−ファイブスター物語について−

名作「ファイブスター物語」とその名エピソードを、ひのもとのつたない文で解説してしまうコーナー!!


<ファイブスター物語を知らない方へ・・・基本設定の解説>

電気騎士モーターヘッド(まーいわゆるロボットと思っていただいてOKでしょう)と、それに乗る騎士、 そして騎士をサポートする人工生命体、「ファティマ」の活躍を描いた、SFおとぎ話(?)それが「ファイブスター物語」です。

あの絵(「メガエラの思い出」)に描かれている女性、メガエラは「ファティマ」です。後ろの少女は、幼い頃の彼女。ファティマは成人するまでは普通の人間と同じように育てられます。
で、その後ろの、顔を描かなくていいように横顔でごまかした(笑)男性が、彼女のパートナーの騎士、ボード・ヴュラード。
ファティマはパートナーの騎士を「マスター」と呼びます。

月刊ニュータイプで連載している永野護のコミックです。


<「メガエラの思い出」の元になったエピソード>

ヴュラードの本名はミッション・ルースといい、トラン共和国の大統領なのです。が、ヴュラードという変名を使い、連邦公安騎士団にも所属している・・・という複雑な設定のヒト。パートナーのメガエラと共に、身分を隠し諸国を遍歴する・・・という、なんか水戸黄門みたいな彼は、物語の序盤から登場しているひとりですが、コミックス9巻収録のエピソードで初めて過去が明かされました!!その話を元に描いたのがあの絵です。

代々騎士が出る名家に生まれたミッションだが、生まれつきの騎士ではなかった。そんな彼に冷たい家と、貴族中心の社会を嫌った彼は、寄宿学校を出て公立校に入り、政治の道を志す(後に大統領になる!)。血が遅れて目覚め、騎士にもなったが、力は”最低ランク”で仕事は保安機関の雑務職程度。彼を恥じた母からはルース家の名を使うことも禁じられた。ミッションは騎士の時はボード・ヴュラードという名を使うことになる。ある日、ヴュラードは調査の仕事である屋敷を訪ねた。
庭先で主に待たされていた時、本を手に持った幼いファティマ(メガエラ)が彼の前に現れる。ヴュラードにいきなり「おでこちゃん」とからかわれ、飛び出してしまうメガエラ。工事中の建設現場に入ってしまい崩れた足場から転落しかけるが、追ってきたヴュラードに間一髪で助けられる。
ヴュラードは当然大目玉をくらい、屋敷への出入りも禁止される。メガエラは本を抱えながら泣きじゃくる。
「だって・・・騎士様がひとりでずうっとお待ちだったから、わたし、ご本を読んで差し上げようと思ったの。騎士様は悪くないんです・・・。」
それから15年後、国で「ファティマのおひろめ」(成人したファティマが「マスター」つまりパートナーの騎士を選ぶイベント。世界中から名のある騎士が集まってくる。まあお見合いみたいなもの)が行われる。仕事で来ていたヴュラードのもとに、おひろめが終わった後、一人のファティマがやってくる。集まった列強の騎士の誰もマスターに選ばなかったという、一流の設計者に作られた”最高ランク”の美しいファティマは、彼の前で前髪をかきあげる。
「覚えて・・・いらっしゃいますか?私・・・です・・・。」
おでこを見せながら、せつなさに涙をこぼすその彼女が、あの時の幼いファティマ、メガエラだと気付き仰天するヴュラード。
どうか自分のマスターに・・・と震える声で言うメガエラに、ヴュラードは戸惑いながらも答え、微笑む。
「苦労するぜ、おでこちゃん・・・。」
こうして2人は結ばれたのでした。めでたしめでたし♪


<「Once upon a time…」について>

さて、「Once upon a time…」と読み比べていかがだったでしょうか。意外と共通点がけっこうあり、驚きです。ヴュラード(マスター)が家族とうまくいかず家を出ていたり、諸国を遍歴をしていたりとか・・・。Sakuraちゃん、なんでわかったんだー!!とか思いましたよ(笑)。彼の性格はちょっと違いますが、でも、ヴュラードもいーかげんなように見えて実は大統領で人格者だし、陽気で軽そうに見えるが内には知性と優しさを秘めている・・・(と、思う!)。「Once…」の”マスター”は、ヴュラードのそんな隠された一面が出ているような気がしますねー。もちろん、「Once…」は元ネタを知らずに読んでも楽しめる作品だと思います。マスターの温かさと、メガエラの純粋さが伝わってくるようで、私はとても好きです♪


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