーマは、その衝撃に熱い精を吹き上げてしまった。 
      リョーマの尻朶に深く腰骨をめり込ませながら深いところで留まっていた手塚も、熱く絞り上げてくるリョーマの直腸の最奥めがけて、大量に精を注ぎ込む。 
      手塚の熱い迸りを身体の奥に感じながら身体を震わせて精を吐き出し続けるリョーマの中へ、手塚もさらに奥へと腰を打ち込みながら全てを吐き出し終えた。 
      詰めていた息を深く吐いてから、手塚はその余韻を味わうように、リョーマへ熱っぽく口づける。 
      「ん……」 
      「リョーマ…」 
      唇を離して優しく名を囁き、グッタリと手足を投げ出して肩で息をしているリョーマの頬や髪に、手塚は優しく触れた。 
      「大丈夫か?」 
      答えずに、リョーマはうっすらと目を開ける。 
      「……平気じゃ…ないけど…、まだ大丈夫…」 
      手塚は小さく目を見開いた。硬さを保ったままリョーマの奥深くに埋め込まれている雄が、ドクッと脈打って再び目覚め始める。 
      「俺を甘やかすと、あとで後悔するかもしれんぞ?」 
      互いの唇が触れるほど間近で甘く囁いてくる手塚の背に、そっと、リョーマの腕が回される。汗ばんだ手塚の肌が、リョーマの官能を激しく刺激した。 
      「後悔なんかしない……そんなのするくらいなら…はじめからアンタなんか好きになったりしない」 
      「リョーマ……」 
      ギュッとしがみついてくるリョーマを、手塚も強く抱き締め返す。 
      「……朝まで……付き合え」 
      「……いいっスよ」 
      リョーマがクスッと笑った。 
      艶やかで濃い水音をさせながら手塚が肉剣を出し入れすると、リョーマの中へ大量に注ぎ込まれた手塚の体液が派手な音を立てて溢れ出し、シーツへと零れ落ちた。 
      「あ…んっ、……いい……くにみつ…んっ!…ああ」 
      強く抱き締められたまま密着した腰を緩く回されてリョーマが喘ぐ。 
      「リョーマ…」 
      名を呼んで、手塚がリョーマに口づける。 
      「リョーマ…」 
      もう一度名を呼んで、手塚がリョーマの頭を優しく撫でる。 
      「………リョーマ…」 
      あまりの愛しさに名を呼ぶことしかできず、手塚は眉を寄せた。動きを止めて、リョーマの身体をしっかりと抱き締める。 
      強く強く抱き締めてくる手塚の背中を、リョーマは優しく撫でた。
 
 
 
 
 
  
      
       
 
  
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