新木ファイターズ写真館 

2010年度の秋季大会の様子。
女の子エース開花までの道のり


 `10年9月12日から26日まで開催された第35回 我孫子市秋季大会の様子と、それまでの6年生たちの道のりを紹介します。


<いまいちやる気なしだった2010年度の6年生たち>

今年度(2010年度)の6年生たちはこれまでに出会った代々の子供たちとはちょっと違った今まで見たこともないような子供たちでした。何が違うのかというと、ファイターズには毎週来るので野球が好きかと思いきや、野球に対するやる気がいまいち無い。とりあえず毎回休まずに来ることは来るのだが、友達と会って楽しくふざけっこをしに来てるようで、せっかく来てるんだから野球をうまくなろうという向上心のある子は非常に少ない。だからこれまでの学年と違い怒る回数が圧倒的に多い。だから私は彼らに 「おめえら、ふざけっこしてんならわざわざファイターズ来ねえで、おうち帰ってその辺で好きなだけ遊んどけ!ファイターズ来てふざけてても俺に怒鳴られおもしろくねえだけだろ!ファイターズ来ねえでその辺で遊んどきゃあ誰にも怒鳴られないで好きなだけ遊んでふざけらるぞ!!」 とよく怒ったものだ。私が彼らを指導してた時にあまりにもふざけてるからよく怒鳴ったし、とくにふざけてる子は練習をやめさせてずっと立たせていたこともある。そんなんだから、人数だけは揃っているのだが、いくら一生懸命指導しても のれんに腕押し、馬耳東風で当然なかなか上達しない、あとから入団した下の学年の子に何人も追い抜かされる、それは才能の差なんかではもちろんなく、明らかに野球に対して取り組む姿勢の問題。4年の初め頃のチーム結成時からこれまでほとんど勝てずに負けてばかりいたのが今の2010年度の6年生たちでした。


<藤原監督の エースみくの育成>

【1】5年の時に女の子ピッチャーみく誕生

 そんな学年のピッチャー、エースはなんと女の子の 佐藤みく でした。確か5年の頃から監督に言われてピッチャーをやり始めました。今までの女の子はどちらかと言うと男勝りで元気があり、さっぱりしてる子たちだったけど、みくはいかにも女の子でありときたま扱いが難しいときもある。運動能力はずば抜けてるのだが人前で目立つのは嫌いらしい。だからベースランニングのタイム測定とかスポーツテストの5分間走とか立ち幅跳びとか、みんなの前で高記録を出して目立つのが嫌だから本気でやらないで手抜きをする。要は、俺が一番最高でお山の大将、目立ちたがりでとにかく負けず嫌いというような投手型の性格ではない。そんな性格もあってかはわからないが、とにかく投げても投げても球はめっぽう速いのだがストライクがなかなか入らない。キャッチャーがあっちゃこっちゃ飛びついて捕る、四球、四球、死球、パスボール、暴投、ノーヒットで何点も献上。守っているほうも疲れて集中力無くなったところへ、やっと凡打に打ち取ったと思ったらエラーで得点など負の連鎖が続いてとにかく負けが多かった。やる気いまいちのチームメイトと球はめっぽう速いがノーコンのみくの組合せのため5年の頃は結局年間で4勝しかできず、30敗近くも負けました。

【2】子供たちを信じる監督の考え

 藤原監督は、いくら負けても みく にピッチャーをさせ続けました。だから6年になってもエースナンバーの1を与えたし、6年になってからもエースはみくの考えで、みくを使い続けました。監督のすごいところは、子供たちを一度信じたらずっと信じ続けてエースをさせるし4番からもはずさないところです。もしかしたら小学生の間には結果は出ないかもしれない、でもたかだか小学生の間の目先の勝利ではなく、子供たちが中学、高校と野球を続ける事を考えて指導している。小学生の間の少年野球は野球の入り口、原点ではあるが、少年野球で終わりでは決して無い。やはり目指すは高校野球なので、少年野球で野球の楽しさを教え、中学でも野球をして、行ける行けないは別にして、高校3年の夏に甲子園を目指すところまで野球を続けてほしい、というのが藤原監督はじめファイターズの考えです。

【3】6年生になっても負け続き

6年生になってからもピッチャーみくの起用は続き、春季大会でも初戦コールド負け、その後のリーグ戦やトーナメントでも負けが続きました。単にチームが勝つためだけならキャプテンの小池なおきなど他にもストライクを無難に取りに行けるピッチャーはいたのでそういう投手を起用するという方法もあったかもしれません。でも監督はみくを信じて起用し続けました。これって他のチームではなかなかできないことではないでしょうか。例えば負けが続くと監督に批判的なコーチが出てきたり、父母会がうるさかったりするチームもあると思います。でもファイターズは藤原監督のもとスタッフが一丸となってスタッフのチームワークもいいのでそのようなことは一切ありませんでした。また批判的なお母さん方も一切いませんでした。でも仮に回りはうるさいことを言う人がいなかったとしても、負けが続くと周りからどう見られているのか人目を気にしてしまうものです。そういうこともなく、また仮にあったとしても、それでもみくを信じて起用し続けたというところに藤原監督の人間としての大きさと、子供たちへの信頼と愛情を感じたのでした。

【4】天才の覚醒、ついにみくの素質の開花

ファイターズでは毎年夏休みにけっこう練習します。6年5年は基本的には8月もお休みは無しで毎週練習もしくは試合をし、土日以外の盆休み期間中で会社が平日休みで監督やコーチが出られる時は土日以外の平日も自由参加で6年5年を集めて強化練習をしたりしています。例年と違いいまいちやる気無しの今年度の6年たちも、意識の高さは例年には及ばないものの、ほとんどの6年が強化練習もよく出席してがんばっていました。藤原監督と実川コーチが5年の後半辺りから、やる気無しの子供たちを徹底的に鍛えて以前に比べるとだいぶましになってきました。そして8月が終わり9月第一週の6年生の試合の時でした。その時は先発ピッチャーはキャプテン小池なおきでした。序盤先行されリードを許しますが終盤に追いつき逆転しました。逆転してすぐの相手攻撃で、ピッチャー小池なおきが2連続四球でピンチになりましたが、集中力を発揮し、ナイスプレーで相手の反撃を絶ち無得点におさえました。この時、初めて6年生たちの心が一つになったように見えました。そして最終回、相手をおさえれば勝利というところでピッチャーみく登場です。監督はみくをリリーフに起用したのです。7球の投球練習を私は二塁塁審として後ろから見てましたが、明らかにこれまでと違うことがわかりました。投げはじめから投げ終わりまで、顔の位置がぶれずに安定していてコントロールがいい。これまでは7球の投球練習の時から球がどこに行くかわからなかったのにです。これはいよいよ目覚めたか・・と予感がしました。案の定、その回を三者凡退にして試合を終わらせました。これまでみくが投げて1イニングでも三者凡退なんて事はなかったと思います。必ず四球がありました。それが三者凡退なのですごい進化です。きっとこれまでの練習の成果と、この試合でみんなが一つになってピンチを乗り切ったところがみくやみんなのターニングポイントで、自分もがんばろうとみくが思ったことがいいピッチングにつながったのかもしれません。翌週の9/12の秋季大会開会式後はファイターズは試合が無いため遠征で練習試合をして、その時もみくは先発ピッチャーで、やはりみくは先週の試合で開眼し、この日も四球や暴投の連発はほとんどなく、今までとは別人のようなナイスピッチングだったのですが、3順目あたりから相手打線につかまり始めたのと、守備ミスもあってせっかく勝ってたのに負けてしまいました。でもこの練習試合での負けは秋季大会に向けてミス無くいい試合をする事を野球の神様が教えてくれた有意義な練習試合だったと思います。

そして9/19ファイターズの秋季大会、6年生にとって最後の大舞台の初戦はみくが先発ピッチャーでついにやってくれました!四球はほとんどなく、女の子としては我孫子市史上初の完封勝利!球は速くてコントロールもよく、それはそれはナイスピッチングでした。翌日の準々決勝は0-2で負けてしまいましたがもし3ヶ月前に試合をしてたら野球にならなくてもっと大差で負けていたでしょう。 過去私に、「そんなにふざけてたいならファイターズ来ねえでその辺で遊んどきゃあ誰にも怒鳴られないで好きなだけ遊んでふざけらるぞ!!」 としょっちゅう怒鳴られてたやる気いまいちだった子供たちは、この夏休みと秋季大会でようやく見事に成長して立派に試合をしたのでした。 これまでずっとずっと負けても負けてもみくを信じて起用し続けた藤原監督に、子供たちを信じ続けることの素晴らしさと人間としての大きさ、そして負け続けながらも可能性を信じて起用し続けて、6年生最後のメイン大会である秋季大会という大舞台でみくの素質を開花させるという監督の勝負強さ、ドラマチックで本当に素晴らしいと思います。 これもひとえに監督の子供たちを信じ続ける愛情が実を結び、野球の神様が降りてきてこのようなドラマを作ってくれたのだと思います。

みくが5年の時にみくの投手としての可能性を感じてピッチャーに起用した監督の眼力が正しかった事が今回の秋季大会で証明されました。ちょっとばかし起用して結果が出たからとかよさそうだからとかなら誰でもできます。ずっと長いこと負け続けて結果が出なかったにもかかわらず、また無難にストライクを投げられる投手はいない事はなかったにもかかわらず、それでも腹をくくってみくの可能性を信じ、愛情と情熱と辛抱強さを持って、いくら負けても起用し続けたという所に、人としての器の大きさと、子供たちを信じ続けることの大切さと子供たちへの愛情の深さ、指導者としての育成の本質を感じました。

【5】審判団賞と大塚杯推薦状受賞

秋季大会は惜しくも準々決勝敗退でしたがみくをはじめ、やや落ちこぼれ気味だった6年生たちはこの秋季大会で一つになり、立派に試合をして野球の本当の楽しさを知ったと思います。秋季大会の閉会式では審判団賞と大塚杯の推薦状を頂きました。各チームに1人選ばれる最優秀選手は みくでした。 みんなここまで来るのに本当に時間がかかったけどこれも藤原監督や実川コーチのみんなに対する情熱のお陰だと思います。もともとやる気はいまいちの(失礼)子供たち・・ほかの指導者だったらはたしてここまで来られたかどうか・・・。でもまだ約半年残ってるから全然遅くないよ。野球は小学生で終わりじゃないしね。あと残り半年、小金原近隣大会でもまだまだ名うての松戸の強豪との試合が3チームほど残ってるから君達がそんなチームとどんな試合をするのか楽しみだよ。最後まで野球楽しもう!


全員での集合写真
2010年9月12日の日曜日に第35回 我孫子市秋季大会の開会式が行なわれました。写真は開会式前の全学年での集合写真です。

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秋季大会開幕 入場行進 第35回 我孫子市秋季大会がいよいよ開幕。開会式での入場行進です。前年の第34回で3位だったため3番目の行進です。
09年度秋季大会3位カップ返還 2010年度6年生のキャプテン小池なおきが、09年度秋季大会3位カップ返還。昨年9月に3位カップを授与してから途中、3位カップを紛失したかもしれない事件(笑)もありましたがこうして無事返還。小池なおきは昨年の秋季大会でもショートとして活躍しました。
秋季大会閉会式
9月26日の我孫子市秋季大会の閉会式後の集合写真です。ファイターズは審判団賞と大塚杯の推薦状を受賞しました。各チーム1人選ばれる最優秀選手賞は完封勝利のエースみくでした。秋季大会フル出場の5年しがも午前中5年の試合をして閉会式の最後の集合写真でぎりぎり間に合いました。みんなの晴れやかな笑顔と同じく素晴らしい秋空でした。

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審判団賞の楯と賞状、大塚杯推薦状
審判団賞の楯と賞状、大塚杯推薦状です。

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あびこわんぱくだよりのみく記事
あびこわんぱくだより10/1号のみく記事です。 記事には、我孫子市少年野球史上初の偉業を成し遂げたスーパーガールの誕生です!とあります。女の子投手としては初完封だそうです。

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秋季大会結果
第35回 我孫子市少年野球秋季大会の結果です。(わんぱくだより10/1号に加筆)春から夏ごろならば、準優勝のチームに0-2のスコアは考えられませんでした(=春頃ならもっと大差で負けて野球にならなかったという意味)。子供たちはこの秋季大会で立派に成長しました。

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