口づけながら、リョーマが手塚の膝の上に乗ってくる。
正面から抱き合うようにして、二人は互いの身体を強く強く抱き締めあう。
手塚がリョーマのうなじから背中へと指を滑らせると、リョーマは挑発するように腰を揺らし、自身の熱塊を手塚のそれに擦りつけてきた。
急速に形を変えてゆく手塚の雄に手を伸ばし、リョーマは先ほどのように自分のものと一緒に両手で握り込んで上下に擦り始めた。
「…っ、リョー…マ…」
「…っぁ、くにみつ…っ」
呼吸を荒くしながら、リョーマが手塚を熱っぽく見つめる。
手塚はリョーマの瞳を受け止めながら、長い指をリョーマの秘蕾に潜り込ませた。
「っ、あぁ…」
指の付け根ギリギリまで差し込んで内部をゆっくり掻き回してやると、リョーマの腸壁が手塚の指を締め付ける。
唇を震わせ、目をきつく閉じて喘ぐように呼吸し始めたリョーマの表情を、手塚が愛撫の手を止めて食い入るように見つめる。堪らなくなったリョーマは自分から手塚に口づけてきた。
「くにみつ…もう…」
唇を掠めて小さな声で言うリョーマに、手塚は啄むように口づける。
「…いいのか?」
「うん…いいよ」
言いながら、リョーマが手塚の首に腕を回して身体を密着させる。触れ合った肌に、早鐘のような互いの鼓動が伝わってきた。
「すっごい…ドキドキしてるね…」
「ああ…お前と同じだ…」
リョーマは微笑んでから静かに身体を浮かせ、手塚の熱塊を自分の秘蕾に導いた。
「…リョーマ…声を、殺せるか?」
「わかんない…でも、アンタが欲しいから…っ…あっ」
手塚の先端がリョーマの小さな蕾をこじ開けてめり込む。
「あ……あっ、んんっ」
両手で口を押さえながら、リョーマが手塚の方へ倒れ込んでくる。
手塚はリョーマの双丘を鷲掴みにしてゆっくりと上下に動かしながら徐々に自身をリョーマの奥へと飲み込ませていった。
「…大丈夫か?」
すべてをリョーマの中に収め、甘い吐息混じりに手塚が尋ねると、リョーマが口を押さえていた両手を外して手塚の首に回した。
「今のとこね…」
小さく笑いながら、リョーマが手塚の頬に掠め盗るようなキスをする。
手塚はリョーマの身体を少しだけ離して、上気した柔らかな頬を両手で優しく包み、そっと口づけた。途端にリョーマの内壁がじわりと手塚にまとわりつく。
甘い唇を愛しげに味わってからゆっくりと唇を離し、潤んだ瞳で見つめてくるリョーマに手塚がほんのりと微笑みかける。嬉しそうに微笑み返してくるリョーマに引き寄せられるようにもう一度唇を寄せると、手塚は紅く濡れたリョーマの下唇に柔らかく歯を立ててから同じ場所を舌先でなぞった。
「……ぁ……っ」
リョーマの内壁がきつく収縮して手塚を締め上げる。
「……っ」
痛いくらいの心地よさに、手塚は低く呻いてリョーマを抱き締めた。
「あっ……ん…っ」
抱き締められて、手塚がさらに奥まで捩り込まれ、リョーマがきつく眉を寄せる。
「リョーマ…好きだ…」
「あ…っ、やっ」
手塚がリョーマの腰を掴んでゆっくりと前後に動かすと、リョーマは唇を震わせながら声を漏らさないように手塚の肩口に顔を埋めた。
「……ああ…」
目を閉じて、手塚が感じ入ったような声を漏らす。リョーマは手塚の表情が見たくなって、そっと身体を離した。
「…ん…」
手塚の意のままに身体を揺すられながら、リョーマは艶めいた吐息を零す手塚の表情に見入った。
(気持ち良さそう……)
普段は眼鏡に隠されてわからないが、手塚の瞳を縁取る睫毛は程良い長さをしていて、目を閉じると見つめられた時とは違う男らしささえ感じさせられてリョーマはドキリとする。
いつもはその意志の強さを表すかのごとくあまり動くことのない眉も、今は微かに寄せられていて、ほのかな色香を漂わせていた。
リョーマは心の奥が熱くなる衝動を覚えた。
(もっと……)
どうしようもないほど手塚への愛しさが溢れ出し、リョーマは無意識のうちに腰を動かし始めていた。
「う…んっ…は、ぁ…っ」
「リョーマ?…っ、あ、くっ…」
手塚の肩に手をかけて身体を支え、もっともっと快感を与えてやりたくて、リョーマは唇を噛み締めながら懸命に身体を揺らす。漏れ出てしまいそうになる喘ぎを必死に堪えて自分の体内へ熱い欲望を深く飲み込み、外れそうなほど先端まできつく扱くようにして引き出してやった。
浴槽の縁まである湯が、リョーマの動きに合わせて揺らめき、溢れ出してゆく。
「く、うっ、……リョーマ…っ、ああ…っ…」
呼吸を荒くして微かに喘ぐ手塚を見つめたまま、リョーマは腰を動かし続ける。
だがリョーマは、次第に自分の身体が、自分自身の快感の場所を探し始めていることに気がついた。
「ああっ!」
微妙に角度をつけて手塚を飲み込んだ際にスイートスポットが強く刺激され、リョーマは堪えきれずに大きく喘いで身体を震わせた。
手塚がうっすらと目を開ける。
「…そこがいいのか?」
「ん……いいっ…」
もう一度その角度で手塚を飲み込んだが、うまく当たらなくて、リョーマは焦れたように手塚を深く含んだまま腰を左右に揺らめかしてみた。
「あっ、……くにみつっ」
「く……っ」
手塚がリョーマの腰に手を添え強く引き寄せた。
「やっ!」
リョーマの身体が跳ね上がる。だが離れそうになった腰を身体ごと引き寄せられて、再び手塚の肉剣が深く抉り込んできた。
「ひ…っ」
「ここだな…?」
狙いを定めたように手塚がスイートスポットを突き上げ始める。
「あッ、くっ、ダメ……っ…」
急速に、リョーマの雄が熱く変化を遂げてゆく。
突き上げられるたび身体を痙攣させながら、リョーマはどうにかして声を漏らさないようにと手塚に縋りついた。
「ん…っ、…ん、くっ、……う…っ」
正確に同じ場所を何度も何度も突き上げられ、突き上げられたまま奥を抉り回されて、リョーマは声を出さずに喘ぎ続ける。
浴槽の中で激しく波打つ湯が小刻みな動きに変わってゆくと、リョーマはきつく目を閉じ、唇を噛み締めて大きく仰け反った。
手塚が、仰け反るリョーマの腰を抱き込むようにして思い切り自身を捩り込み、抉り回す。
「いっ………っく!」
ガツンガツンと、音がしそうなほど激しく肉剣が打ち込まれ、リョーマはとうとう堪えきれずに激情を噴き上げた。
「ぁっ、……ぁは、う、んっ!」
射精中も深く突き込まれてリョーマは歯を食いしばりながら身体を震わせる。
「んんっ、んっ……」
リョーマの痙攣が治まると、リョーマの腰を抱え込んだまま手塚が噛みつくようなキスをしてきた。
手塚の唇を受け止めながら、自分の中で未だに脈打つ熱を感じて、リョーマは目を開ける。
「…くにみつ……っ?」
覗き込んだ手塚の瞳の奥に、未だに揺らめく危険な炎を見た気がして、リョーマの鼓動がドキリと大きく鳴った。
「…お前を溶かしてやると言ったろう?…何度でも達っていいぞ…」
「…っ」
もう一度深く口づけられ、唇を掠めながら吐息のような声で囁かれてリョーマの心と身体が快感に震える。
しかし、リョーマはクスッと笑うと挑発するような瞳で手塚の瞳を覗き込んだ。
「…そうはいかないっスよ。アンタも同じだけオレの中で達かせてやる」
「…やってみろ」
言いながら手塚の瞳に獰猛な肉食獣の光が宿る。
「…アンタの目……見てるとゾクゾクする…」
「それは俺の台詞だ…」
耳元に「堪らない」と熱っぽく囁いて深く抱き締めてくる手塚をリョーマはうっとりと目を閉じて抱き締め返す。
「あ、ん…っ」
手塚に腰を掴まれて緩く回され、リョーマが小さく喘ぐ。
「ん、く…っ」
お返しとばかりにリョーマにきつく締め上げられ、手塚が低く呻いた。
互いの肌を愛しげに撫でながら、もう何度目になるかわからない口づけを交わす。
「くにみつ…」
「…ん?」
離れそうになる唇を追いかけながら、リョーマが手塚を呼ぶ。
「本当は…一緒がいい……」
「……」
潤んだ揺れる瞳に間近で見つめられ、手塚は息苦しいほどのリョーマへの愛しさを感じて目を細めた。
「…オレだけいくのは…ヤダ…」
「……そうだな…」
手塚は目を閉じてリョーマの身体をきつく抱き締めると甘い吐息を漏らした。
固定させるようにリョーマの腰をしっかり掴み、浴槽に背を預けて熱い肉剣でリョーマの内部を掻き回し始める。
「んんっ、んっ、や…っ」
耳元でリョーマに小さく喘がれて、手塚は今度こそ堪えることなく理性を手放した。
「あっ!ひっ!」
湯が、大きく揺らめいて波打ち始める。
手塚が更に質量を増し始めた熱塊を数回出し入れし、奥深くに突き刺したまま力ずくで左右に大きく振ってやると、リョーマは驚いたように目を見開いて身体を硬直させる。
「…っぁ、……ひっあっ、ぁっ」
激しく揺すられて喘ぎ声すら発っすることもできずにリョーマが手塚にしがみつく。
ガッチリと固定したリョーマの腰を容赦なく突き上げ、抉り回しながら、手塚は時折熱い吐息を漏らす。
動きを緩めて手塚がリョーマに口づけると、リョーマはホッとしたように硬直した身体を緩めた。
手塚は自分の首に絡みつくリョーマの腕を優しく外して浴槽の縁に置く。
「…ぁ…くに…?……っ、あぁっ!?」
どうしたのかと手塚を見つめた途端、再び腰を強く掴まれて大きく突き上げられ、リョーマが堪えきれずに声を上げる。
少し反らされたリョーマの身体の奥へ捩り込まれる手塚の熱塊が、リョーマのスイートスポットを激しく突き上げてきた。
「や、ぁ、っああっ!や、だっ!」
リョーマの雄が急速に形を変えてゆく。強すぎる快感に、リョーマの瞳から涙が零れ落ちた。
「…つらいか?」
突き上げるのを少しだけ緩めて手塚が問う。
リョーマは微笑む余裕はなかったが、必死に首を横に振って手塚の問いを否定した。
手塚は目を細めると、再び激しく突き上げ始める。
リョーマは指が白くなるほど強く浴槽の縁を掴んで、何とか自分の身体を支えている。
突き上げられ、浮き上がる腰を更に持ち上げるように抉られて、リョーマは息を詰めた。
荒い呼吸の下で、手塚が低く呻き始める。
大きく揺すられながら、リョーマがうっすらと目を開けた。
「あ……っ、くっ」
「……っ、んっ」
互いにきつく眉を寄せ、身体の芯を突き抜けるような情欲に流されてしまわないように歯を食いしばって耐える。
リョーマが縋りつくような潤んだ瞳で手塚を見つめる。睨むように真っ直ぐ見つめ返してくる獰猛な手塚の瞳はリョーマのすべてを奪い尽くすまで離さないと語っているようだった。
「…も……ダメっ、く…みつ…っ」
「もう少し……っ」
リョーマは喘ぐような呼吸をしながらきつく目を閉じて首を横に振る。
「もう少しだ…、リョーマ…っ」
バシャバシャと撥ねる激しい水音と、二人分の荒い息づかいが浴室を満たす。
浴槽の縁を掴む指に感覚がなくなり、リョーマがこれ以上は堪えられないと感じたその瞬間、手塚のスピードが上がった。
「いくぞっ、リョーマ…っ!」
「くに、み…っあ!」
もの凄いスピードで一気に追い上げられ、リョーマが思い切り手塚を締め上げながらとうとう絶頂を迎える。
「あぁっ、あっ、…っ、……ぁあっ!!」
「リョ…、マ……っ!」
手塚は指の跡が残りそうなほどリョーマの腰をきつく掴んで力任せに引き寄せた。食いちぎられそうなほど締め付けてくるリョーマの内壁を強引に突き進み、これ以上はないという奥深くで思い切り力む。
「くっ!…っ!、あ…っ!」
感覚などないはずの直腸の壁に、手塚の放つ激情が何度も叩きつけられるのをリョーマは感じた。
リョーマが吐き出し続ける激情は、ちぎれるように分散して湯の中を舞う。
ほぼ同時にすべてを吐き出し終えた二人は、目を閉じたまま相手の身体を掻き抱き、強く抱き締める。そして荒い息のまま口づけ、喘ぎながら唇を離した。
「リョーマ……愛してる……」
リョーマはグッタリと身体を手塚に預けて大きく息を吸い込んで、吐き出した。
「あのさ、…アンタ、ちょっと、激しすぎ。死ぬかと、思った」
表情は見えないが、手塚が吐息混じりに苦笑するのがリョーマに伝わってくる。
「……でも、オレも、アンタを愛してる」
「……」
ちょっと間があってから、手塚の指が優しくリョーマの髪を梳いた。
「アンタにしか、こんなことさせない……」
「…当然だ。誰にも触らせない……お前は俺だけものだ」
先程までとはうってかわって柔らかく抱き締めてくる手塚の腕に、リョーマはそっと指を滑らせ、肩口に口づける。
「アンタはオレのだもんね…全部」
「ああ、全部、お前のものだ」
リョーマの濡れた髪に口づけながら手塚が囁く。
甘い溜息を吐いてから、リョーマが幸せそうに微笑んだ。